スマホがつながるイエデン♪ 「ユニデン DECT3288」

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


スマホがつながるイエデン♪

 今回のネタはコードレス電話器。モノはユニデンのDECT3288である。コレ、「ケータイ/スマホとBluetooth接続できるイエデン」なのだ。イエデン=家の電話=固定回線(用の電話機)、ですな。

ユニデンの「DECT方式コードレス電話機 DECT3288」。Bluetooth MOBILE PHONE Link機能により、携帯電話やスマートフォンと接続して送受話できる。カラーはホワイト、ブラック、ローズの3色。ホワイトをAmazonにて1万2181円で購入した

 DECT3288は、DECT方式を採用したコードレスホン。DECT方式は1.9GHzの周波数帯を使うデジタルコードレス方式で、ほかの無線機器がほとんど利用しない周波数帯のため混信や輻輳が起きにくく、ノイズも少ないという。電子レンジ、無線LAN、Bluetoothなどが2.4GHz帯を使っているが、これら機器の電波的影響をほとんど受けないってわけですな。また、デジタルコードレスで通話を行うので、コードレス子機での通話が第三者に傍受される可能性が非常に低くて安心と言える。

 で、このあたりまでは、わりとフツーっぽいコードレスホンの仕様である。が、前述のとおりDECT3288はBluetooth対応。使えるプロファイルはHFP(Hands-Free-Profile)で、ケータイやスマホの受話器として使うことができる。

 最近の俺は「スマホと無線でつなげて使う受話器」的なハードウェアに興味津々。エレコムの「TK-MBD041シリーズ」やグリーンハウスの「Bluetoothミニフォン GH-BHMPA」やウィルコムの「WX01S SOCIUS(ソキウス)」(SII製)に手を出している。

左から、エレコムの「TK-MBD041シリーズ」、グリーンハウスの「Bluetoothミニフォン GH-BHMPA」、ウィルコムの「WX01S SOCIUS(ソキウス)」(SII製PHS端末)。どれもスマホなどとBluetooth接続して「受話器として使える」のだ

 そんななか「イエデンとスマホを融合できそうなDECT3288」を発見。思わずポチッと購入。サクッと試したらかなりナイスであった。ので、以降、DECT3288とスマホを組み合わせて使っての使用感などをレポートしたい。


4台までBluetooth接続可能

 DECT3288には携帯電話やスマートフォンをBluetooth接続できる。同時に接続可能(待ち受け可能)な端末は4台まで。登録しておける台数も4台までとなる。

 早速、使用中のスマホをDECT3288につないでみた。接続したのは、iPhone 4SとGALAXY Note SC-05D。フツーにササッとペアリングできた。なお、ペアリング時、PIN(パスキー)として「0000」の入力が必要になった。

DECT3288にはケータイやスマホをHFP(Hands-Free-Profile)でBluetooth接続できる「Bluetooth MOBILE PHONE Link」機能がある。最大4台までの端末を登録し、同時待ち受けができる

 これでiPhone 4SとGALAXY Note SC-05Dへの着信をDECT3288で受けることができるようになった。常用するイエデンの親機でも子機でも、ケータイやスマホにかかってきた電話を受けることができるわけですな。

 ちなみに、ケータイやスマホとBluetooth接続するのはDECT3288の親機。なので、たとえば「家にいるときはケータイやスマホへの着信はDECT3288で受ける」という場合、ケータイやスマホとDECT3288親機はある程度近づけて置いておく必要がある。

 DECT3288親機の場合、ケータイやスマホと10m程度離してもBluetooth接続できるが、状況によっては接続が切れることも考えられる。前述のようにBluetoothは2.4GHz帯を使った無線通信。同じ帯域の電波を使ったり出したりする機器(DECT方式でないコードレスホン、無線LAN、電子レンジ、無線ドアホンなど)と電波的な干渉が起きた場合は、Bluetooth接続が切れたり不安定になったりすることもある。

 ので、ケータイやスマホをクレイドルにセットするなどし、DECT3288親機の脇~同じ部屋に置いておくというのが現実的ですな。ちなみに、前述のとおりDECT3288は1.9GHz帯を使うDECT方式コードレスホン。DECT3288自体がBluetooth通信の邪魔をすることはほぼないと言えよう。


受けられる&かけられる

 さて、DECT3288にiPhone 4SとGALAXY Note SC-05DをBluetooth接続した状態で、何がデキるのか? DECT3288だけで、2台のスマホへの着信を受けたり、2台のスマホの回線を使って発信できたりする。もちろん、DECT3288はイエデンなので、固定回線を使った発信/着信も行える。

 難しいコトや特殊なコトはなく、たとえばiPhone 4Sに電話がかかってきたら、DECT3288の親機や子機は、呼び出し音が鳴ったり光ったりして着信を示す。相手の電話番号がDECT3288の電話帳に登録してあれば、相手の登録名なども表示される。イエデンにかかってきたときと同じようなイメージで、DECT3288が反応するのだ。

左から、イエデンへ着信した状態、スマホに着信した状態。表示やイルミネーションが若干異なり、直感的に「どの回線にかかってきたかわかる」ようになっている。個別着信機能を使えば「iPhoneへの着信を受けられるのは親機だけ」といった設定にもできる

 個別着信機能を使えば、子機や親機がどのケータイ/スマホへの着信を受けるかを設定できる。仕事用ケータイへの着信は書斎の子機で受け、私用スマホへの着信は居間の親機で受ける、てな設定ができるわけですな。

 また、DECT3288は今時的っていうか最新(2012年2月発売)のコードレスホン。相手や回線による着信音の鳴り分けなども可能で、親機や子機ごとのケータイ/スマホ着信時の着信音鳴り分けなども自由に設定できる。

 じつは「単にケータイ/スマホとつながるだけ」ではなく、ケータイ/スマホと接続できるのに加えてけっこーいろいろな実用機能が使える。ユニデンのウェブサイトから取扱説明書をダウンロードできる(←PDFです)ので、興味のある方は詳細を調べてみてほしい。

 さて、発信も同様で、DECT3288だけで、家の固定回線/接続したケータイやスマホのどの回線からでもかけられる。ただ、使える電話帳はDECT3288に登録したもののみとなる。DECT3288には「スマホの電話帳をDECT3288に転送して使う」といった機能はないので、ケータイ/スマホの電話帳は利用できない。DECT3288に登録していない電話番号への発信は手動入力となるわけですな。

 具体的な発信時の操作は主に2パターン。ひとつはダイヤル(電話番号)入力しての発信。もうひとつは電話帳から通話先を選んでの発信。DECT3288の場合、このほかに「どの回線から発信するか」を選ぶ操作が加わるが、実際には[通話]ボタン(固定回線からの発信用)を押すか[携帯電話]ボタンを押すか程度の操作。複数のケータイ/スマホを登録している場合、[携帯電話]ボタンを押した後に端末を選ぶという操作も加わるが、全体的に迷わずスムーズに回線の使い分けができると感じた。


予想外に「すんごく便利」なんですけど

 DECT3288には、俺的価値基準で「少々機能不足」だと感じる部分がある。細かくは後述するが、しかし、その不足があっても「超イイから子機買い増しちゃおうかナ♪」と思うほどの便利さを感じた。いや~この時代になってイエデンに価値を感じるとは思わなかった~マジで。

 DECT3288の良さは、今時的コードレスホンが持つコナレた機能の多くを、ケータイ/スマホでも利用できるようになることだと思う。DECT3288の利用価値をそのままケータイ/スマホでも享受できる、みたいな。

 たとえば、使い始めてすぐに感じるのは、DECT3288のBluetooth受話器としての実用性。歴とした電話機なので、形状とかボタンの押しやすさとかもイイ感じだが、親機~子機がかなり離れていもOKってのが非常にイイ。

 DECT3288の場合、前述のように「親機がケータイ/スマホとBluetooth接続する」のだ。親機と子機は1.9GHzのDECT方式で接続している。このDECT方式、親機と子機の間に取れる距離は、見通しで300m以上、屋内でも50m程度あるという。

 実際には、拙宅のなかだと、どこに子機を持って行っても親機と無線接続できている状態。どこでも通話できる。これはDECT3288子機がケータイ/スマホの受話器としても待ち受けできている状態だ。ほかのBluetooth受話器では考えられない無線接続距離ですな。ちなみに子機の連続通話時間は約6.5時間、待機時間は約156時間とある。子機だけ持っていれば、ケータイ/スマホからかな~り離れても、しっかり長時間通話できるのであった。

 もうひとつ、実際にはケータイ/スマホをクレイドルにセットするなどして、充電状態で使える点も良い。家ではPCやタブレットを使うというスタイルの俺としては、非常に現実的。つまりケータイ/スマホでの通話はそれら端末を充電状態で行えるので、うっかり電池切れみたいなことも防げるのだ。

 あと、コードレスホンって、フツーに親機から子機へ通話の転送とかできるじゃないですか。親機で受けた電話を子機に転送とか。あるいは受けた電話を親機と子機を使って三者通話とか。DECT3288では、こういったコードレスホン的な機能を、ケータイ/スマホの発着信時にも利用できる。

 ハンズフリー通話関連も便利。DECT3288はコードレスホンなので、当然のように子機でも親機でもスピーカーホン機能がある。シチュエーションとしては自宅用途のDECT3288となると思うが、こういうコナレ感のあるハンズフリー通話機能をケータイ/スマホでの通話にも利用できるのは快適だ。

 ちなみに、DECT3288の子機にはHS-915という別売ヘッドセットをつなげてもハンズフリー通話ができる。ヘッドセットと子機の間はケーブル接続となるが、子機をポケットに入れたり付属フックでベルトに引っ掛けたりした状態でハンズフリー通話ができるわけですな。なおこのヘッドセットは子機側の2.5φジャックにつなぐが、そのジャックには市販の2.5φプラグのヘッドセットやイヤホンマイクをつなげても使えた。

 あとですね、じつはDECT3288、固定回線に接続していなくても「Bluetooth MOBILE PHONE Link」機能を使える。つまり、使う回線をケータイ/スマホだけとしたコードレスなイエデン風の電話機として利用できるのだ。コストパフォーマンス的には一考しどころだが、DECT3288を非常に高機能なBluetooth受話器として捉えられるのも大きな魅力。DECT3288の場合、親機に対して子機は最大12台まで接続できたりするので、アイデア次第でいろいろ夢ふくらむ使い方ができるかもしれない。


「少々機能不足」だと感じたところ

 DECT3288は、刺さる人には深く刺さる新機軸なコードレスホンだと思う。もちろん俺にも刺さったのであり、前述のとおり子機を追加購入する気満々である。

 コードレスホンとしての使用感も非常によく、たとえば親機と子機がしっかり連携するというか、子機は親機の設定をいつもしっかり受け継いでいるのが小気味良い。親機がクラウドで、子機がそれを利用する端末、みたいな感じで、電話帳や各種設定などは、親機のそれを各子機が参照している。電話帳や設定が親機で一元管理されているんですな。

 なので、たとえば電話帳を登録すれば、親機でも各子機でもまったく同じ内容の電話帳を参照できる。また、電話帳登録や各種設定などは、子機でも親機でも行える。これもクラウド的な連携感があってスンナリと使えて良い。「子機と親機で設定がちぐはぐ」とか「子機と親機で電話帳データに食い違いがある」といった気持ち悪さはナイ。

 ちなみに、敢えて各子機に個別の電話帳を持たせたいという場合は、グループ分けなどして使い分ければいいだろう。電話帳は最大1000件まで登録でき、それを最大5グループに分けられる。前述のように鳴り分けなども自在。ファミリーユースくらいまでなら十分実用的な仕様のコードレスホンだと思う。

 てな感じで使うほどに「これはいいコードレスホン♪」と喜んじゃう俺である。……が、しかし、いくつか残念な部分も。

 ひとつは電話帳。結局、ケータイ/スマホの電話帳を効率良くDECT3288に転送する方法がナイのだ。DECT3288はBluetoothのHFP(ハンズフリープロファイル)対応ではあるが、電話帳データをやりとりできるPBAP(フォンブックアクセスプロファイル)には未対応。また、PCと接続する手段などもない。DECT3288の電話帳は手入力でしか作れない。イチから入力するしかないのだ。

 でも、まあ、親機でも子機でも電話帳は漢字表示されるし、着信や発信のツイデに入力しちゃえば徐々に電話帳ができてくるしで、使えない雰囲気ではナイ。ちょっと面倒だけど、的な。

 あと、壁掛けスタイルでは使えないのがチト残念。「電話機はデカくてもコードレス子機くらいまで」てな意識になっちゃった俺の場合、親機が机上の面積を専有するのはなぁ……みたいな。でもまあ表示は見やすいしボタンも押しやすいし、UI的にも階層が深過ぎなくて理解しやすいんですけどね。使用感的には秀逸と言えよう。

 あと、ケータイ/スマホにかかってきた電話に対しては、DECT3288の留守番電話系機能が一切使えない仕様らしい。これってナゼ? まあケータイ/スマホへの着信に出なかったら、ケータイ/スマホ独自の留守番電話サービスとかが発動するから、実質問題ナイと言えばナイんですけど、ケータイ/スマホへの着信に対してもDECT3288の留守番電話機能が働いたらいろいろ便利なシチュエーションがありそうな気がする。残念ナリ。

 てな感じでいくつか「機能不足」を感じたりしたが、しかし、DECT3288はスゲく実用的なケータイ/スマホ対応イエデンだと思う。モバイルな回線とオウチの回線が融合するとイロイロ便利になったりスムーズになったりスッキリしたりするので、ケータイ/スマホとイエデンの個別の存在感にモヤモヤを感じている方はぜひチェックしてみてほしい。


2012/8/20 06:00