Wi-Fiでスマホと連携するサイバーショットを試す

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


Wi-Fiでスマホと連携するサイバーショットを試す

 そろそろ行楽なシーズンなので新しいコンパクトデジカメが欲しいなあ……とか考えていて浮上したのがソニーの「サイバーショットDSC-TX300V」。シンプルでクールな外観だが、防水、GPS、スマホとの無線LAN連携、TransferJetに非接触充電にと機能テンコ盛り。良さゲなのでちょいとお借りして試用してみた。

ソニーの「サイバーショットDSC-TX300V」。有効画素数約1820万のデジタルカメラで、無線LAN対応や防水など多彩な機能を持つ。2012年3月の実勢価格は4万3000円前後

 やはり俺的興味のコアは無線LAN機能。サイバーショットDSC-TX300V(以下、TX300V)とiOS端末/Android端末をWi-Fi接続でき、TX300V内の画像をスマホにダウンロードできるという機能だ。TX300Vで撮ってiPhoneに画像転送してSNSにアップロード、みたいな使い方ができそう。

 それから、TX300Vを無線でLAN接続すれば、同じローカルエリア内のPCに「無線で画像を転送」できたりするらしい。PCへの画像転送/バックアップがケーブルレスで可能。これも便利そう!! と思ったが、じつはこの機能を使うためのPC用アプリ「PlayMemories Home」を使うことができなかったので、この「無線でPCへの画像転送/バックアップ」機能は試せなかった。すまんす。

 ともあれほかにもイロイロな機能があるTX300V。以降、興味の赴くままにTX300Vを試用してみたい。なお、TX300Vの画質などに関してはこちらの記事をご参照いただきたい。


クールな外見とテンコ盛りな機能

 まずはTX300Vの基本的なスペックをザッと。

 撮像素子は有効画素数約1820万のCMOSセンサー(1/2.3型 Exmor R)で、35mm換算値(静止画4:3時)で26~130mmの光学5倍ズームレンズを搭載する。液晶モニターは3.3型有機EL(TruBlack)で静電容量式のタッチパネルとなっている。静止画撮影時のISO感度は自動/64/100/200/400/800/1600/3200/6400/12800。記録メディアは内蔵メモリー約105MBが使えて、メモリースティックマイクロやmicroSD/SDHCメモリーカードにも対応する。動画撮影はフルHD(AVCHD 60i/60p/1920x1080)に対応。

 非常に多機能&高機能なTX300Vだが、外見にはそのテンコ盛り感が漂っていないというか、大人っぽくて静かな高級感が漂う。また、パッケージも凝っている。ロック付きの樹脂ケースで、本体および付属品一式をキッチリと収めて保管できる。

本体前面は電源オフの状態ではシンプルな黒いスレート状。電源を入れるとレンズやフラッシュが突如現れるというイメージ。主な操作部は本体上部と手前のタッチパネルだ


パッケージは樹脂製のハードケース。付属品一式をハードケースのなかにピッタリと収められる

 あとこの外観で防水ってのもイイですな。TX300Vは5m防水で防塵で-10度までの耐低温。おしゃれな外観のわりにはけっこータフ。アウトドアでの使用にもよく向きそうだ。

 ザッと使ってみての使用感だが、タッチ操作のUIはまあまあわかりやすい部類。触り始め当初「これってナニ?」という部分は少なくないが、触っていけば理解できる感じ。操作は付属のスタイラスでも行える。またiPhoneなどで使える「静電容量タッチパネル対応スタイラス」での操作も試みたが、手持ちの品全てで操作できた。

本体は小さく薄い。タッチパネルの操作感は良好。UIもわかりやすい。付属スタイラスで操作することもできる

 気になる点としては、起動がちょっと遅いこと。それから上の写真のようにかなり小さなデジカメで、レンズ部が端に寄っているので、俺の場合は撮影時に左手の指が映り込みがちだった。

 それからバッテリー持続時間。公称では静止画で約220枚/約110分(CIPA準拠)、動画で約55分となっているが、このカメラの機能上、そこまでの電池持続は現実的でないように思う。とくに後述のWi-Fi系機能を多用していると(画像ブラウズなどでけっこう時間がかかるため)、「遊んでいるとすぐ電池残量が心配なレベルに」という印象になる。

 でもまあ、ぶっちゃけた話、気楽に使えるコンパクトデジカメですな。外観もイイし携帯しやすいし、操作性の煩雑さはあまり感じられない。スムーズに利用できるカジュアルなカメラだと思う。


サクッと使えるスマホ連携

 TX300VはWi-Fi対応ワイヤレス通信機能を搭載している。これにより、撮った写真をPCへワイヤレス転送/保存したり、テレビに転送/再生したりすることができる。俺的にいちばん注目しているのが「撮った写真をWi-Fi経由でiOS端末やAndroid端末にコピーできる」という機能だ。

 てなわけで早速この機能を試してみた。TX300VとiPhone 4Sを組み合わせて使った。で、イキナリその使用感的結論を言うと「一手間かかるケースもあるが、TX300Vで撮ってiPhone写真を利用するスタイルは十二分に現実的」ということ。TX300Vで撮ったキレイな写真をスマホで手軽に活用できるようになる。

 さてその手順だが、まずスマホ類に専用アプリをインストールする。アプリ名は「PlayMemories Mobile」で、iOS用Android用がある。

 次にTX300Vを再生モードにし、画面左下にある[Wi-Fi]アイコン(スマートフォン転送)にタッチ。次いでどの画像を転送するかなどを選ぶと、TX300VをWi-Fi接続待ち受け状態にする。TX300VがWi-Fiアクセスポイントになる状態だ。

 ここからはスマホ(ここではiPhone 4S)での操作。Wi-Fi接続設定画面でアクセスポイントとしてTX300Vを選ぶ。初回接続時はTX300V上に表示されているパスワードを入力する。

 そしてスマホとTX300VがWi-Fi接続できたら、インストールしておいたPlayMemories Mobileアプリを起動。接続機種としてTX300Vを選び、表示されたサムネイルからスマホに転送したい写真を選んで[コピー]をタッチすればよい。iPhoneの場合ならコピーした写真がカメラロール内に現れる。
 以上の様子を写真で追ってみよう。

静止画再生モード画面左下のWi-Fiボタンにタッチ画像をどのようにスマートフォンに転送するか決定そうすると、TX300VがWi-Fiアクセスポイント化する


ここからはスマホ側の操作。画像はiPhone 4SでPlayMemories Mobileアプリを操作している様子だ。Wi-Fiネットワークの接続先としてTX300Vを選ぶ。その後アプリを起動すると、TX300Vへ自動的に接続する


接続後、少し間を置いてTX300V内の静止画サムネイルが表示される。一枚表示も可能。コピーしたい画像を選んで[コピー]ボタンにタッチする。コピー中はどの画像がコピーされているかなども表示される


コピー完了の図。中央がコピー前、右がコピー後のカメラロール内の様子。アプリの機能は「TX300V内のサムネイルを表示」して「選んだ画像をコピーする」だけ。コピー後は当該フォルダ(iPhoneならカメラロール)上の写真を各種アプリで扱う

 てな感じ。スマホ上に登録済みのWi-Fiアクセスポイントエリア内にいる場合、たとえば自宅のWi-Fiアクセスポイントに接続中は、「TX300VをWi-Fi接続先として選び直す」という「一手間」が必要になる。が、外出先なら多くのケースで「TX300VのWi-Fi機能を起動させるだけで、間もなくスマホがTX300Vへ自動接続する」。ので、非常にシンプルに利用できる。

 なお、各操作にかかる時間だが、まずTX300VがWi-Fiアクセスポイント化するまでに数秒から十数秒かかる。それから、スマホ上にTX300Vのサムネイルが表示されるまでの数秒から十数秒。画像枚数によってはもう少しかかるかもしれない。

 TX300V→スマホへの画像コピーにかかる時間だが、iPhone 4Sで試した結果、TX300V内の19枚の写真(合計53.4MB)をiPhone 4Sにコピーするのに約30秒かかった。

 ちなみに、PlayMemories Mobileアプリ使用時、写真の転送サイズは、「2M」か「VGA」から選べる。また、サイズが2M以上の場合は2Mに変換され、2M未満の場合は撮影されたサイズのまま転送される。

 ここでは「2M」を選んで転送したが、転送後の写真はすべて2Mサイズ以上だったため自動縮小され、転送後の画素数は1440×1080ピクセルになった。また、合計ファイルサイズは7.9MBとなった。

 ともあれ、1440×1080ピクセルの写真×19枚がiPhone上に現れるまで約30秒。前述のそれぞれの動作にかかる時間を含めても、かなりクイックに画像を転送できるという印象になった。

 このWi-Fi機能の全体的な使用感は「TX300VがiPhoneの周辺機器になった」という感覚。無理して連携させているという違和感はない。カメラとスマートフォンがシームレスに連携すると「これはたびたび活用してしまう」と思うわけだが、多用するので、ちょいとTX300Vの電池の保ちが気になったりはする。


かなり便利な非接触充電とTransferJet

 前述のWi-Fi系機能の実用性を知った途端にTX300Vが最強に欲しくなった俺なんですけど、もうひとつ、付属マルチステーションおよびTransferJet(トランスファージェット)機能がイイ感じだった。ソニー、ヤルじゃん、とか思った。

 まずマルチステーションだが、この上にTX300Vを置くだけで充電・給電が可能。非接触充電対応の充電台ってわけですな。考えてみれば、多くのデジカメはUSBケーブルをつなぐか、バッテリーを抜くかしないと充電できなかった。しかしTX300Vの場合は台の上に置くだけ。これで充電デキちゃうのは非常にラクである。

 ちなみに、充電するために「置ける向き」は1種類のみ。画面を上に向け、ケーブル側が本体上部になるように置かないと充電はされない。この点、どの向きにして置いても充電されるようなシクミにして欲しいモンですな。

 それから、このマルチステーションとTX300V、TransferJetというソニー独自の近接無線通信技術に対応している。ので、たとえば「マルチステーションの上にTX300Vを置くだけで写真をPCに転送することができる」のだ。USBケーブル接続とか、メモリカードの挿抜とか不要。非常に手軽。

付属のマルチステーションには非接触でTX300Vに充電する機能がある。マルチステーション上に正しい向きでTX300Vを置くだけで充電・給電が行われる。マルチステーションには付属USBケーブルを接続し、一端をPCもしくは付属ACアダプタにつなぐ
マルチステーションの上に、再生モードにしたTX300Vを置くと、TransferJetが機能する。マルチステーションとPCがUSB接続されていれば、PCがTX300Vの接続を検知し、画像取り込みウィザードなどが起動する。都度ケーブル接続したりメモリカードの挿抜をする手間は一切ない

 使うほどに利便がわかるマルチステーション。TX300V&マルチステーションから、ほかのデジカメに移ると、なんかこういきなりローテクな面倒くささが増すような気もしてくる。

 てな感じのサイバーショットDSC-TX300V。ほかにも多彩な機能があるコンパクトデジカメだが、今時的デジカメに求められる機能はフル装備という感じ。個人的には「ちょい小さ過ぎ」という印象が否めないが、その豊富な機能や実用性のどれかが、いろいろな人に「刺さる」ような気がするので、興味のある方はぜひ一度実機に触れてみてほしい。


2012/3/26 06:00