スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

ハンディカム「HDR-PJ800」をいつも持ち歩き中

ハンディカム「HDR-PJ800」をいつも持ち歩き中

 今年2014年に入ってから非常に頻繁に使っているモノと言えば、ソニーのハンディカム「HDR-PJ800」だ。強力な手ブレ補正機能の「空間光学手ブレ補正」やプロジェクター(壁などにビデオ動画などを映せる投影機)を搭載したHDビデオカメラですな。最近では外出時は必ずと言っていいほど持ち歩いて使っている。

ソニーのハンディカム「HDR-PJ800」。強力な手ブレ補正機能「空間光学手ブレ補正」に加え、高輝度50ルーメンのプロジェクターを搭載したHDビデオカメラだ。2014年4月現在の実勢価格は8万円前後

 なぜ毎日持ち歩いているのかと言えば、生活のちょっとした記録を動画でもっと撮りたいと思ったからだ。ライフログ的な動画スナップですな。そのきっかけは、去年始めた古いビデオテープ映像のファイル化(PCへの取り込み)。最近やっと完了したんですけど、古い私的な動画を観ることのおもしろさを再発見した感じ。

 とくに観ておもしろいのは、何の気なしに撮った動画。大した目的もなく、な~んとなくダラッと撮った動画はヒジョーにおもしろいと感じた。

 ナニカを表現しようとして狙って撮った動画もソレナリにおもしろい。のだが、そういう動画は「そんなコトしてたなあ」的に記憶に残っていたりして、まあ本人的には平凡な過去動画だったりする。

 一方、撮ったことさえ忘れるような、意識せず撮った動画からは、「え? 何これ!? ウソウソ、こんなの撮った?」的なインパクトがある。また、状況も背景も全然整理されていない感じだったりして、情報量的な新鮮ささえある。

約30年前の私的なビデオ映像。8mmビデオカメラで何となく撮った映像だと思われる。画質も悪い。のだが、今になって観ると「こんなシチュエーションがあったのか!?」と本人的には大喜びできる映像だ。ちなみに、左は若い頃に住んでいたアパートで、右は学生時代に撮った映画のメイキングビデオ的な映像
こちらはHDカメラ(ハンディカム)による日常撮り映像(縮小)。わりと最近の映像ではあるが、それでも「あらこんなの撮ったっけ?」とオモシロがれる。ちなみに、両方とも待ち合わせ前に暇だったので何となく撮った映像

 てな感じで、毎日継続的にイロイロと撮り続けると後々オモシロがれるなあ、と思ったわけですな。また、こういう類の映像は、もちろん画質や撮影方法など「質」が高いほうがいいとは思うが、作品ではなく記録なので「量」が重要だと感じる。未来の自分が何をおもしろいと感じるか、現在は不明ゆえ、なるべく多くのネタを用意しておきたい。ので、やっぱりたくさん撮っておいたほうがいいな、と思ったわけである。

 じつは去年2013年後半にソニーのハンディカム「HDR-PJ790V」を買って使ってきたが、このカメラは「HDR-PJ800」購入時にドーンと下取りに出してしまった。「HDR-PJ790V」と、今回レポートする「HDR-PJ800」を比較すると、撮像素子やレンズなどの違いで、前者「HDR-PJ790V」のほうが高画質だと思われる。が、「HDR-PJ790V」で日常を撮り続けるのはなーんか無理っぽいと感じたのだ。

 もちろん、どうせ残すなら高画質なカメラのほうがいいとは思う。のだが、ぶっちゃけた話、より画質の良い「HDR-PJ800」は、携帯性がそーんなに良くないのだ。とくに固定式のマイクがボディ外側に出っぱっているがために、バッグなどへの出し入れが非常に行いづらい。バッグなどへの収まりも悪い。

 出し入れしにくく収まりも悪いビデオカメラは、使う度にイラッとしがち。それをいつも持ち歩いて使おうとすると、いつもイラッとするのであって、徐々に持ち歩く頻度が下がっていく。結局、撮らなくなってしまう。

左が「HDR-PJ790V」、右が「HDR-PJ800」。「HDR-PJ790V」はややゴツめであり、には本体斜め上方向に出っぱった固定式のマイクがある。ので、携帯性は若干よろしくない。「HDR-PJ800」はスリムで出っ張りもないのでスッキリと持ち歩ける

 ちなみにサイズと質量は、「HDR-PJ790V」が幅74.2×高さ84.6×奥行137.5mmで質量が約575g、「HDR-PJ800」が幅67.5×高さ72×奥行124mmで質量は約450g。「HDR-PJ800」のほうが一回り小さく、ずいぶん軽い。ので、常時携帯も現実的である。

 てなわけで以降、日常使いのビデオカメラとしてどうなのか? という視点のもと、「HDR-PJ800」の使用感などについてレポートしてみたい。

強力な手ブレ補正と十分な画質

 まずは「HDR-PJ800」(以下、PJ800)の概要から。PJ800は空間光学手ブレ補正を搭載するハンディカムシリーズの最上位機種で、輝度50ルーメンのプロジェクターを内蔵している。レンズは光学12倍ズーム(Gレンズ/F1.8~3.4)で、35mm判換算の焦点距離は26.8~321.6mm(16:9時)。全画素超解像ズームでの24倍ズーム撮影や、デジタルズームによる100倍ズーム撮影も行える。

 ポイントは、まあまあフツー的なホームビデオカメラサイズでありつつ、強力な手ブレ補正機能を持ち、わりと明るいプロジェクターで動画を投影して楽しめるといったあたり。とくに手ブレ補正機構の「空間光学手ブレ補正」は秀逸で、ある程度注意すれば歩きながらでもブレの少ない動画を撮れる。

食事中においなりさんを激写……アリガチな日常映像ですな。食べる前に手早く撮る感じなので手ブレしがちだが、強力な手ブレ補正により安定した映像になる。左は映像全体(縮小)で、右はドットバイドット。精細感も十分だと感じられる
カメラを低い位置でホールドして猫を撮影。カメラを保持しにくい姿勢ゆえ手ブレしがちだが、これも安定した動画が撮れた。左のドットバイドット画像のとおり、暗めの状況下でもさほどノイズ感はなく、精細さも十分ある

 以前の記事でも書いたが、ステディカムで世界の街を撮り歩いて放送する番組「世界ふれあい街歩き」(NHK)っぽい動画も撮れたりする。まあ、あそこまでキレイじゃないですけどネ。

 ともあれヒッジョーによく効く手ブレ補正機能があるので、テキトーに撮ってもそれなりに観られる動画となる。日常を撮った動画を後から観る場合、やっぱり結局、画面の不安定さは不快だし疲れるものだ。最近の大画面テレビで観ることまで考えれば、こういう強力な手ブレ補正機構はたいへん有用だと感じる。

 上記の手ブレ補正機構により、わりとテキトーに撮っても観やすい動画となるのに加え、35mm判換算での焦点距離が26.8mmからという広角レンズも良い。このくらい広い画角があれば、テーブルの対面に座った人物のバストアップくらいなら撮れる。日常スナップ的な動画は広角レンズで撮ったほうが何かと良いと思うのだが、ワイドコンバージョンレンズを追加すること無しに広角撮影ができるのもまたラクでいいと感じる。

 それから画質。前述の「PJ800より撮像素子もレンズも画質的に有利な前の機種ことHDR-PJ790V」による映像とザッと比べてみると、も~しかするとPJ800のほうが暗いシチュエーション下でのノイズが多いのかな~、という気がする。また、もしかしたら解像感的にもやや劣るのかな~、という気がしなくもない。が、同じ被写体を同じ条件下で撮っているわけではないので、よくわからない。

HDR-PJ790Vによる映像。左が映像を縮小したもので、右がドットバイドット。やや光量不足の環境下だが、良好な映像が得られている
HDR-PJ800による映像。左が映像を縮小したもので、右がドットバイドット。日にちは違うが同じ場所で撮影している。HDR-PJ790Vによる映像と比べるとホワイトバランスが少し異なるのは、日時が違うので光量も違うのに加え、アングルが異なっていてレンズに入る光も異なるからだろう。ノイズ感や精細さは、もーしかしたらHDR-PJ790Vのほうが優秀かも!? くらいの差しか感じられない

 率直な話、どちらのカメラによる映像も「十分イイんじゃないスか?」的な。撮っているのは日常の動画スナップであり、作品作りとかの映像素材ではないので、まあ「映像が観られて内容がわかればイイ」というレベル。そういう視点では、手ブレ補正も画質も発色も、十分イケてるPJ800だと思う。

小さめ軽めは、いいね♪

 より高画質だと思われる「HDR-PJ790V」より携帯しやすそうだからという理由で乗り換えたPJ800だが、正解であった。PJ800のサイズは、幅67.5×高さ72×奥行124mmで、質量は約450g。ハンディカムとしてはやや大きめのPJ800ではあるが、欲しい機能性能が全部入っていてこのサイズ&質量ならOK。俺的には常時携帯において問題無しである。

文字通りハンディサイズ。出っ張りがなくわりと細身なので、バッグにもスコッと入れられる

 実際にはPJ800に「三脚機能付きシューティンググリップ GP-VPT1」を装着して使っている。このグリップの使用感は前の記事に書いているが、機能性が高いわりには折り畳めてまあまあコンパクトになって便利。

ソニーの「GP-VPT1 三脚機能付きシューティンググリップ」。マルチ端子搭載ハンディカム用のガングリップで、ワイヤードリモコンとして機能し、ミニ三脚にもなる
PJ800にグリップを装着した状態。グリップ部は好みの角度に調節できるので、ラクな姿勢で撮影できる。ボタン類の位置もまずまず良好だ

 グリップがあると無理のない姿勢(とくに腕の角度)で撮影できるので、ラク。また、思い立ったときすぐ撮影できるというメリットもある。「あっ」と思ったらグリップを掴んで液晶を開けば電源オンとなり、グリップを握った手の親指で撮影ボタンを押せば即撮影できる。いつでもスムーズに撮影していけるのだ。

 グリップを装着すると嵩張る。のだが、意外なほどバッグへの出し入れはスムーズだ。たとえば、グリップを掴んだ状態でPJ800本体をバッグに押し込んだり、グリップを掴んでPJ800をバッグから出したりするという使いやすさがある。またそのとき、カメラやグリップがバッグに引っ掛かることも少ない。ちなみに、グリップは前方向に折り畳める。コンパクトとまでは行かないが、グリップ装着状態でもバッグへの収まりは悪くない。

 ……もうそろそろ、こういうビデオカメラのグリップは、手の甲をストラップで押さえるタイプではなく、「三脚機能付きシューティンググリップ GP-VPT1」のような使い勝手のものを内蔵して欲しいモンですな。もはやホームビデオカメラは十分に軽く小さいので、肩に担ぐ必要もないし手のひらで重量を支える必要もない。手を立てる(指を垂直方向に向ける)ようなスタイルで持って撮影するのは、撮影安定性などのメリットよりも、疲労やアングルの制限などのデメリットのほうが大きくなっていると思う。

Wi-Fiとプロジェクターがイイ感じ

 製品紹介ページでPJ800の特徴を見ると、まあ今時のビデオカメラだけあって、いろ~んなコトができまくりである。のだが、「ラクして多くの日常映像ネタを近未来の自分に残す」ということがコンセプトなので、各種便利機能はほとんど使っていない。

 とは言っても一部の独自機能は好んで使っている。たとえば「おまかせオート」だ。要はカメラが状況を判断して色や明るさ、さらには音声の調節までしてくれる「全部カメラ任せで撮れるモード」ですな。ラクするためにこのモードで撮影している。

 ただ、ときには極端な露出補正が必要なこともあるので、たまに「MANUALボタン」を使ってマニュアル撮影も。まあ明るさ調節を手動で行う程度ではあるが、「おまかせオート」に任せられないときは手動で、みたいな。

カメラ先端左側にある「MANUALボタン/MANUALダイヤル」。中央のボタンを押せばマニュアルモードで撮影ができ、明るさや絞りやシャッタースピードなどを変えられる。マニュアルモードでどのパラメータを手動調節するかは、あらかじめセットできる(ひとつ)。中央ボタン長押しでパラメータを変更できる

 それから、思った以上に多用しているのがWi-Fi機能。スマートフォン連係なんかもできるわけだが、動画などをWi-Fi経由でPCへ保存できるのが便利だ。保存には、保存開始~保存するための実時間まで、けっこー時間がかかるが、カメラ側を操作して放置しておけばそのうちに終わる。ワンタッチでPCへの動画保存ができるのはラクですな。

 それと、プロジェクターもなかなか愉快。たまにしか使わないが、おもしろい動画などをちょっと人に見せるとき、プロジェクターで投影して一緒に観たりすると盛り上がる。前の機種より明るくなっているし、投影角度による映像の歪みを補正してくれる「自動台形歪み補正」も搭載され、より実用的になったと感じる。できれば、ぜひ、フォーカスも自動で合わせて欲しい。

 あと、「PlayMemories Home」ソフトウェア。あ~んまり良いウワサを聞かなかったのもあり、PCにインストールしてはいるものの、ほとんど使っていなかった。PJ800のWi-Fi機能を使うためにインストールしていただけ、的な。

 しかし使ってみたらイイ感じであった。ラクしてHD動画のサムネイルを一望したりするにおいてナイス。PJ800購入後、かなり多用しているんであった。

「PlayMemories Home」ソフトウェア表示例。各種静止画や動画をサムネイル表示でき(左)、再生できる(右)。お手軽っす
動画のみの絞り込み検索もサクッとできる(左)。ビデオのタイムラインを作成すると、1本の動画内に含まれるシーンがサムネイル表示されるようになる(右)

 このソフトの細かな機能についてはリンク先をご参照願いたいが、思った以上のコナレ感がある。対応ファイルタイプも多く、安定性にも問題なく、わりと直感的に使えてイイ感じ。全体的にラクなのがイイですな。フリーソフトなので、興味のある方はぜひお試しを。

 てな感じで使っているPJ800。「なんとなく、ちょっと動画を撮る」みたいなスタンスを持つと、生活が少し変わって活気づいたりして楽しい。また、そんなテキトーなスタンスでも、強力な手ブレ補正機構や、けっこー賢いフルオート撮影モードの「おまかせオート」により、残る動画は「わりとマトモなもの」となる。ラクしてそこそこのものが残せるあたり、PJ800の大きな魅力だと感じている。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。