便利&愉快な近距離無線通信「NFC」

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


便利&愉快な近距離無線通信「NFC」

 ソニーから発売された2機種のBluetoothスピーカーについて「あっ!!」と思ったので借りて使ってみた。ボール型の「SRS-BTV5」と取っ手が付いた「SRS-BTM8」である。

ソニーの「SRS-BTV5」(左)と「SRS-BTM8」(中央)。どちらもNFCに対応したポータブルBluetoothスピーカーだ。SRS-BTV5は内蔵バッテリーで駆動し、SRS-BTM8はACアダプタもしくは単3形電池×4本で駆動する。2012年10月末現在の実勢価格はSRS-BTV5が7000円前後、SRS-BTM8が8000円前後となっている

 これらのスピーカーを見て「あっ!!」と思ったのは、どちらもNFC(Near Field Communication)対応であったから。最近のスマートフォンに次々と搭載されている近距離無線通信機能ですな。

 少し前、エレコムのNFC対応シリコンキーボード「TK-FNS040シリーズ」を試用したんですけど、そのNFC自体の使用感が良かった。ていうか、ちょっとビックリ。アプリ類のインストールも使用も全部NFCを利用。つまりスマートフォンをキーボードやNFCタグにかざす(乗せる)だけで済んでしまうのだ。

エレコムのNFC対応シリコンキーボード「TK-FNS040シリーズ」。折り畳めるキーボードで、NFC対応スマホをキーボード上に乗せるだけで使える
付属のステッカー(NFCタグ)にスマホをかざすと、キーボード使用に必要なソフトウェア類をダウンロードできる。次いでスマホをキーボード上に置けば使える。あらまぁ、ラク~♪

 てな感じで、必要なソフト類の検索とか機器との接続操作~設定とかが、ほとんど機器任せ。非常にシームレス感の高いNFC体験となった。そして「NFCってイイじゃん!!」と思い、後述のアプリなどで便利&愉快なNFC体験を重ねたりしたのであった。なお、このNFCキーボードの試用レポは「Androider+ 2012年12月号」に掲載されている。

 さておき、この2機種のBluetoothスピーカーもNFC対応で、なんでもBluetoothペアリング作業もNFCにより自動化しているとのこと。これもきっと便利&愉快なハズ!! てな心意気で試用した。てなわけで以降、2機種のスピーカーの使用感およびNFC関連のアレコレをレポートしてみたい。


タッチでBluetoothペアリング完了♪

 まずはソニーのNFC対応Bluetoothスピーカー2機種で、どんな感じでNFCを利用できるのか試してみた。

 ボール型の「SRS-BTV5」と取っ手付きの「SRS-BTM8」は、基本的にはBluetoothスピーカーである。が、NFCに対応し、NFCを利用してBluetoothペアリングなどを自動化できるという。

それぞれのスピーカーの上部にはNFC対応を表す「N」マークがある。そのマークにNFC対応スマホをタッチするだけでペアリングなどが自動的に行えるという

 もちろん、ペアリングする機器側(スマートフォンなど)もNFC対応である必要があり、また「NFC簡単接続」アプリが使えるのが使用条件となる。ので、NFCを利用する場合、Android端末のみ対応となりますな。

 なお、NFC非対応の機器や、上記アプリをインストールできない機器の場合、これらスピーカーとスマホなど機器の接続は、従来どおりの手動でペアリングさせることになる。

 さて、今回これらのスピーカーに接続するNFC対応端末は、GALAXY Note SC-05DとNexus 7としてみた。

 NFCを使ってのセットアップは、基本的に「スピーカーにスマホをタッチするだけ」でイイらしい。スピーカー側は電源OFFであってもいいらしい。ので、取っ手が付きの「SRS-BTM8」(電源OFF)にGALAXY Note SC-05Dをタッチ!!

準備はスマホに「NFC簡単接続」アプリをインストールするだけ。そうしたらスピーカーのNFCタグ部(Nマーク)にスマホをタッチ。次いで「NFC簡単接続」アプリを選択して起動する
ソフトウェア起動許諾に同意すると、あれよあれよという間に、スマホのBluetoothがONになり、Bluetoothペアリングが行われる。そしてシレッとホーム画面に戻る。えっ? 完了!? みたいな気分
試しに音楽を再生してみると、フツーにスピーカー側から音が出た。スマホ上のBluetooth設定を見てみると、もちろんだが、ペアリングが完了していた

 写真で手順を追うと設定ステップ数が多いように見えるが、実際の手間はアプリのインストールくらい。タッチ後のアプリ選択や承認ボタンタップなどはあるが、連続して2タップするだけなので手間とは感じられない。セットアップの実感としては「えっ、もう完了? マジすか!?」みたいなスムーズさであった。ボール型の「SRS-BTV5」もほぼ同様にセットアップできた。

 ただ、ナゼかNexus 7とはNFCを使ったBluetoothペアリングなどが行えなかった。スピーカーの電源がOFFの状態でNexus 7をタッチすると、スピーカーの電源がONになる。ので、NFC自体は通信が行われているように思えるが、それ以降、何ら進捗がないのであった。Android OSバージョンとかが関係するのだろうか? 謎である。

 ともあれ、GALAXY Note SC-05Dとはマジ簡単&スムーズに自動接続できたのは、便利を通り越して痛快。今後のBluetooth機器はNFC対応になってくれると何かとラクなような気がする。

 なお、2種類のスピーカーの使用感だが、ボール型の「SRS-BTV5」は非常に小さいものの、「まずまず音楽を楽しめる音質」だと感じる。取っ手付きの「SRS-BTM8」はより大音量&高音質で、これなら「ある程度イイ音で音楽を楽しむ」ことができると思う。音質のチェックを含め、ぜひ一度アナタのNFC対応スマホでこれらスピーカーにタッチしてみて欲しい。


そのほかのNFCの使われ方

 NFCの楽しいところは、NFCチップを搭載した機器の間でデータのやり取りができる点。NFCについての詳細は「ケータイ用語の基礎知識-第307回:NFC とは」トッパンのページにてわかりやすく解説されているのでそちらをご参照いただきたい。

 で、身近なところでは、NFC対応(NFCチップ搭載)スマートフォン。NFC対応スマホどうしをタッチさせて、いろいろなデータをやりとりすることができる。Android端末の場合、Android 4.0から追加されたAndroid Beam(アンドロイドビーム)機能が、NFCを使った近距離無線通信機能となる。

 Android Beamが使える端末どうしだと、たとえば表示しているウェブページを相手にも見せたい場合、まず端末(のNFCチップ部どうしを)接触(タッチ)する。と、相手にURLを送信できる状態になり、画面をタップすればURLを相手に送れる。表示中のウェブページを相手の端末へとインテント(共有)するような感覚ですな。

GALAXY Noteでウェブページを閲覧中、別のNFC端末にタッチすると……こんな表示になる。画面をタップすることで相手の端末にURLを送れる相手の端末はNexus 7。Nexus 7上にGALAXY Noteと同じページが現れた♪
こちらは、Nexus 7で見ているマップを、Android Beamを使ってGALAXY Noteにビームする様子。ウェブページのときと同様、双方端末のNFCチップ部をペタリとタッチして、情報を送るわけですな
Android Beamは端末やアプリなどによって挙動が変わる。このアプリをビームしたら、相手側ではGoogle PlayのアプリダウンロードURLが開かれた

 端末や使用中アプリなどにより、Android Beamの挙動はイロイロと異なるようだが、タッチしてタップして情報送信!! というのはプチ未来気分であり、実用上役立つシーンも多いと思う。NFC対応端末が身近に2台あれば、一度Android Beamをアレコレ試してみるとおもしろいと思う。


NFC系アプリでイロイロ遊ぶ♪

 NFCは商用でイロイロ使われていたりするが、身近だと前述のAndroid Beamくらいしか実用例がないというイメージかもしれない。が、NFCはおサイフケータイのチップとして知られるFeliCa(フェリカ)や、海外で使われているMIFARE(マイフェア)などの上位互換なので、NFC系のアプリを使えば身近なFeliCaカードの情報を読むことができたりする。

 たとえば、Suica(スイカ)やPASMO(パスモ)、Edy(エディ)対応クレジットカード、香港で使える八達通(オクトパスカード)のデータを、NFC対応端末で読み出すことができる。また、ICカード入り免許もNFCの範疇。このデータも読み出せる。

 そのためのアプリはイロイロあるんですけど、たとえばNXPセミコンダクタの「NFC TagInfo by NXP」あたりがシンプルでいいかも。

手持ちの「端末などに接触して決済やチャージや情報表示ができるカード類」をNFC対応スマホとタッチさせてみる。使ったアプリは「NFC TagInfo by NXP」。PASMOをタッチさせたら履歴が表示された。あら愉快~♪
写真左のようにシロートにはよくわからねえ情報も表示される。よくわからなくて怖いので半分モザイク。写真中央はEdyカード内の情報。使ってないので0円ですな。写真左はオクトパスカードで、なんか200香港ドル弱も残っててビミョーな気分に

 このほか、各種カード専用のアプリもいくつか見つけられる。たとえば「Suica Reader」を使えば、SuicaやPASMO、ICOCAなどに記録されている履歴を表示できる。

 あるいは運転免許。「Drivers Reader NFC」というアプリを使えば、本籍などの個人情報が記録されたICカードタイプの運転免許から、それら情報を読み出せる。

「Suica Reader」でPASMOを読み取った様子。ボカシを入れているが、料金や入った駅、出た駅、路線名などもわかる。有料でCSVファイルへのエクスポートもできるようだ
「Drivers Reader NFC」でICカード入り免許を読み取った様子。これを使えば忘れがちな本籍なんかをスマホ上に表示させることができて、プチ便利

 さらに市販のNFCタグを使い、タグとスマホの機能などを紐付けして使えたりもする。のだが、今回ちょいとNFCタグの入手のタイミングがズレて、試すことができなかった。てなわけで、また機会があれば、さらにオモシロげなNFCの利用方法を探ってみたい。


2012/10/22 06:00