スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

パソコン不要のデジタル顕微鏡

パソコン不要のデジタル顕微鏡

 2013年11月にテックから2機種のデジタル顕微鏡が発表された。「ハンディーマイクロン(HandyMicron)」「スタンドマイクロン(StandMicron)」だ。両製品、仕様的にも形状的にもちょっと良さゲ。なので、お借りして試用してみた。

テックの「ハンディーマイクロン(HandyMicron)」(左)と「スタンドマイクロン(StandMicron)」(中央)。どちらも5メガピクセルのデジタル顕微鏡で、光学で250倍、デジタル拡大と併せると最大1000倍の倍率が得られる。たとえば1万円札のマイクロ文字を拡大して見るようなことができる(右)。メーカー想定売価は「ハンディーマイクロン」が1万2980円、「スタンドマイクロン」が1万9800円

 これら2機種は、どちらも光学250倍/デジタルズーム併用時最大1000倍の拡大率を持つデジタル顕微鏡。特徴的なのは、両機種ともPCを使わず単独で使える点。電源はバッテリーなので、使いたい場所に本体のみを持ち出して、その場で利用できる。もちろん、観察対象の撮影も行える。

 PCとUSB接続して使うデジタル顕微鏡は数多くあるが、スタンドアロンで使えるのはあーんまりナイですな。また、一見して両機種とも観察や撮影がしやすそうな形状。その実力やいかに!? てな視点で試用してみた。で、まずは「どんな映像が得られるのか」をザッとご紹介。

カラー印刷物を5メガピクセル(約250倍)で撮影したもので、右はその画像をドットバイドットとしたもの
こちらはiPad mini(非Retina)の液晶画面。右がドットバイドット
お約束の紙幣。一万円札ですな。右がドットバイドット

 上の写真、これら2機種の最高の解像度である5メガピクセルで撮影している。写真左が、撮影した画像を縮小したもの。写真右は、画像の書くピクセルは縮小せずトリミングしたドットバイドットの静止画となる。さておき以降、これら2機種の機能や使用感を見ていきたい。

2機種は同スペックで機構違い

 まずは各機のスペックなどを少々。「ハンディーマイクロン(HandyMicron)」「スタンドマイクロン(StandMicron)」は外見が大きく異なるが、デジタル顕微鏡としてのスペックは同じ。機構違いで、使用目的に応じて選ぶというイメージですな。

ハンディーマイクロンは縦型ビデオカメラのように手で持って使うスタイル。付属の台座を使って本体を固定して対象を観察することもできる。動画は音声記録にも対応
スタンドマイクロンは顕微鏡と同様のスタンドタイプ。平らなモノを真上から観察するのに向く。ピントの微調節がより行いやすいのもこのタイプの特徴ですな

 デジタル顕微鏡としては、前述のとおり5メガピクセルの撮像素子により、最大250倍の拡大映像を得られる。また、デジタルズームと併用すると最大1000倍の像が得られるという。

 撮像はカラーで、対象を拡大して本体のモニターにリアルタイムで映し出せる。また、これを静止画や動画として保存することもできる。保存先は本体に挿したmicroSDカードとなる。

 また、両機とも映像出力端子(コンポジット)を搭載する。ので、撮像している様子をビデオ入力端子のあるテレビなどに映し出すことができる。

 なお、両機とも、レンズ前方に8個の白色LEDランプを備える。このランプで観察対象を照らすわけですな。ランプの明るさは無段階で調節でき、消灯させることもできる。

 両機とも、単独で使えて、静止画/動画の撮影に対応していて、さらにテレビへの出力も可能。自由な場所でよりシンプルに使えるというあたり、PCとUSB接続するデジタル顕微鏡にはなかなかマネできないアドバンテージがあるというわけだ。

意外なほど使いやすいハンディマイクロン

 縦型ビデオカメラスタイルの「ハンディマイクロン」だが、使ってみての全体的な印象から言えば、意外なほど扱いやすく、汎用性が高くて好印象となった。具体的には、ピント調節ダイヤルとシャッターボタンの位置、それからレンズ前にある透明の筒により、独自の良好な使い勝手がもたらされている感じ。

本体上部にピント調節ダイヤルが、手前にシャッターボタンがある。ので、片手で持ちつつ安定して操作できる。平らな対象なら、レンズ前方にある透明の筒を押し当てて観察〜撮影できるので、ブレにくく安定した画像を得られる

 あとこのデジタル顕微鏡、けっこー遠くまでピントが合うんですよ。35mm判換算のレンズとしては、だいたい100mmレンズくらいの画角で、至近から数メートル先くらいまでピントを合わせられる。

 ポイントは至近のピント合わせ。被写体までの距離によるが、最短距離に1箇所、次いで少し遠いところに1箇所、それ以降は数メートル先まで自由にピントを合わせられるという感じだ。

 つまり、非常に倍率が高い状態と、次いで倍率が高い状態、さらにさほど倍率が高く無い状態で、対象を観察〜撮影できる。これがなかなか使いやすい。

レンズ前の透明の筒を対象にピタリと合わせ、最大倍率で撮影できる。デジタルズームを使わなければ250倍程度となる。中央はその画像の縮小イメージで、右はドットバイドットのトリミング(以下同様)
レンズ前の筒を合わせた状態で、少し拡大倍率を落とした位置にピントを合わせることができる
レンズを対象から少し離した位置でもピントを合わせられる。このあたり以下の拡大倍率なら、どの位置でもピントが合う
三脚などを変えれば、より倍率を落とした状態で対象を観察〜撮影できる

 イイ感じで汎用的に使えますな。最大倍率時は被写体にレンズ前の筒をピタリと付けられるので、ブレにくく安定し、手で持って観察〜撮影がしやすい。また、より低い拡大倍率のときのピント合わせの自由度が高いので、そこそこの倍率で観察〜撮影ができればいいという多くのシチュエーションでも実用的。まあ、あまり拡大倍率が低い場合は「それならデジカメでいいのでは?」って話になっちゃいますけどね。

観察がラク!! なスタンドマイクロン

 次に「スタンドマイクロン」。こちらを使ってみての全体的な印象を言えば、ピント合わせがしやすく、画面も見やすい位置にあるので、じっくりと長時間対象を観察〜撮影できるという感触。

 前述のハンディマイクロンも使いやすいデジタル顕微鏡ではあるが、安定感はこちらのスタンドマイクロンの方がいい。手持ち式ではなく据え置き式なので、手でホールドしたりより安定するように工夫するというストレスが少ないので、ゆったり余裕をもって使えるわけですな。

本格的な顕微鏡のようなスタイルで対象を観察〜撮影できる。対象がある方向に伸びる筒の手前にピント合わせダイヤルがあり、扱いやすい。台座高さの調節は奥のノブを回して行う。シャッターボタンは最下部の台座に、操作ボタンは画面下にあり、これらも扱いやすい

 平らなものをジックリと観察するにおいて、かなり快適に使えるスタンドマイクロン。シャッターボタンが最下部の台座にあるので、シャッター押下の振動がブレにつながるようなことも起きにくい。

 ピントが合う範囲もなかなか広い。スペック上ではハンディマイクロンと同じで、至近で約250倍、それから少し倍率を落とした位置、それ以下の倍率ならどの位置でもピントが合う。

 のだが、台座が上下する範囲の関係上、ハンディマイクロンほどは対象の倍率を自由に設定できない。たとえば紙幣の観察なら、倍率を落としても紙幣上の人物の顔をすべて画面に入れることはできない。

レンズ前の透明の筒を対象に最も接近させ、最大倍率で撮影。デジタルズームを使わなければ250倍程度の倍率ですな。中央はその画像の縮小イメージで、右はドットバイドットのトリミング(以下同様)
レンズ前の筒を対象に最も接近させた状態で、少し拡大倍率を落とした位置にピントを合わせられる
スタンドマイクロンの台座を下まで下げ、いちばん拡大倍率を落とした状態。これでもけっこー高倍率?

 ヒッジョーにラクかつ安定して使えるスタンドマイクロンだが、ある程度高い拡大倍率でしか観察〜撮影できないというわけですな。スタンドマイクロンの安定感とラクさ、ハンディマイクロンの汎用性、どちらを取るか悩むところかもしれない。

 最後に難点を少々。ぶっちゃけた話、両機ともあまり作りがよろしくない。その素材から、少々安っぽい感じがあり、また堅牢さにも欠ける。でもまあ、両機とも実用的なので、使っているうちに「まあいいか」と諦められる範囲の安っぽさではある。

 スタンドマイクロンについては、やや不足している堅牢さが、精度に関する少々の残念感に結びついている。ひとつは、ピント調節時にレンズと対象物の距離がけっこー変わること。力加減などコツを掴まないと、ややピントを合わせにくい。

 もうひとつは、観察対象を乗せる台座が操作ですこーし傾いたりしがちであること。観察対象をズラしたりしていると、台座が動いたり傾いたり。ほんの少しのことなのだが、倍率が倍率だけに、これもまたけっこーピントが狂っちゃう。

 まあ、都度、ピントを合わせればいいだけなんですけどね。また、慣れてきて少々のコツを掴めば、大した問題では無いように感じられてくる。

 てな感じで、趣味的な範囲で使うのであれば、とくに大きな難点は感じられなかった。率直な話、どちらのデジタル顕微鏡も、これまで俺が使ったことのある製品よりずーっと使いやすいという印象となった。わりと安心してオススメできるかも。

 余談だが、「もしかしてコレってPCとUSB接続すると、PC上に観察中の映像とか出ないかな〜?」と思って試したら、これら2機種はPCからWebカメラとして認識された。また、「Windows Live ムービーメーカー」なら、デジタル顕微鏡からの映像をリアルタイムで表示できた。ただ、映像は高解像ではないので、この使い方はあまり実用的とは言えない。もちろん、こういう使い方はメーカー保証外。一応試してみたらデキたヨ、ってだけの話でした〜★

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。