SOCIUSのBluetoothハンドセット機能を試す

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


SOCIUSのBluetoothハンドセット機能を試す

 最近いくつか「スマホと無線でつなげて使う受話器」的なハードウェアを試した。エレコムのマルチデバイスBluetoothキーボード「TK-MBD041シリーズ」やグリーンハウスの「Bluetoothミニフォン GH-BHMPA」である。

 両機ともなかなか便利ではあるが、細々した難点があった。そこで「これならもっとイイはず」と考え、ウィルコムの「WX01S SOCIUS(ソキウス)」(SII製)を試してみた。

ウィルコムの「WX01S SOCIUS(ソキウス)」(SII製)。通話用途を重視したPHS端末で、スマートフォンとBluetooth接続すれば受話器(ハンドセット)としても機能する。カラーは、ルビー、ブラック、ホワイト、ゴールド、ネイビーの5色がある。中古白ロム(ネイビー)を1万円少々で購入した

 この「WX01S SOCIUS」(以下、SOCIUS)は2011年の10月発売の端末なので、端末としては今さらな感じではある。が、Bluetooth受話器として使ったらどうなのかな? てな興味から、ネットオークションにて中古品・白ロムを購入した。1万円少々。一瞬、WILLCOMのPHS回線を新規契約してSOCIUSを買おうかと思ったが、「白ロムで不便なく使えるのか?」的な疑問が出たので、とりあえず白ロムを。

 ちなみに、白ロムとは「回線契約情報が書き込まれていなくて通話や通信ができない端末」のこと。最近ではSIMカードを抜いちゃって通話や通信ができなくなった端末のことを指したりもする。通話/通信のための回線が使えない状態の端末のことだが、通話/通信に関わらない(キャリアの通信網を使わない)機能は利用できたりする。

 で、試した結果から言えば、スマホ用の受話器として使うならSOCIUSはそーとーイイと感じた。細々した不足感はあるものの、俺とか「そうか~それならWILLCOM回線契約してSOCIUSをメインの通話用端末として使おうかな♪」と思ったりした。ともあれ以降、SOCIUSの「Bluetooth受話器としての機能や使用感」をレポートしてみたい。


電話を受けられる、そして、かけられる

 SOCIUSは、スマートフォンにかかってきた電話に出たりするためのBluetooth受話器として使える。SOCIUSに4台までのスマホを登録でき、同時に2台までのスマホとBluetooth接続しておける。通話は1台だけとなる。

 SOCIUSをBluetooth接続して使うスマートフォンとしては、iPhone 4SとGALAXY Note SC-05Dを選んだ。って言うかこれら以外の回線入り携帯電話持ってないっス。

SOCIUSのサイズは約幅4.5×高さ12×厚み1.15cmで、質量は約77g。iPhone 4SやGALAXY Note SC-05Dよりも小さく軽い。2インチの液晶画面の解像度は240×320ドットで、フル充電からの連続通話は約5時間、連続待受は約490時間となっている

 そしてまずは、SOCIUSとこれらスマホとをBluetooth接続(ペアリング)。メーカーであるSII(セイコーインスツル)のウェブサイトにはSOCIUS対応機種(http://www.sii.co.jp/wx/01s/smartphone_link/index.html)一覧がある。そこにはiPhone 4Sはあるものの、GALAXY Note SC-05Dはナイ。またこのSOCIUS、前述のとおり白ロム。2機種のスマホとちゃんとつながるかな~?

 てな不安は数分で消えた。どちらのスマホとも問題なくBluetooth接続できた。接続手順はSOCIUSの取扱説明書(http://www.sii.co.jp/wx/01s/download/instruction.html)の56ページ以降「Bluetooth機器と接続して使う」の章にあるが、Bluetooth受話器としては非常にペアリングしやすいと感じた。

SOCIUSのBluetooth関連メニュー。非常にわかりやすいですな。ペアリング後は、スマホへの接続/接続解除は一括して受話器ことSOCIUSから行えるので、イメージしていたよりずっと扱いやすい

 ペアリング後、それぞれのスマホに電話がかかってくると、SOCIUSに着信があるカタチになる。そしてSOCIUSの受話ボタンを押せば通話できる。着信音関連は、SOCIUSの着信音やバイブレーターを使えるのに加え、着信音としてスマホのものを鳴らすこともできる。

 それから、SOCIUSから電話をかけることもできる。SOCIUSに電話番号を入力するか電話帳から1件を選ぶかすれば、Bluetooth接続中のスマホからも、SOCIUS(PHS回線)からでもかけられる。

SOCIUSは、スマホにかかってきた電話に出ることも、スマホから発信することもできる。もちろん発信/着信履歴も残る。電話番号がSOCIUS内の電話帳に登録されていれば、その登録名が表示される

 つまり、通話に関しては、スマホに一切触れる必要がない。というか、発信時に「どの回線からかけようかな」と意識すること以外は、スマホの存在は意識せず済む感じ。スマホの通話機能をSOCIUSに移植しちゃったようで、なんか不思議である。ともあれ、非常にスマートに通話用回線をSOCIUSに統合できたという感じだ。

 またSOCIUSの場合、詳しくは後述するが、電話帳がかな~り実用的。加えて、単体で電話機として利用するためのハードウェアでもあるので、サイズや操作性がたいへん良好。以前に試したBluetooth受話器と違い、小さくない画面と扱いやすいメニューおよびボタンによる操作は、煩雑さや面倒をほとんど感じさせない。アタリマエではあるが、電話機として使いやすいですな。

 なお、ペアリングした後は、スマホとSOCIUSのBluetooth接続/切断は、SOCIUS上の操作だけでササッと行える。まあ実際に使っているとそうする必要も少ないが、接続/切断の操作もスマホに触れる必要がない。

 てな感じで、SOCIUSの受話器としての使用感は、全体的に非常に良いんであった。逆に残念な点を挙げると、スマホの電話帳が巧く転送できない場合があること(後述)と、SOCIUSに対してはBluetoothヘッドセットの類を接続できないところくらいだ。


あら便利!! と感じるシチュエーション

 SOCIUSを使っていて「あら便利!!」と感じるシチュエーションは、予想よりずっと多かった。いくつか具体例を挙げてみたい。

 まず、スマホでの通話時にアリガチな「スマホ画面に顔の油などが付く」ことがなくなった。通話後、たいていいつもスマホ画面を拭く俺なんですけど、あの面倒がなくなったので非常に快適だ。

 それから、「スマホで通話中にスマホ上のアプリを使う」ことが容易になった。イヤホンマイクやBluetoothヘッドセットを使っていないと「なかなかやらないこと」だったが、これを気軽に行うようになった。

 ただ、SOCIUSに有線のイヤホンマイク類を装着していない場合、片手でSOCIUSを持っているので、スマホは片手で操作することになる。「通話しながらアプリも多用」を快適に行うなら、スマホにBluetoothヘッドセットを接続し、スマホを両手で扱うほうがより快適ですな。

 あと意外なほど便利なのが、スマホを充電中にSOCIUSだけで通話できること。自室にいるときはスマホをクレイドルの上にセットしている俺だが、スマホでの通話時でもSOCIUSだけの操作で済むのが良い。2台どちらのスマホに着信があっても、SOCIUSで受ければよく、スマホをクレイドルから外す必要がないのは、とてもラク。

 それから、発信が快適だと感じる。SOCIUSは物理的なキーで操作する端末で、片手で軽快に操作していける。発信は、電話帳ボタンを押し、テンキーで登録名(ふりがな)を入れていけば非常に効率よく電話帳検索を行える。フィーチャーフォンならではのクイックな操作感でパパッと発信できるのは、やはり気持ちイイ。

 てな感じで受話器としてのSOCIUSはナニカと便利。そこで感じるのが「あーこれでSOCIUSにBluetoothヘッドセットをつなげられたらな~」てなコトだ。あるいは、SOCIUS専用でもいいので無線ヘッドセットの類があれば、と思う。そうなれば、SOCIUSを手に持てないようなシチュエーションでもSOCIUSの「スマホの発着信ハブとしての利便」を享受できまくりで非常にイイと思うのだ。

 なお、SOCIUSには平型イヤホン端子がある。ので、平形コネクタのヘッドホンマイクやヘッドセットがあれば、有線にはなるがハンズフリー通話ができる。


電話帳も実用的

 SOCIUSはBluetooth受話器以前に今時的なPHS端末なので、今時的でマトモな電話帳を備えている。登録可能件数は1000件で、1件あたり3つの電話番号と3つのメールアドレスを入力できるほか、住所など各種情報を入力でき、グループ設定や着信音設定なんかも細かく設定できる。

SOCIUSの電話帳。十分に詳細な情報を入れられる実用的な電話帳である

 俺的にかなり興味があったのが「Bluetooth経由のスマホからの電話帳転送」である。基本的には、BluetoothのPBAP(フォンブックアクセスプロファイル)に対応したスマホなどの機器からSOCIUSへ、無線(Bluetooth経由)で電話帳転送が行えるのだ。

 で、iPhone 4SとGALAXY Note SC-05Dから転送してみた結果は、ケースバイケースで良かったり悪かったり。今回試した限りでは、完璧な電話帳転送はできなかったものの、けっこー実用レベルの転送ができたり、電話帳を自由に編集する手段があったりで、なかなか使えるかも、みたいな。

 具体的に、iPhone 4Sからの転送は大失敗状態。登録名のふりがなが正しく再現されず、検索はおろかソートさえできない状態に。実質上、使い物にならない電話帳となった。もちろん何度試しても同様。

 GALAXY Note SC-05Dからの転送は、まあまあ良好。電話番号がFAX番号として登録されたりと細かな不都合があるものの、基本的な部分では「通話先番号を選ぶための電話帳」としてはまあまあ使える状態で転送された。

 もしかしたら、俺の場合、PC上の電話帳をiCloudに転送したりGoogleに転送したりし、それをさらにスマホ経由でSOCIUSに転送しているのが原因かも? さらにこの電話帳は二十年近く前から変換に変換を重ねたものだからかも? とにかく、スマホからSOCIUSへの「完璧な電話帳転送」はできなかった。

 あるいは、ほかの環境で試すと、電話帳も問題なく転送されるのかもしれない。ので、電話帳の件は「スタパの場合はこうだったらしい」くらいの感覚で捉えていただければと思う。

 ただ、SOCIUSでは「WXデータツール」というPC(Windows 7/Vista/XP SP3)用のユーティリティが使える。SOCIUSの画像やサウンドや電話帳などをPC/SOCIUS間で転送できるソフトだ。これを使うと、PC上でSOCIUSの電話帳を編集したり新規に作ったりすることができる。ので、ある程度手間はかかるものの、「WXデータツール」で完璧な電話帳を作ったり編集したりして、SOCIUSに書き込むことができる。

WXデータツールの表示例。SOCIUSから電話帳を読み込んだり、SOCIUSへ電話帳を書き込んだりできる。ちなみに、写真中央がGALAXY Note SC-05Dから転送した電話帳で、写真右がiPhone 4Sから転送したもの。iPhone 4Sからの転送では、ふりがなの部分にほかのデータが入ってしまった。が、このソフトを(がんばって)使えば修正できる
PC上で詳細な電話帳編集も行える。PCとSOCIUSはUSB接続し、PC/SOCIUS間で電話帳などのデータをやり取りできる

 ともあれ、SOCIUS、Bluetooth受話器としてはかなり高いレベルの実用性があると思う。今回は白ロムで試したが、もしPHS回線入りで通話可能なSOCIUSだったら、利便がもうひとつ高まるかもしれない。ていうかなんか、音質的にも料金的にも魅力的なPHS。ホントにSOCIUSでPHS回線契約してメイン携帯電話にしたい気がしている俺である。

 さておき、Bluetooth受話器や通話専用機を気にしている人には、かなり見どころの多いSOCIUSだと思う。デザインやサイズ感も好印象なので、興味のある方はぜひ一度実機に触れてみてほしい。


2012/8/6 06:00