三代目Boogie Board登場!!

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


三代目Boogie Board登場!!

 今回のネタはBoogie Board(ブギーボード)の最新型、国内発売第三機種目となる「Boogie Board Rip(ブギーボード リップ)」である。2011年12月2日、先週の金曜に発売された「メーカー価格1万4800円」の製品だが、既に1万円を切っているネットショップもあるようだ。

iMPROV electronics社の「Boogie Board Rip LCD メモ タブレット」。日本国内では「Boogie Board Rip BB-3」としてキングジムなどから発売されている。

 えーっと、Boogie Boardってなんだっけ? ちょいとオサライを。
 Boogie Boardは書いたり消したりできる「電子メモボード」で、黒地の面に付属スタイラスや爪などで書き込める。書き込みはやや緑がかったグレー。消去ボタンを押せばその書き込みを一瞬で消せる。書き込みと消去を5万回も繰り返せるので、紙を消費しないエコなメモパッドとして使えるわけですな。

国内で初めて発売されたBoogie BoardのBB-1。8.5インチサイズの面に書き込めるこのように付属スタイラスや爪などで書き込める。スルッとした滑らかな書き味だ上部のボタンを押せば書き込みを消去できる。繰り返して使えるメモボードですな
BB-1発売後、さらにこのようなカラーバリエーションがラインナップに加わったBB-1より一回り大きいBB-2も登場した。BB-2は10.5インチサイズの面に書き込めるBB-2にはBB-1になかったスタイラスホルダーが加わった。電池交換も可能になった

 初代Boogie BoardのBB-1に次いで、サイズが大きくなったBB-2が発売され、徐々に認知度を高めてきたBoogie Board。そしてこのたび、従来機種にはなかった新機能を搭載したBoogie Board Ripが登場したってわけですな。以降、この最新型ブギーボードの機能や使用感などについてレポートしてみたい。


保存も可能になったBoogie Board Rip

 Boogie Boardの従来機種であるBB-1やBB-2は、前述のとおり「書いて消すだけのメモボード」だった。電子的な黒板みたいなモンですな。非常に手軽かつシンプルに利用できた。

 が、書いた内容の保存には対応していなかったので、メモ書きを失いたくない場合は、メモを別途記録する工夫が必要になった。たとえばスマホで撮影とか。ちなみにBoogie Boardに書いた内容をコピー機で複写すると判読が難しいとのこと。

 最新型のBoogie Board Ripは、書いた内容をファイルとして保存できるようになった。具体的には、付属の専用スタイラスで書き、本体上部のsave/wakeボタンを押せば、書いた内容がPDFファイルとしてBoogie Board Rip内に保存される。合計8MBまで保存でき、PCとUSB接続すれば保存したPDFファイルをPC上に転送可能。それじゃあ早速試してみましょう♪

書く前にsave/wakeボタンを押し、Boogie Board Rip専用スタイラスで書き込む。最後に再度save/wakeボタンを押せば、書いた内容がPDFファイルとして保存されるBoogie Board RipをPCとUSB接続したらディスクドライブとして認識された。このディスクドライブつまりBoogie Board RipのなかにはPDFファイルが保存されていたPDFファイルを開いた様子。書いた内容は均一な太さの筆跡として保存されていた。Boogie Board Rip上では黒地にグレーだが、PDFでは白地に黒の線となってますな

 おー。順当進化だネ。と、わりと平坦な気持ちでBoogie Board Ripの保存機能を目の当たりにした俺であった。Boogie Board Ripなら心置きなくメモ書きを消せますな。

 なお、Boogie Board Ripは従来機種のBB-2とだいたい同じ大きさで、質量は325g。書き込める面は9.5インチ。充電式で、PCとUSB接続すれば1時間以内に満充電となり、電池持続時間は待機時で60日、通常使用なら1週間となっている。微妙に電池の保ちが悪いような気がしなくもないが、電子メモパッドとしてサイズも携帯性も好感触。使用感も平易。よくまとまっていると思う。

 ちなみに、本体に保存したデータ(PDFファイル)を、本体に再表示させることはできない。メモの保存はできるが、メモのビューワとしては使えない=メモの再表示には現在のところPCが必須というわけだ。

 もうひとつ、メモを保存するためには、付属のBoogie Board Rip専用スタイラスでメモ書きを行わなければならない。Boogie Board Ripには汎用のスタイラスや爪の先などでもメモ書きができるが、Boogie Board Rip専用スタイラスでないもので書かれた筆跡は保存されない。


PCと接続しつつ書き込むとチョイ便利かも

 Boogie Board RipをPCとUSB接続すればPDFファイルをPCへ転送できるが、これとは別に、PCとUSB接続しながらの活用法もある。iMPROV electronics社ウェブサイトからダウンロードできる「Boogie Board Rip 仮想デスクトップ ツール」を使えば、Boogie Board Rip上に書いた内容を逐一PC上に表示させたり、そのままPDFファイルとして保存することができる。

Boogie Board RipとPCをUSB接続して「Boogie Board Rip 仮想デスクトップ ツール」を使えば、書いた内容が逐一PC上に現れる「Boogie Board Rip 仮想デスクトップ ツール」表示例。書いた内容まで含んだ仮想Boogie Board RipがPCの画面上に現れるのだ「Boogie Board Rip 仮想デスクトップ ツール」のsave/wakeボタンを押せば、書いた内容がPDFファイルとしてPC上に保存される

 あらオモシロい!! のと、もしかしたら非常に便利なのかもしれないコレ。

 身近な部分での利便としては、手書きメモや簡易スケッチなどを容易かつ即時的にPC上に残していけること。スタイラスで書けばPDFとしてサクッと残せる。PDFファイルなので汎用性がありますな。クラウドに上げてスマホでメモ書きを参照なんてこともできるだろう。

 それから、Boogie Board Ripが生成するPDFファイル(の筆跡)がベクターデータであること。筆跡を劣化させずに拡大縮小回転などの処理ができるわけだが、非常に手軽にベクターデータのフリーハンド描画を行えると言い換えると、イラレ使いやフォトショ使いの人は「ピクッ」としません?

 たとえば、ちょっとした描画なら、入力用ペンタブレットを別途用意する必要がないかもしれない。シンプルなイラストをBoogie Board Rip上で描いて、それをPC上で加工(パスの編集など)してキッチリ仕上げるのに向くかもしれない。書類の端に自筆っぽいサインを入れることもできそうですな。

Boogie Board Ripで保存したPDFファイル上の線は、ベクターデータなのだ同じPDFをフォトショップで開いたところ。ベクターデータとして利用可能イラストレーターで開いたところ。パス編集を行って緻密に加工修正できる

 筆跡をベクトルデータで残してくれるという汎用性まで含めると、実勢価格1万円を切ってるこのBoogie Board Rip、アレコレいろいろと役立ってくれそうである。

 が、やっぱり残念なのは、筆跡をPDFファイルに保存するためには「絶対に専用スタイラスを使わないとダメ」という点。汎用的なスタイラスや爪先で書いた筆跡もベクトルデータとして残してくださいよ~そしたら汎用性一気にUPで夢も広がるのに~、みたいな。


ブギーボードのデジタルペンハックも試してみた

 じつは当初、「Boogie Board Ripは最強に強まった手書きガジェットになるかも!!」と興奮していた。というのは、デジタルペンのMVPenなどと組み合わせれば、紙を消費しないエコなメモになるし、メモをiPhoneなどで閲覧できるようにもなるし、PDFにして残すことまでできて、ソレって良くなくなくなくなくなくない? と考えていたのである。

 つまりですね、MVPen(Android派の人はairpen Pocket)のメモリーユニットをBoogie Board Rip上にセットしてですね、ペン先をスタイラスに交換したMVPenでBoogie Board Ripに書くとですね、Boogie Board Rip内にもMVPenメモリーユニット上にも筆跡が残ってですね、あれこれ非常に便利になるのではないか、と。

 でも結局、Boogie Board Rip内に筆跡を保存するためには前述のとおり専用ペンで書く必要がある。ゆえにBoogie Board RipとMVPenの連携は不可能ということになった。

 ただ、MVPenにとって、Boogie Board全般が好都合なメモパッドになる可能性が高い。Boogie Boardは何万回も書いて消せる電子メモパッドなのだ。MVPenを超多用しても紙の消費は一切ない。紙にメモを残せなくなりはするが、MVPenで書けばメモ書き(筆跡)をiPhoneなどで閲覧できるから大きな問題ともならない(上記リンク参照)。

 てなわけで、MVPenとBoogie Boardのコラボレーションをちょいと試してみた。使ったのは10.5インチの書き込み面を持つBoogie Board BB-2、MVPen一式、それから交換用スタイラス、磁石である。

(1)Boogie Board BB-2とデジタルペンのMVPenを組み合わせて使う作戦ナリ。この組合せなら、いくら書いても紙を消費しないデジタルペン環境になるハズだ(2)BB-2上部にMVPenのメモリーユニットをセットしたところ。装着には薄くて柔軟なシートタイプのマグネットを(切って貼って)使った。安定性は十分な感じ(3)磁石はメモリーユニット裏面とBB-2表面に極性が合うように貼った。BB-2の書き込み内容を消すときはメモリーユニットを外して消去ボタンを押すんですな
(4)この状態で書けば筆跡がBB-1にもメモリーユニットにも残る。のだが、BB-1にボールペンで書き込んじゃダメだし(5)MVPenのボールペン部分は市販の「4C互換リフィル」が使える。ので、「4C互換のスタイラス型リフィル」を用意した(6)MVPenのボールペン部を抜き、4C互換サイズのスタイラスをセット。これでスタイラスMVPenとして使えるようになった
(7)スタイラスMVPenでBB-2に書いたところ。この筆跡はメモリーユニットにも保存されたハズだ(8)メモリーユニット上の筆跡をPCに転送したところ。BB-2に手書きした内容がPC上にも現れた(9)メモリーユニット上の筆跡を専用ケーブルでiPhoneに転送した様子。こちらも大成功ですな

 キモは、MVPenのボールペンをスタイラスに交換するトコロですな。MVPen(やairpen)には「ゼブラ4C互換リフィル」という広く出回っている替え芯が使える。替え芯の一種としてペン先がスタイラスになっているものがあるので、それを使った。ここではパイロットのTCRF-15という4C互換スタイラス型リフィルを使用している。

 結果、わりとスンナリと「ブギーボードのデジタルペンハック」は完了。MVPenでのメモ書きは「使った紙のメモ帳を見ればMVPenメモリーユニット内に保存された筆跡を即時的に見られる」という利便があるが、ブギーボード使っちゃうとこれは失われる。が、紙の消費を気にせず好きなだけメモしまくれるという点でなかなか気分がいい。MVPenやairpen Pocketなどお持ちの方にとって、BoogieBoard、もしかしたら利用価値がけっこー高いアイテムかも知れない。


2011/12/5 06:00