新しいPogoplugが出たっ♪

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


新しいPogoplugが出たっ♪

 2012年の2月3日、クラウドエンジンズとソフトバンクBBが「Pogoplug Mobile(ポゴプラグ モバイル)」を発売した。日本国内で販売されているものとしては最新型のPogoplugですな。Pogoplug Mobile、従来品のPogoplug Classicと比べて小型化・高速化したり、速度的にも速くなったらしい♪ 興味津々ゆえ早速試してみた。

クラウドエンジンズの「Pogoplug Mobile」。USB HDDやSDメモリカードなどを「自前クラウドのストレージとして使えるようにする機器」なのだ。SoftBank SELECTIONオンラインショップ価格は7980円たとえばPogoplug MobileにUSB HDDをつなげば、そのHDDがLANやインターネット経由でアクセスできるクラウドストレージとなる。自前で数百GB容量のクラウドをサクッと作れるのがPogoplugの魅力だこちらは旧機種となったPogoplug Classic。Pogoplug Mobileよりも多くのUSBストレージなどを接続できる(USBコネクタが多い)。が、Pogoplug Mobileよりも大きめで、データ転送速度がチョイと遅い

 てか、ポゴプラグってナンだっけ? という場合はこの記事をご参照いただきたいが、要は「手持ちのUSBストレージを接続すればクラウドストレージとして使えるようになるアダプタ」だ。

 具体的には、[ルータ]───[Pogoplug Mobile]───[USB HDD]、てな感じでつなげば、家庭内LAN経由でもインターネット経由でも、このUSB HDDへアクセスできるようになる。スマホ用無料アプリ(iPhone/iPad/Android用)も用意されているので、スマホからUSB HDDへとアクセスすることもできる。

 要は、Pogoplug MobileとUSB HDDやSDメモリカード、それからインターネットにつながったルータがあれば、クラウドストレージ(オンラインストレージ)を自前で構築できる。機能としては、ファイルの閲覧やダウンロードや共有、SNSへの掲載、音楽や動画のストリーミング再生などを利用できる。

 たとえば現在、6000~7000円程度で500GBくらいのUSB HDDを買える。これをPogoplug Mobileと組み合わせれば、容量500GBのクラウドストレージとして使えるようになる。Pogoplugはサービスでもあるが、Pogoplug Mobileなどのハードウェアを使うときに必要なのは無料で作れるPogoplugアカウントのみ。つまりPogoplug MobileとUSB HDDなどのハードウェアがあれば、利用料金を気にせず大容量なクラウドストレージを使いまくれるというわけだ。

 てなわけで以降、新しくなったPogoplugことPogoplug Mobileの使い勝手などを中心にレポートしてみたい。なお、Pogoplug Mobileは従来品よりも80%高速化されているとのことだが、具体的な速度UPについては「清水理史のイニシャルB 第476回」にて詳しく検証されているのでそちらをご覧いただきたい。


Pogoplug Mobileの前にPogoplug Cloud

 Pogoplug Mobileの使用感をレポする前に、ちょいと「Pogoplug Cloud」の話を。

 Pogoplug Cloudはクラウドエンジンズが提供するパーソナルクラウドサービス。Pogoplugアカウントを登録すれば5GBまで無料で使える。クラウドサービスとしての機能はPogoplug Mobileなどのそれと同じだ。Pogoplug Cloudは「Pogoplug Mobileのハードウェア不要&容量制限バージョン」みたいな感じ。無料で使い始められるPogoplugと言えますな。

 なお、Pogoplug Cloudは有料で容量を拡張できる。30GBまでが月額300円、50GBまでが月額500円、100GBまでが月額900円となっている。

 また、2013年3月31日までに日本でPogoplug Mobileハードウェアを買ったユーザーは、Pogoplug Cloudの容量20GBを1年間無料で利用できる。ただし、Pogoplug Cloudの有料サービスと併用することはできない。無料20GBゲット!! さらに月額300円の30GBプランを契約したから20GB+30GBの50GBだーゼ~……ってコトにはならず、「単に20GB無料サービスが消えて有料30GBサービスが始まるだけ」なのであった。

 しかしまあ、さておいて、要はメアドとパスワードを登録してPogoplugアカウントを得れば、とりあえず5GBまでのPogoplug Cloudサービスを使えるゼ、と。クラウドストレージの機能に関しては、Pogoplug CloudもPogoplug Mobileも同じだヨ、と。というわけで初めての人は全部無料で始められる5GBまでのPogoplug Cloudサービスから試すのが吉ですな。

Pogoplugを使うにはPogoplugアカウントが必要。メアドとパスワードですな。登録すれば、まず無料で5GBまで使えるPogoplug Cloudが使えるようになるPogoplug Cloudのストレージ容量は最大で100GBまで拡張できる。100GBの場合の月額利用料は900円。「まずまず良心的な料金設定」というふうに思えるPogoplug Cloudをウェブクライアントで使用中(最下段)。上ふたつのアイコンは、Pogoplug Mobile上のストレージ。各ストレージをシームレスに扱える

 で、気に入ったなどして容量を増やしたい場合は、有料でPogolug Cloudの容量の追加購入をするか、Pogoplug MobileとUSB HDDなどのハードウェアを使えばよい。個人的には後者のほうが、月額利用料とかかからないしクラウドストレージ容量も思いのままなのでスッキリ感があるように思う。

 ちなみに、無料Pogoplug Cloud(5GB)を使ったあと、同じアカウントでPogoplug Mobileハードウェアなどを使い始めた場合、上記条件なら15GBの容量が追加されて合計20GB容量の無料Pogoplug Cloudを1年間使えるようになる。また、双方のクラウドつまりPogoplug CloudやPogoplug Mobileはストレージとして共存させられる。あとからPogoplug Mobileというドライブが加わる感じですな。

 というように今スグ無料で試せるので、後述の各種機能やサービスやスマホ連携などを試しつつ、本記事を読み進めるとおもしろいかもしれない。

ホントにサクッと使い始められるンだ!!

 さてようやくPogoplug Mobileについて。本体をパッと見て思うのは、従来機種よりもずいぶん小さくなったしスッキリ感が増したということ。サイズは約幅10.9×奥行き9.8×高さ3.7cm(突起物除く)で、質量は約180g。ほぼ手のひらサイズなのでディスプレイの下などのちょっとした隙間に置ける。電源は付属のACアダプタ。冷却ファンの類はないので、多くのケースで十二分に静音にて使えると思う。

 ただ、残念ながら従来機よりインターフェイス数が減少している。ストレージに関わるデバイスを接続できるポートはUSBポート×1とSD/SDHCメモリカードスロット×1となった。通常はココにUSB HDDやSD/SDHCメモリカードをつなぐわけですな。なお、対応フォーマットはNTFS/FAT/HFS+/EXT2/EXT3となっている。

Pogoplug Mobile使用中の図。机上に置いても邪魔にはならない程度のサイズだ本体背面にUSBポート×1、1000BASE-Tポート×1、ACアダプタジャック×1がある本体左側面にはSD/SDHCカードスロットがある。冷却ファン類は搭載していない

 Pogoplug Mobileの初期設定は非常に簡単だ。まずはPogoplugアカウントを取得。ウェブブラウザーからPogoplugサービスにログオンし、[設定]ページを開くと[Pogoplugデバイスをアクティベートする]というボタンがあるのでクリック。引き続き表示されるウィザード表示に従って接続などをすれば設定完了となる。

Pogoplugアカウント取得後、ログオンするとPogoplugサービスの設定やファイル操作を行えるようになる。Pogoplug Mobileなどハードウェアの初期設定は[Pogoplugデバイスをアクティベートする]ボタンからボタンをクリックするとウィザード表示になる。Pogoplugハードウェアを使い始めるための初期設定は全てウェブブラウザベースで行えるのだ表示に従ってPogoplug Mobileのセットアップを進めて行く。状況によっては「この順序って逆じゃない?」と思う表示もあるが、まあご愛敬

 以上でセットアップ完了。ウェブブラウザー経由で、どこからでもPogoplug Mobileに接続されたストレージにアクセスできる。

 スマートフォンからアクセスする場合は、各端末用のPogoplugモバイルアプリが必要になる。現在はiOSデバイス(iPhone/iPad)用、Android端末用が用意されている。またPC用ソフトウェアもあり、Windows用、Mac用、Linux用が用意されている。

 たとえばWindows用のPogoplug Uploaderアプリを使えば、Pogoplug Mobileに接続されたストレージやPogoplug Cloudのストレージを扱え、ドラッグ&ドロップだけで各クラウドにファイルをアップロードできたり、各クラウド上のファイルの閲覧/ダウンロード/共有などを行える。ファイルエクスプローラ上で各クラウドをほかのローカルHDDと同様に扱えるようにもなる。

 なお、上記のソフトウェア類はココからダウンロードできる。

iPhone用アプリの表示例。Wi-Fi/3G回線経由で自宅などのPogoplug Mobile/ストレージにアクセスし、ファイルを閲覧できる
iPad用アプリの表示例。基本的な使用感はiPhone用アプリと同様だが、ファイルを選びつつPDFなどの中身までチェックできる。自宅のPogoplug Mobile上HDDに多量の自炊PDFファイルを置いて外出先で読む、な~んてことも現実的だ
「ドコモ GALAXY Tab 7.0 Plus SC-02D」上でのAndroid用アプリ表示例。Android端末の場合、ファイルを直接扱えたり、共有(インテント)機能を使えるなどファイル利用の自由度が高いので、Pogoplugとの親和性がより高いように感じられる
Windows用ソフトウェアPogoplug Uploaderの表示例。ドラッグドロップでのファイルアップロードが便利だ。ファイルエクスプローラ上で各クラウドをローカルHDD感覚で扱えるようにもなる
ウェブクライアントでの表示例。各ファイルを柔軟に扱える。Pogoplugサービスに関する設定を行う場合もウェブクライアントを使うことになる

 回線さえ確保できれば、上記のアプリ/端末などからPogoplug Mobile/Pogoplug Cloud上のファイルにアクセスでき、かな~り自由にファイルを扱える。Pogoplugの前の機種でもそうだったが、手軽にサクッとこういう環境を作れちゃうってのは、やはりイイですな。


相変わらず容易なファイル/フォルダ共有

 この記事にも書いたが、Pogoplugサービスはファイル共有(誰かへの大容量ファイルの手渡し)が非常にラク。具体的な手順としては、使う端末によって若干異なるが、[ファイルをクラウドにアップロード]→[ファイル指定]→[手渡したい相手のメールアドレスを入力(もしくは選択)]→[必要ならばメッセージを入力して送信]。これで完了。

 シクミとしては、クラウド上のファイル/フォルダに外部からアクセス可能なURLが生成され、そのURLをメールで知らせるというもの。相手に「ココにファイル置いといたからアクセスしてダウンロードしてネ」と知らせるわけだ。基本的には無料の大容量ファイル転送サービスと同じですな。

ウェブクライアントを使った「ファイルの手渡し方法」。まずはクラウド上にある渡したいファイルを選ぶ右クリックでコンテキストメニューを出すなどして、[リンク送信]を選ぶ。ファイルへのURLを生成するのだすると、リンク送信ウィンドウがポップアップする。ファイルのURLをメールで相手に送るというわけですな
過去に送信した相手(メアド)は、アドレス帳に自動追加される必要ならば項目(メール件名)やメッセージ(メール本文)を入力URLを開くとファイルが表示される。もちろんダウンロード可能

 てな感じで、クラウド上のファイルをURLとして相手に知らせ、閲覧やダウンロードをしてもらうことが可能だ。この方法でのファイル手渡しは、スマホやPC用クライアントからでも行える。

 なお、URLはファイルそのものを示すので、URLを知られてしまえば誰でもアクセス/ダウンロード可能。なので、ファイルによってはユーザーと手渡し相手の間である種セキュアな了解がなされている必要があるかもしれない。

 URLで示せるのはファイルだけでなくフォルダでもOK。フォルダをURLとして知らせた場合、フォルダ内のファイルにアクセスを許可したことになることはもちろん、サブフォルダ以下のファイル/フォルダへのアクセスも許可したことになる。指定フォルダ以下全部ダウンロードなど可能になるってわけですな。

 この方法、たとえば今時的NASなどにあるような、ユーザーアカウントを与えたうえで指定ファイル/フォルダのみにアクセスしてもらうような、より安全なファイル共有方法ではない。が、URLが漏洩した場合の危険を踏まえてちょいと注意しておけば、非常に手軽なファイル手渡し方法として使える。


スマートフォンとPogoplug

 現在のPogoplugサービスとPogoplugハードウェアでは、スマートフォン連携がよりイイ感じに成熟している。たとえばクラウド上の画像ファイルを指定し、その画像ファイルを示すURLとともに主用SNSに投稿できたりする。お気に入りの写真をクラウド上に上げておけば、「よし今このタイミングであの写真をアップするゼ!!」といった愉快な即時性も得られるだろう。

 個人的にちょい喜べたのは、iOS/Android端末のPogoplugモバイルアプリで、iOS 5搭載のiOS端末で使えるフォトストリームと似たことができるトコロ。具体的には「自動アップロード機能」だ。

 iOS 5のフォトストリームは、iOSデバイスで撮った写真が自動的にiCloudにアップロードされ、そのデータが各iOSデバイスやPCに送信されるという機能だ。つまり「撮ればPCやほかのiOSデバイスでもその画像を閲覧できる」「iPhone上の写真がいつもPC上に自動バックアップされる」といったあたりが大きな利便であった。ただし画像の自動アップロードはWi-Fi接続時に限られている。

 Pogoplugの自動アップロード機能は、iOS用アプリとAndroid用アプリで機能する。アプリがスマホ上の(撮影した画像が保存される)フォルダを監視し、新たな画像があったら自動的に指定したクラウドにアップロードしてくれるのだ。

 つまり「撮ればPogoplugクラウドにも写真や動画が自動送信される」ので「撮ればPogoplugにアクセスできるデバイス全部で写真や動画を見られる」ということになる。また「撮ったそばから逐一自動バックアップされる」ことにもなる。

 なお、画像の自動アップロードは「Wi-Fi接続時のみ」か「Wi-Fi+3G接続時」から選べる。自動アップロード自体をオフにすることもできる。

iPhone用アプリでの自動アップロード設定例。自動アップロードするかどうか、どの回線で接続しているときに自動アップロードするかなどを設定できる
アップロード先はクラウド(ストレージ)単位で設定できる。アップロード先のルートには、PhotosやVideosという名前のフォルダが作られ、そのなかに年月単位で動画や静止画が保存される

 ただ、3Gでの通信を許可すると電池の保ちがタイヘンなことになったり、キャリア的にもタイヘンかもしれない。しかしまあいつでも画像自動アップロードが可能ってのは、仕様として魅力的だ。

 それから、Pogoplugモバイルアプリを使っていていつも思うのは、スマホから大容量クラウド上のファイルにアクセスしまくれること。俺の場合はPogoplug Mobileに500GBのUSB HDDを接続し、そこに使いがちなPDFファイルを入れている。つまり容量500GBの自前クラウドストレージをPDF置き場として利用できる環境。

 俺の場合はまだまだ容量を持て余しているが、これ、自炊派の人にとっては非常に有用な環境なのでは? と思う。自炊PDFを全部クラウド上に置いて、iPhoneからでもiPadからでもAndroid端末からでもPCからでもアクセスして、つまり読めるわけですなPDFを。ちょっと夢の世界が広がるのかもしれない。

 これ以外にもPogoplugサービス/ハードウェアの利用法や良さが多々あると思うが、一方でイマイチな点もまだ残っている。俺の環境では、たとえばクラウド上に存在しないファイルのサムネイルが表示されちゃったり、ファイル/フォルダのタイムスタンプが1970年のものであったり。上記の自動アップロード機能で作られたフォルダやコピーされたファイルの一部もタイムスタンプが正しくなかった。

 それから閲覧するファイルによってはPogoplugモバイルアプリが頻繁に落ちることがある。Pogoplugモバイルアプリは、クラウドへアクセスし、ファイルを閲覧できたりするわけだが、たとえばPDFファイルなら別のPDFビューワアプリで開くほうが実用的だ。

 あと、アプリやソフトウェア、ウェブクライアントのUIや使用感の統一がイマイチで、使い始めは「使いこなそうとするとけっこー混乱する」のであった。まあ「ココは現段階でこんな状態」と諦めれば、実使用上大きな問題とならない不都合が大半だが、よりよく進化してくれることを期待している。

 てな感じで、手軽に大容量クラウドを使えるようになるPogoplugサービスおよびPogoplug Mobile、興味のある方はゼヒ!! 前述のように「5GBまで無料で使えるPogoplug Cloudから試してみる」のがいいと思いま~す♪





2012/2/20 06:00