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久々に「喋る系ソフト」触ってビックリ!! 「VOICEROID+ 結月ゆかり」

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


久々に「喋る系ソフト」触ってビックリ!!

 2011年末にかなりショックを受けたのが、AHSの入力文字読み上げソフト「VOICEROID+ 結月ゆかり」である。文章を読み上げる音声合成ソフトなんだが、これがまあ読み上げ精度も声質も非常に良い。

AHSの「VOICEROID+ 結月ゆかり」。Windows 7/Vista/XP対応のテキスト読み上げソフトウェアだ。歌唱ソフトウェア「VOCALOID3 結月ゆかり」とほぼ同じ声。AHSストア価格は8980円

 VOICEROID+は、文章や単語をテキストで入力すれば、それを簡単に読み上げさせることができるソフトウェア。「テキスト読み上げ」というと「ウェブページの内容などを読み上げてくれるユーザー支援ソフト」を思い浮かべる方もあると思うが、VOICEROID+は基本的に「ウィンドウに入力した文字を読み上げるだけ」のソフトだ。

 使用目的としては、たとえば同社が発売している「VOCALOID3 結月ゆかり」と組み合わせての曲作り。「VOCALOID3 結月ゆかり」と「VOICEROID+ 結月ゆかり」の声はほぼ同じなので、VOCALOIDで歌わせて、歌の途中のに入る語りをVOICEROID+にやらせる、てなコトができる。

 のだが、「VOICEROID+ 結月ゆかり」は、俺的にはただナニカを喋らせるだけで十分楽しかったりする。心地良い声なんスよ〜癒されるレベル。なので、ほかのVOICEROID+(やVOICEROID)も試してみた。ら、全体的にイイ感じ。てなわけで今回はVOICEROID+/VOICEROIDシリーズの使用感などをレポートしてみたい。


魅力的だし遊べるVOICEROID+/VOICEROIDシリーズ

 俺の場合、DOS時代から「コンピュータが喋る」という事柄に超強い興味があり、これまでイロイロ試してきた。レポート記事としては2004年に「喋るコンピュータにハマる年末の俺」、2007年に「今時の音声合成ソフトウェア」を書いた。これら記事上で「当時のわりとイケてる音声合成ソフトウェアの音声」が聞ける。現在の音声合成との差を知るためにも、一度聞いてみてほしい。

 2012年現在、非常に優れた音声合成システムがいくつもある。たとえばHOYAのVoiceTextなんざぁ非常に優れてますな。そろそろホントに人間の職を奪い始める!? なんて気分にもなってくる。

 でまあそういう「業務用系」の音声合成システムにはスゴいのが多々あるわけだが、今時的価値感からするとフツーと言えばフツー。「実用的ですよね」であり「そういう時代なんですな」的な、凄い技術のひとつとして冷静に見ちゃったりする。

 しかし、VOICEROID+/VOICEROIDシリーズはちょいと違う。実用的なイントネーションなどの正確さを持ちつつ、さらに声質自体が魅力的なのだ。

 俺がショックを受けた「VOICEROID+ 結月ゆかり」について、メーカーは「大人の女性の情感あふれる声」としている。が、率直に言って「アダルトで少しセクシーでもある声」だと思う。声そのものについては「実用的ですよね」とかいうレベルを上回っている気がする。その読み上げ音声を聞いていると、「こんなキレイな声で話す人が居……いやいやヒトじゃねーしソフトウェアだしコレ」とかなったりも。

 それとVOICEROID+/VOICEROIDシリーズ(「VOICEROID+ 鷹の爪 吉田くん」を除く)は、音声合成ソフトウェアとしての規約面が比較的に太っ腹。結論から言うと「申請すればVOICEROID+/VOICEROIDシリーズを使った有償(ただし非営利)作品上でも使ってOK」なのだ。詳細はココにあるが、金儲けしようってんじゃなければ、かな〜り幅広く利用できる。業務用系で実用的な音声合成ソフトウェアなどだと、こうはいかないですな。

 ともあれ説明ばかりしててもナンなので、次章でVOICEROID+/VOICEROIDシリーズの各タイトルの音声を聞いてみよう。


実際の「読み上げ声」を聞いてみよう

 てなわけで、まずは2009年12月4日に発売された「VOICEROID 月読アイ」「VOICEROID 月読ショウタ」から。「月読」で「ツクヨミ」と読む。月読アイは5歳の少女の声、月読ショウタは7歳の少年の声となっている。兄と妹という設定のようだ。

 なお、以下の読み上げ音声例は、ソフトウェアに対してテキストを入力して再生ボタンをクリックしただけで行っている。VOICEROID+/VOICEROIDでは単語のイントネーションなどを微調整したり、イントネーションを含めた単語登録なども可能だが、そういった編集を一切行っていない「ベタ打ちでの読み上げ」だ。


VOICEROID
月読アイ
【動画】月読アイの読み上げ例。テキストは「はじめましてボイスロイドです。あなたのお好みの文章や言葉をテキストで入力するだけで、簡単に読み上げさせることができます。ところで、アイのおしごとは、えほんをろうどくすることです。いつもやさしいおにいちゃんがだいすきです」。


VOICEROID
月読ショウタ
【動画】月読ショウタの読み上げ例。テキストは「はじめましてボイスロイドです。あなたのお好みの文章や言葉をテキストで入力するだけで、簡単に読み上げさせることができます。ところで、ぼくの仕事は妹のアイを守ることです。アイはぼくがお話してあげると喜ぶから、いっぱいお話をしてあげたいです」。

 続いて「VOICEROID+ 鷹の爪 吉田くん」「VOICEROID+ 民安ともえ」。前者は「秘密結社 鷹の爪」の吉田くんの声を元に作られている。後者は声優の「民安ともえ」の声を元に作られている。


VOICEROID+
鷹の爪 吉田くん
【動画】吉田くんの読み上げ例。テキストは「はじめましてボイスロイドプラスです。あなたのお好みの文章や言葉をテキストで入力するだけで、簡単に読み上げさせることができます。ところで、前略、かあさん、元気ですか? ぼくは、最近、新しく入って来た団員を訓練し、いちにん前の戦闘員に鍛え上げる教官をしています」。


VOICEROID+
民安ともえ
【動画】民安ともえの読み上げ例。テキストは「はじめましてボイスロイドプラスです。あなたのお好みの文章や言葉をテキストで入力するだけで、簡単に読み上げさせることができます。ところで、キャラクター的には弦巻マキなんだけどー。キャラクター名にカッコが付いてるんだけどー。ぎゅんぎゅん行くよー!」。

 最後に「VOICEROID+ 結月ゆかり」。ナゼかこのパッケージは元となるデータや声が明らかにされていない。


VOICEROID+
結月ゆかり
【動画】結月ゆかりの読み上げ例。テキストは「はじめましてボイスロイドプラスです。あなたのお好みの文章や言葉をテキストで入力するだけで、簡単に読み上げさせることができます。ところで、私の声はどうですか? すてきでしょ? 気に入ってくれると嬉しいです」。

 てな感じである。ベタ打ちでここまで読み上げれば上々ですな。そして各パッケージにはそれぞれ独特の声質的魅力がある。さぁどう遊ぼう、どう使おう……と考えると楽しくなってきますな♪


こんなコトがデキる

 VOICEROID+/VOICEROIDは、読み上げさせたいテキストを入力すれば喋ってくれるというソフトだ。基本的には「入れた文章を読み上げるだけ」のソフトウェア。前述のとおり、ウェブブラウザと連携してウェブページの内容を読み上げるとか、押下したキーを読み上げて知らせるとか、そういったユーザー支援系の機能は持たない。

 しかし「よりよく読み上げさせるための機能」は備えている。具体的にVOICEROID+の場合は、読み上げ速度/ピッチなどの調節、読み上げる文章のなかの「間」の調節(ポーズ設定)、イントネーションの調整、イントネーションを調整したうえでの単語登録などを行える。また、読み上げ音声のWAVE形式での保存も可能だ。

読み上げ音声の効果を調整できる。音量、読み上げ速度、声の高さ(ピッチ)、エコーを調整可能。高域強調をオンにすると、低音成分が抜けて聞き取りやすい声になる 読み上げ時の「間」も調整できる。句読点などの箇所で読み上げをどの程度寸断するかの設定ですな。文章中に記号を入れ、任意のポーズ時間を設定することもできる
【動画】単語などのイントネーションを調整することもできる。音の要素をつないだり、分離したり、あるいは無声化することもできる。調整は直感的に行えてラクだ。

 もともとかなりの精度で正しいイントネーションで読み上げるVOICEROID+/VOICEROIDだが、上の動画のように固有名詞などは正しくないイントネーションになることがある。が、イントネーションは調整可能。音の要素の無声化や接続/分離にも対応しており、違和感のない発音に追い込んで行ける。

 このように調整したフレーズや単語は、フレーズ/単語毎に登録できる。ので、調整/登録すればするほどに、VOICEROID+/VOICEROIDは自然な読み上げを行うようになる。逆に、フレーズ調整を巧く使えば多少なら方言やスラングなどの読み上げも可能だろう。

 こんなふうに正しいイントネーションのもと自由自在に「喋らせる」ことができるVOICEROID+/VOICEROID。前述のように読み上げ音声のWAVE形式での保存も可能なので、幅広いサウンド系ソフトウェアやハードウェア上で読み上げ音声を再生できる。アイデア次第でさまざまな活用ができそうだ。

 つーか凄い時代ですな。こーんな高品位な音声合成〜テキスト読み上げソフトウェアが、こーんなに手軽に使えちゃう。音遊び好きな人にとっては「思わずポチッちゃうソフトのひとつ」かもしれない。

 ちなみにVOICEROID+/VOICEROIDには、エーアイが開発した音声合成エンジン「AI Talk」が使われている。リンク先の「すみれ」が「VOICEROID+ 結月ゆかり」の声、「マキ」は後述の「VOICEROID+ 民安ともえ」の声、となっている。ウェブブラウザ上で読み上げ音声を試せるWebデモ版があるので、興味がある人は試してみるとおもしろいだろう。


2012/2/27 06:00