スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

PCレスでイロイロできそ~なドキュメントスキャナ

PCレスでイロイロできそ~なドキュメントスキャナ

 今回のネタはブラザーのドキュメントスキャナ「ジャスティオ」シリーズの最新型となる「ADS-1500W」。2013年11月に発売された製品だが、いくつか興味深い機能があったので試用してみた。

ブラザーの「ADS-1500W」。A4対応/両面同時スキャン/ADF付きのドキュメントスキャナで、A4カラー原稿を毎分18枚/36面スキャンできる。Wi-Fiネットワーク機能によりPC不使用のスキャンにも対応。実勢価格は3万円前後

 ADS-1500Wは、A4カラー原稿の両面同時スキャンに対応したドキュメントスキャナ。スキャン速度は毎分18枚/36面で、コンパクトサイズのドキュメントスキャナとしてはなかなか高速だ。

 PCとUSB接続してスキャンできるほか、Wi-Fi機能を備えているのでPCとWi-Fi接続してスキャンすることもできる。対応OSは、Windows XP/Vista/7/8およびMac OS X 10.6.8以降となっている。

 また、豊富なネットワーク系機能を備えており、PCを使わずにスキャンすることもできる。たとえば「Brother iPrint&Scan」アプリを使って、iPhone/iPod touch/iPadなどのiOS端末や各種Android端末に直接スキャンすることができる。

 あるいは、スキャン結果を各種クラウドサービスに直接アップロードしたり、FTPサーバーに転送することもできる。スキャン結果をメールに添付して自動送信することも可能だ。PCを使わず、ADS-1500W単体で、かな~りのコトができるというイメージですな。

 てなわけで以降、ADS-1500Wの機能や使用感について書いてみたい。なお、ADS-1500Wはヒッジョーに多機能なドキュメントスキャナなので、各機能の詳細についてはメーカーの製品紹介サイト製品マニュアルをご参照いただきたい。

コンパクトなドキュメントスキャナ

 ADS-1500Wはドキュメントスキャナ「ジャスティオ」シリーズの中では、「ポータブルタイプ」と位置付けられている。サイズとスキャン速度が、モバイルタイプとデスクトップタイプの中間というイメージ。基本的には机上に据え置きして使うが、容易に移動でき、そこそこ高速にスキャンできるドキュメントスキャナってわけですな。

使用時は上部カバーを開いて原稿をセットする。原稿は20枚までセット可能。サイズは幅28.5×奥行き10.3×高さ8.4cmで、質量は1.6kg。フットプリントが小さく移動も容易なので、省スペース性が高い
スキャン操作はPCやスマートフォン/タブレット側のソフトウェアや、本体のタッチ対応カラー液晶で行う。レターサイズやA4サイズ~B6サイズ程度までスキャンが可能なほか、クレジットカードなどのスキャンも行える。スキャン結果をUSBメモリに保存することも可能だ
PCへのスキャン時にPC上で使う「Control Center 4」ソフトウェア(Windows版)。左がより容易に扱えるHomeモードUIで、右が中~上級者向けのAdvancedモードとなる。ADS-1500Wのリモート設定も行える
標準的なスキャン解像度の300×300dpiでスキャンした結果(JPEG)。この解像度だと毎分18枚/36面の高速スキャンが行える。画像左がA4サイズの雑誌誌面をスキャンして横幅800ドットに縮小したもの、中央と右がドットバイドットでトリミングしたものとなる
こちらは光学最大解像度となる600×600dpiでスキャンした結果(JPEG)。この解像度だと毎分5枚/10面のスキャン速度となる。画像左がA4サイズの雑誌誌面をスキャンして横幅800ドットに縮小したもの、中央と右がドットバイドットでトリミングしたもの

 てな感じで、ドキュメントを手早く電子化するにはイイ感じで使えるドキュメントスキャナですな。USBでもWi-FiでもPCに接続して使えるので、幅広い利用スタイルに対応してくれそうだ。

PC不要で各種クラウドサービスに直接アップ♪

 ADS-1500Wはヒッジョーに多機能&高機能なドキュメントスキャナなのだが、個人的に「あーコレは便利~」と思ったのは、各種クラウドサービスへのスキャン結果(ファイル)の自動アップロード機能だ。まあ、こういう機能自体はほかのドキュメントスキャナにもあるが、ADS-1500Wの場合はPCを介さずにアップロードできる。

 具体的な手順は、まずウェブ経由でクラウドへアップロードするための準備をする。準備と言っても、専用のポータルサイトから使いたいクラウドを選んで仮登録IDを取得し、これをADS-1500Wに入力すればいいだけですな。

 その後は、ADS-1500WがWi-Fiでネット接続されていさえすれば、ADS-1500Wのみでスキャン結果をクラウドにアップロードできるようになる。スキャナ→PC→クラウドサービスという流れではなく、スキャナ→クラウドサービスという流れになるわけだ。

専用のポータルサイトにアクセスし、使いたいクラウドサービスを選ぶ。アカウント情報を入力すれば仮登録IDが発行されるので、これをADS-1500Wに入力して設定完了
ADS-1500Wのタッチパネルで「クラウド」を選ぶ。利用可能なクラウドサービスが表示される。仮登録IDによりアカウントを登録したサービスを選んでいく
次いでファイル形式や詳細なスキャン設定を選び、原稿をセットしてスキャン開始
スキャンした結果(ファイル)がクラウドに自動アップロードされた。もちろんウェブブラウザ上で開ける。スマートフォンやタブレットからクラウドにアクセスしてもスキャン結果を閲覧できる

 あ~ら便利♪ 手元の書類を電子化してクラウドに送信。あとはどこからでも自由にスキャン結果を利用できるようになる。作業の流れとして、ヒトツの理想形かもしれませんな。

設定不要でメール添付送信が可能

 ほかにもPC要らずでデキることが多々あるADS-1500W。たとえば、スキャン結果をFTPしたり、LAN上の共有フォルダに入れたり、本体背面に挿したUSBメモリに書き込んだりできる。スキャン原稿とADS-1500Wがあれば作業完了となるコトがかなり多い。

 個人的にけっこー驚いたのが、スキャン結果をメールに添付しての送信。ADS-1500W単体で、PDFやJPEGといったファイルをメールに添付して送れちゃうのである。

 その方法は2パターンあって、ADS-1500W内に自分でメールアカウント設定をして送信先メールアドレスを入力して送信する方法と、設定不要で送信先メールアドレスだけ入力する方法となる。もちろん、後者の方法が断然ラク。これは「簡単Eメール送信」機能と呼ばれるもので、ブラザーの専用クラウドサーバーを介してメールを送信するので、メールアカウントの設定が必要ナイのだそうだ。

「簡単Eメール送信」機能はクラウドアイコンからアクセスする。お役立ちツールのひとつとして「簡単Eメール送信」機能がある
「簡単Eメール送信」機能を選んだら、送付先メールアドレスを選択し、ファイル形式やスキャン設定を選んでスキャン開始。スキャン後、スキャン結果であるファイルが添付されたメールが、指定の送付先に自動送信される

 これまた純粋に便利ですな。ADS-1500W単体でスキャン→メールに添付しての送信が完結。前述の「簡単Eメール送信」機能を使えばメールアカウントの設定も要らないので非常にお手軽である。

 ただ、常用のメールアカウント/サーバーを使いたいという場合、微妙にクセが感じられるかも。ADS-1500Wへのメールアカウント設定は、ADS-1500WのタッチパネルもしくはADS-1500W内蔵ウェブサーバーにアクセスして行うが、どちらで行ってもあまり親切な印象ではない。メールアカウントやサーバーなどについてある程度専門的な知識がないと、設定は難しいように思われる。

 このあたり、ヘルプ機能やウィザード機能などで、もう少しユーザーをサポートして欲しいという印象は残った。でもまあ、とりあえず「簡単Eメール送信」機能使っちゃえばいいんですけどネ。

スマートフォンやタブレットへ直接スキャン

 これまたADS-1500W単体でスキャンできる方法だが、ADS-1500W→スマートフォン/タブレットへの直接スキャンにも対応している。スマートフォンやタブレットに「Brother iPrint&Scan」アプリをインストールし、同じWi-Fiネットワーク内でアプリからADS-1500Wを探せば使える。つまり、ADS-1500Wとスマートフォン/タブレットだけで、スキャン→スキャンしたファイルの活用ができるわけですな。

iOS版の「Brother iPrint&Scan」アプリを使っている様子。アプリ上からADS-1500Wを見つけて(接続して)、スキャンをタップすれば、ADS-1500Wにセットされた原稿がスキャンされる。スキャン結果はWi-Fi経由でアプリに自動転送されてくる。スキャン結果はほかのアプリへ共有して利用したりなど、自由に使える

 スマートフォンやタブレットといった端末は、各種アプリが揃ったコンピュータ。当然、スキャン結果のファイルをメールで送るとか、クラウドに上げるとか、いろいろデキまくりなのである。そういう端末へ直接スキャン結果を送れるのはやはり便利だ。

 てな感じでイロイロな立ち位置から活用できそうなADS-1500W。俺的には、ここまで活用幅が広くて実勢価格3万円前後ってのは好印象となった。スキャン速度もけっこー速いしネ♪

 ただ、多機能であるからか、説明書や関連ソフトウェア類、あるいはウェブサーバー経由での設定がわかりにくい感じがする。どこをどうすればどうなるの~? みたいに迷いがち。ソフトウェアやウェブサーバー自体はしっかり作られていて実用性が高いが、それらを使いこなすにはひとつふたつハードルを越える必要があるかもしれない。

 たとえば製品マニュアルとかけっこー業務用って感じのノリで、ぶっきらぼうなんスよね~。製品マニュアルに目を通せば、そのニュアンスが何となくわかると思う。

 でもADS-1500W自体は非常に実用性の高いドキュメントスキャナだと感じられた。先進的な機能をたっぷり備えた全部入りドキュメントスキャナと言えるかもしれない。ので、興味のある方はぜひ一度実機に触れつつチェックしてみてほしい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。