スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

今度のScanSnapは「非接触・非破壊スキャナ」だッ!!

今度のScanSnapは「非接触・非破壊スキャナ」だッ!!

 2013年6月13日に「あら凄そう」てな感じのスキャナが発表された。PFUの「ScanSnap SV600 (FI-SV600)」(以下、SV600)である。コレ、机上に置いた原稿に触れずにそのままスキャンできるオーバーヘッド・スキャナなのだ。

PFUの「ScanSnap SV600 (FI-SV600)」。机上に置いた原稿を触れずスキャンできるオーバーヘッド・スキャナで、3cmくらいの厚さの本なども断裁せずそのままスキャンできる

 なんかこのスキャナ、本や雑誌などを断裁せず、見開き状態で机上に置き、そのままスキャンできるらしい。イメージとしては、上から写真を撮るような感じだが、そのときにできる本の歪みなんかも自動的に補正してくれるっぽい。厚み3cmくらいまでの本などならそのままスキャンできるとのこと。

 発表直後には「なるほどネ」くらいにしか思わなかったが、アレコレ考えてみると「アレに使えるかも」「コレにも使えるかも」と徐々にテンションが上がってきた俺……ももも、もしかしたらこのSV600、俺の紙撲滅活動をさらに推進させる装置になるかも!! と思い、取り急ぎメーカーから実機を借りて試してみることにした。

 で、アレコレ試した結果から言うと、ひとつは「これまでにない、非常に手軽な汎用スキャナ」だと感じた。同時に「自炊方面への利用も期待したが、自炊の効率は従来型のScanSnapのほうが良い」とも思った。ともあれSV600、刺さる人には深く刺さる「ScanSnapの新機軸」であることは間違いない。俺にはけっこー深めに刺さったがさておき、以降、SV600の機能や使用感などを見ていきたい。

SV600はどういうスキャナか?

 SV600は、従来のADF(Auto Document Feeder;原稿自動送り)方式のScanSnapとは全く異なる方式のドキュメントスキャナだ。机上に置いた原稿を本体上部のヘッドで「舐めるように撮影」しつつスキャンするので、原稿に触れずにスキャンできる。厚みのある本をスキャンした場合でも、スキャン後に本の歪みをソフトウェア処理で補正するので、事前に本などを断裁してバラす必要もない。非接触・非破壊のスキャナってわけですな。

SV600は本体上部にヘッドを内蔵した「オーバーベッド型」のスキャナで、ヘッドが動いて原稿の上部から下部へとスキャンしていく。ヘッドと原稿の距離は、ヘッド真下あたりで30cm、いちばん遠い場所で40cm程度あるので、原稿は歪んだ状態で読み込まれるが、スキャン後のソフトウェア処理により原稿に近い形状・比率に補正される

 細かな仕様は、まずオーバーヘッド読み取り方式ということで、片面読み取りとなる。最大読み取りサイズはA3横。カラー/グレー/白黒の自動識別読み取りに対応し、最大解像度はカラー/グレーで600dpi、白黒で1200dpi相当となる。

 ちなみに、1回(1枚)のスキャンにかかる時間は約3秒だが、読み取りモードや読み取り直後のソフトウェア補正などでトータルの読み取り時間は変わってくる。自炊の観点で考えると、本を10見開きスキャンするから3秒×10見開き=30秒というわけにはいかず、実際はもっと時間がかかる。

 ほか、詳しい仕様はメーカーの製品紹介ページにあるとおりだが、使ってみての第一印象は「サイバー!!」ということ。あ。もう古いかな。サイバー。「未来の装置」って感じなんスよコレ。SF映画に出てきそう。

 たとえばSV600の台座部分のScanボタンを押せば、スキャンが始まるんですけど、そのスキャンの様子がカッコイイ───ボタン押下直後、ヘッド部が光り、原稿上を棒状の光りとなって走査し、スキャンが行われる。そのときのモーター音もイカシており、高めの音から低い音へとスムーズに変わっていくあたり、インテリジェントに制御されたロボットというイメージ。てか、下手な文章による表現は諦め、ここは一発、動画でどうぞ!!

 やっべぇ〜!! SV600の動作の様子を毎日朝昼晩見るためだけにSV600買いたくなってきた!! やっべぇ〜!! マジやっべぇ〜!! って、いい年して何テンション上がってんだよ>俺。みたいな。

紙のスキャンがいろいろ便利♪

 SV600の動作スゲくカッコいい〜やっべぇ〜マジやっ(中略)落ち着いたところで現実的な使用感を言えば、まず、単純に、これまで若干面倒だった紙類のスキャンが手軽に行えてイイですな。たとえばペラ1枚のドキュメント、メモ、名刺などを、「机上に置いてボタン押すだけでスキャンできてラク」だと感じる。

 SV600でのスキャン手順は、SV600手前に付属の黒いマットを敷いて、その上に原稿を置いて、SV600のスキャンボタンを押す。原稿は傾いていてもよく、傾きは自動補正される。複数枚の原稿を並べて置いてのスキャンも可能で、それぞれ自動補正〜分離されて保存される。

 のだが、なんか、原稿の輪郭が認識できればいいようで、付属の黒マットを使わずとも、机上面色と原稿色にある程度のコントラストがあれば、ちゃんと「このエリアが原稿で、このエリアは机上面」と認識されるっぽいですな。

SV600の手前に付属の黒いマットを置き、その上に原稿を置く。次いでSV600台座部分のスキャンボタンを押せばスキャンが始まる
スキャン動作終了以降は、従来のScanSnapシリーズのスキャン結果保存手順とほぼ同じだ

 SV600の手前に原稿置いてスキャンボタンを押すだけ、てな手順ですな。置いて、押すだけ、なので、手っ取り早い感が非常に高い。スキャン結果は従来のADFタイプのScanSnapよりも画質的に劣っている───ソフトウェア補正後も一部歪んでいたり、ヘッドから遠い部分の精細さが低かったりするが、視認性という部分では「その内容を十分視認できるスキャン品位」だと思う。

名刺をまとめてスキャンした例。それぞれの名刺を個別に認識し、スキャン結果はCardMinderや名刺ファイリングOCRといった名刺管理ソフトで利用できる
レシート類をまとめてスキャンした例。これもそれぞれのレシート類を個別に認識する。PDFとして保存した場合は、各レシートが1ページとなる。十分内容を読めるスキャン結果だ

 細々した紙をスキャンしがちな人には快適なSV600ですな。紙を並べて置いて、スキャンボタンを押すだけなので、実質、ADFタイプのスキャナやフラットベッドタイプのスキャナより手間が少なくてラクだ。
 SV600は厚みのある本のスキャンもできる。てか、それがこの機種のアドバンテージですな。断裁できない本、断裁したくない本、スキャナと接触させたくない紙資料などもスキャンできるというのが、SV600のひとつの大きなウリである。

厚みのある本もそのままスキャンできる。読み取り直後は歪んだ状態だが、これを自動的に補正することができる
手動での補正も可能。原稿の輪郭を指定する程度なので、手動での補正も手軽に行える。原稿の端を押さえた指などを除去することもできる。ヘッドから遠いほど解像感が失われるが、ほぼA3サイズでスキャンしても原稿を十分視認〜読み取れるクオリティがある

 あとこのSV600、試してみたら新聞のスキャンも便利でしたヨ。新聞記事の切り抜き保存とかが手軽にできるかも。具体的には、保存したい記事を真ん中あたりに置いてスキャンするだけだ。

新聞の切り抜き保存的なコトをするのも手軽。切り抜きたい部分を置いてスキャンするだけ。手動での補正機能を使えば、特定エリアだけを保存できる

 てな感じで、ちょっと使った程度でも、いろいろな用途が見えてくるSV600。その用途の多くに共通するのが「そうそう、この使い方ってADF方式のScanSnapとかだと意外に手間かかるんだよな」というコトだ。
 SV600のスキャン結果は、従来型のScanSnapなどと比べるとクオリティが高いとは言えない。だが、たとえば雑誌や新聞の小さな文字くらいまで十分読めるクオリティはあるので、「読めればいい」「後から確認できればいい」という用途になら「手軽さ」という点で非常に優れたスキャナだと思う。

紙以外はどうかな?

 紙以外のモノもいろいろスキャンしてみた。その結果を写真でご覧いただきたい。

クレジットカードのスキャン例。部分的に反射により刻印が見づらいものの、数字などを読み取ることはできる
ソフトウェアDVD/CDなどとシリアルナンバーやCDキーなどをまとめてスキャンした例。シリアルナンバーなどは、完全ではないもののOCRによりテキスト化されるので、PCへのシリアルナンバー入力が少しラクになる
卓上カレンダーをスキャンした例。デジカメなどで撮影するよりはラクでありかつ視認性も高い
掃除用のウェットシートのパッケージを白い机上面に置いてそのままスキャン。こういう立体物でもけっこーキレイにスキャンされる。トリミングも自動で行われた
化繊のポーチを白い机上面に置いてそのままスキャン。意外なほど質感がシッカリ出ている
SV600付属の黒マットの上に、白い紙を置き、その上にペンを置いてスキャン。ペンの立体感が微妙に不思議な感じだが、ホンモノと比べてほぼ正しい比率になった

 だからどうした? というスキャン例が多いが、単純に好奇心で試してみただけであった。しかし立体物もけっこーキレイにスキャンできるモンですな。用途によっては使える「SV600による立体物スキャン」かもしれない。

 SV600でゼヒ試したい!! と思っていたことがある。キーボードのスキャンだ。厚み3cmくらいまでのモノをスキャンできるSV600なので、PC用キーボードもスキャンできそうだ。

 なぜキーボードなのかと言うと、仕事柄キーボードのキー配列をちょくちょく撮影するから。でも、アレ、面倒なのだ。キーボードとカメラを真正面で向き合わせる必要があるし、そうすると照明にも一手間かかる。SV600で巧くキー配列を撮れたら、そのためにもSV600を買おうかナ、とまで考えている。

 のだが、結果から言えばイマイチ。キー配列自体はしっかりスキャンできるし、縦横比率もちゃんとしていると思う。が、キーの質感などはあまり再現されないのであった。

左から、アップルの「Apple Wireless Keyboard」、マイクロソフトの「タイプ カバー」、ロジクールの「Logicool Wireless Solar Keyboard k760」。どれもキー配列の確認はできるが、素材質感などは乏しい

 こんな感じで、キーの上の文字は視認できるものの、どういう素材感なのかなどはわかんないですな。SV600でキーボード配列ブツ撮りの目論見はあっけなく破れた。

 でも、ヘッドから照明が出ているので、ちょっとした小物を記録的に残すくらいの軽い用途なら、SV600は手軽でイイですな。ビジュアルメモ全般に便利に使えるのではなかろうか。

 てな感じで、改めてSV600の全体像を考えてみると、やはりこれまでにないスキャナですな。上からカメラで撮影するタイプのコンシューマ向けスキャナはあったが、SV600ほどキレイにはスキャンできなかった。またSV600には独自の補正機構があり、これがよく効いてくれて実用的。「フラットベッドスキャナでもADF式ドキュメントスキャナでもスキャンに手間のかかる対象」を手軽にスキャンできるという点で、手軽さを含めて新たな利便をもたらしてくれるスキャナだと感じる。

 実際、俺とか、スマホのカメラ機能でよくビジュアルメモを撮るんだが、あんまりキレイじゃなくて見にくいし、少し手ブレしてたりして、雑な感じのビジュアルメモになっちゃってたんですよね。でもSV600使えば、まあだいたいのモノはキレイ……というか確実な視認性とともにビジュアルメモとして残せるし、手ブレとかもナイわけで、やっぱりコレいいかも、とか思う。

 まあ個人が買うにはちょっと業務用価格的なお高さがあるわけだが、ハマる用途には「どハマり」するSV600ではなかろうか。店舗とかに次々と導入されそうなスキャナですな。あと、ホントにその動作がサイバーなので、ぜひ一度実機に触れてみてほしい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。