スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

カシオのスタンプ作成プリンタだゼ!!

カシオのスタンプ作成プリンタだゼ!!

 こここっ!! これはッ!! いかにも女子に向け!! 女子のハートを真っ向から刺すような製品!! すなわちカシオのスタンプメーカー「ポムリエ(pomrie)」である。オリジナルの「ハンコ」を作れるスタンプ作成プリンタですな。そしてコレ、俺にも刺さったので今回のネタとして選んでみた。

カシオの「ポムリエ」はスタンプを自作できるプリンタ。別売のインクやスタンプキットと併せて使い、カラフルなオリジナルスタンプを作れる
スタンプは全7種。インクは全8色。USB接続タイプ(PC専用)のSTC-U10と、Wi-Fi/USB接続タイプ(PC/スマートフォン用)のSTC-W10がある。カシオ直販価格は、STC-U10が5980円、STC-W10が7980円

 ポムリエは、PCやスマートフォンでデザインしたスタンプを出力できるプリンタだ。専用アプリを使い、あらかじめ用意されたデザインをスタンプ化したり、全て自分でデザインしたオリジナルスタンプを作ることができる。

 スタンプをプリント? ちょっとヘンな感じがするかもしれないが、コレ、浸透印タイプのスタンプなんですな。細かな気泡を持つシート(スタンプ面)を熱転写プリンタと同様にサーマルヘッドで処理し、熱が加わったところは気泡が塞がる。熱を加えなかったところは気泡が残る。気泡にインクを染み込ませてスタンプすることで、熱処理された部分以外が印影として転写されるというシクミだ。

 オリジナルスタンプを簡単に作れる!! という点で、こういう製品好きなんスよ~俺。ちなみに、似たようなスタンプ作成用製品として、たとえばブラザーの「スタンプクリエーターSC-370PC」がある。

 ともあれ以降、ポムリエの機能や使用感などを見ていきたい。なお、ポムリエの使い方や利用シーンを手っ取り早くザックリ知りたい方は、製品紹介ページにある動画を見ちゃうのがいいかも。

PCやスマートフォンとはこうつながる

 前述のとおりポムリエは「スタンプ作成用のプリンタ」である。機種は、USB接続タイプ(PC専用)のSTC-U10と、Wi-Fi/USB接続タイプ(PC/スマートフォン用)のSTC-W10の2機種がある。

 PCやスマートフォンとの接続だが、両機種ともPCとはUSB接続して使うことができる。いちばんシンプルな設定での使い方ですな。両機種ともスマートフォンとはUSB接続できない。

 それから、Wi-Fi/USB接続タイプ(PC/スマートフォン用)のSTC-W10の場合、PCとのUSB接続に加え、PCやスマートフォンとのWi-Fi接続にも対応する。また、スマートフォンでポムリエを使いたい場合は、こちらの機種を選ぶことになる。

 Wi-Fi接続対応のSTC-W10では、Wi-Fiの接続モードとしてアクセスポイントモードとクライアントモードを切り替えられる。アクセスポイントモードは、ポムリエとPC/スマートフォンを直接無線接続するモード。クライアントモードは、無線LAN(Wi-Fi)ルータを経由してポムリエとPC/スマートフォンを接続するモードだ。

アクセスポイントモードとクライアントモードの切り替えは、本体背面のスライドスイッチで行う。
ポムリエのWi-Fi設定をiOS版アプリから行っている様子。Android版アプリやPC版アプリからも同様に行える。

 スマートフォンからポムリエを使うのに手っ取り早いのは、アクセスポイントモードですな。これなら、スマートフォンからポムリエのWi-Fiアクセスポイントを見つけてつなげるだけ。初期設定ではパスワード未設定なので、アクセスポイントとしてポムリエを選ぶだけで接続が完了する。

 ただ、アクセスポイントモードだと、ポムリエと接続中のスマートフォンはインターネット接続できない。ポムリエにもネットにもつなげたい場合にはクライアントモードとして、ポムリエをネットワークプリンタとする必要がある。

 既に家庭内Wi-Fi環境があるなら、ポムリエをそのネットワークにWi-Fi接続するのが何かと快適だと思う。ネットワークプリンタにすれば、PCからもスマートフォンからもポムリエにアクセスできて使用時に手軽&便利っす。

 ちなみに、Wi-Fi関連の設定はポムリエ本体内に保存されるが、初期化処理を行えばこれら設定はクリアされる。初期化の方法は「本気の電源が入った状態で電源ボタンを7秒以上長押し」と説明書にある。ただし、何度か試したところ、ポムリエのWi-Fiモードがアクセスポイントモードになっていないとこの手順では初期化できないようだ。てなわけで「初期化はポムリエをアクセスポイントモードにした状態で行う」のがよろしいようで。

どうやって使う?

 さて、ポムリエを使ってのスタンプ作成手順だが、至ってシンプル。専用アプリで印面のデザインを作成し、それをスタンプシートにプリント(熱転写)。次いでそのスタンプシートをスタンプベースなどのパーツと組合せる。さらにスタンプシートに好みの色のインクを染み込ませれば、オリジナルスタンプの完成となる。

ポムリエ用アプリでスタンプをデザインしている様子。多数のテンプレートから好みの印影を選んでスタンプ化することができる。完全オリジナルスタンプの作成も可能だ
テンプレートを使えば、選んで確認する程度で作業はデザイン作業は完了。非常に容易にスタンプを作れる

 アプリの操作は、テンプレートを使っている限り、まず迷わないと思う。ウィザードに従って作っていけばよく、誤操作などの失敗する要素はなさそうだ。次いで行われる「製版」も、手順がわかってしまえば非常に容易な作業である。

アプリ上の「製版します。よろしいですか?」にOKをクリックしたら、専用のシートホルダーを、本体背面のスリットから挿入する。間もなくプリントが行われ、シートホルダーが本体前面から出てくる
黒い部分がスタンプで、そのなかのグレーの部分が印影となる。シートを折ってスタンプ面を取り出し、スタンプベースに貼り付ける
スタンプ面をスタンプベースに貼ったら、インクを染み込ませる。インクが染み込んだら、何度かテストスタンプを押す
スタンプが十分キレイに押せるようになったら、シールにスタンプし、これをスタンプの頭に貼ってできあがり

 スタンプとしての品位は、あまり高精細ではなく、さほどクッキリした感じではない。が、言い換えれば素朴なイメージのスタンプができる。手作り感溢れる雰囲気なので、アプリから自動生成したにしては「完全自作みたいな味」があるように見える。イイ感じっす。

 なお、専用アプリはPC用とスマートフォン用が用意されている。PC用はWindows版の「pomrie PCソフト STC-PC10」のみ。スマートフォン用はiOS版の「pomrie STC-IP10」と、Android版の「pomrie STC-AD10」がある。

左からそれぞれ、PC版、iOS版、Android版のアプリ。どれも無料でダウンロードして使える

 PC用アプリとスマートフォン用各アプリは、基本的には同機能。使い勝手もだいたい統一されているので、PC用アプリを使えばスマートフォン用各アプリを、スマートフォン用アプリを使えばPC用アプリを、自然と使いこなせると思う。各アプリはポムリエがない状態でも「製版直前の段階まで」なら自由に使えるので、興味のある方は試してみてほしい。

スターターキット的な存在も

 ポムリエを使うには、当然だがまずはポムリエ本体が必要。前述の2機種のどちらかを選ぶわけだが、それだけだと「1個しかスタンプを作れない」のであった。理由は、ポムリエ本体にはスタンプキット(15×15mm)が1個しか付属していないから。

 スタンプキットは、スタンプの材料一式。スタンプキット1個で、1個のスタンプを作成できる。もちろん別売されていて、印面サイズ別で7種類、15×15mm、15×30mm、15×60mm、30×30mm、30×60mm、45×45mm、45×90mmが用意されている。必要に応じて適切なサイズのスタンプキットを購入するってわけですな。

 とか言われてもアレでしょ、「えー必要なサイズとかよくわかんないし~まだ使ってないんだし~」とか「本体だけ買えばある程度遊べるんじゃないの~?」という面倒感が漂うでしょ? そう思う人は「ポムリエ 年賀状スタンプ作成キット STC-W10-SET」がイイと思うんですな。

カシオの「ポムリエ 年賀状スタンプ作成キット STC-W10-SET」。ポムリエ本体(Wi-Fi/USBモデル)×1台、スタンプキット×4種類、インク×2種、布転写シート1個が含まれていて、直販価格は1万2800円
ポムリエ本体にはスタンプキットが1個付属するので、スタンプキットは合計5個含まれることになる。また、ポムリエ本体には黒インクが付属するので、インクは全3色が付属することになる

 てな感じで、とりあえずこのキットを買えば、ポムリエをひととおり楽しめるだろう。本体や別売スタンプキットを買うよりも、だいたい2500円くらい安くなってお得感もありますな。

写真からスタンプを作れたりもする

 ポムリエでは多種多様なスタンプを作れるが、完全自作のスタンプも作成可能。たとえば手持ちの写真を手軽にスタンプ化することができる。ちょっとおもしろそうですな。以下、実際に猫写真をスタンプ化してみたので、その手順を見てみよう。

「画像からつくる」を選び、手持ちの猫写真をスタンプにしてみた。まずスタンプにしたい画像を選ぶ。次いでスタンプサイズを選ぶ
スタンプサイズを示す枠に写真が収まるように調整する。さらにスタンプにしたいエリアを囲んでいく。囲まれたエリア以外はスタンプ化されないんですな。囲むエリアの微調整も可能
画像をどういうイメージでスタンプにするかを選ぶ。ここでは「リアル」を選んでみた。スタンプされたときの印影の濃さなども調節できる
エリアの外周をラインで囲むこともできる。「これでいい」となったら保存へ。次いで「製版」を選べば印面がプリントされる

 手順自体はとても簡単っス。ウィザード形式でスタンプ作成を進めていき、気に入らなかったら戻って再度トライ。これを繰り返していく感じ。では、上ので作成したイメージを実際にスタンプ化したものを見てみよう。

プリントされた印面をスタンプグリップに貼り、インクを染み込ませて、何度か試し押し。最終的に得られたスタンプ印影が右の写真となる

 微妙にイマイチ感の残る結果になってしまいました~★ 今回使った写真がちょっと複雑で、コントラストが低めだったので、モノクロスタンプ化には向かない画像だったのかも。まあ、こういうことからスタンプ自作のコツを徐々に見極めて、キレイな自作スタンプを目指すというのも、このテの製品の楽しさのひとつですな。

 てな感じのポムリエ。非常に手軽に使えるし、使って楽しいスタンプ作成用プリンタである。ただ、個人的な印象としては、スタンプキットの値段がちょっと高い感じですな。3×3cmのスタンプで直販価格945円。上記の猫写真スタンプ作るのに1000円弱。もう少し安ければなあ……という印象は否めない。だってこういうスタンプ、アレコレいろいろ作りたいじゃないスか!! みたいな。

 ほかはイイ感じで使えた。手作り年賀状にもよく向きそうですな。また、クラフト系のホビーが好きな方にとってはいろいろな可能性を見いだせる製品だと思うので、興味のある方はぜひ一度じっくりとチェックしてみてほしい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。