スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

シマノのウェアラブルカメラで遊ぶ♪

シマノのウェアラブルカメラで遊ぶ♪

 前々から試してみたいことがあった。自分が釣りをしている動画の撮影である。釣り中の自分目線の動画。頭か肩か、体のどこかにカメラを装着し、魚釣りをしている(できれば魚がヒットしている)様子を撮りたかったのだ。そこでシマノ「スポーツカメラ CM-1000」(以下、CM-1000)を購入。ネット通販で2万5450円だった。

シマノの「スポーツカメラ CM-1000」。手のひらサイズのフルハイビジョン動画撮影対応カメラで、10m防水仕様。付属や別売のマウント類によりウェアラブル利用できる。スマートフォンでの操作にも対応。実勢税込価格は2万6000円前後

 CM-1000を買ったのは、写真のとおりサイズが小さいから。レンズプロテクターを含んだ状態で、サイズが70.1×44.2×30.3mm。質量は86g。釣具店店頭で初めて実機を見たときに、「あっコレなら体に付けて釣りながら撮れる!!」と思ったのであった。

 体に装着できるオンボードカメラっていうかアクションカメラは多々あるが、ウェアラブルという視点で考えると、どれもちょっと嵩張り気味になると思う。俺の場合はGoPro社の「HD HERO Naked」やV.I.O.社の「POV.1.5」、それからソニーの「HDR-AS15」を持っているが、前者2機種は大きめだし、どの機種も体に装着しやすいとは言い難い。

 一方、CM-1000の場合、十分小さく軽く、ボタン類もシンプルで実用性が高そう。体への装着もしやすそう。それに「釣りのシマノ」が作っているわ釣具店店頭にサンプル実機が置かれているわで、釣り人にとって実用性が高いアクションカメラなのだろう、きっと、と思って購入したのであった。

 で、使ってみた結果から言えば、CM-1000により、釣りをしている動画がシッカリ撮れた♪ そして最近ちょっとハマっている清流~渓流の水中動画も撮れて、ヒッジョーに楽しいのダ!!

CM-1000で撮った動画から切り出した静止画。左はニジマスを釣ったところで、CM-1000を胸に装着して撮影した。右は渓流域の水中を撮影した様子

 率直な話、CM-1000を使い始めた当初は、「うわ~コレ使いにくいカメラかも~」とか思った。のだが、実際に釣りに行って使っていくと、「なるほどなるほど、ならばこういう仕様がイイね♪」的に考えが変わっていった。そして結論的なコトを言えば、釣り人にとっては気楽に使える楽しいカメラになると思う。ともあれ以降、CM-1000の機能や使用感についてレポートしてみたい。

CM-1000はどんなカメラ?

 まずはCM-1000の主な仕様から。本体は防水/防塵仕様で、防水はIPX8相当(10mの深さに2時間まで)。操作可能温度域は-10~40℃となっている。

 撮影できるのは動画と静止画。動画の撮影モードは1920×1080ピクセル/30fps/18Mbps、1280×720ピクセル/120fps/24Mbps、640×360ピクセル/240fps/18Mbpsから選べる。フルハイビジョン動画に加え、120fpsや240fpsといった高いフレームレートの動画を撮れる。これら高フレームレート動画は、編集ソフトなどで別途フッテージを調節したり再生速度を変えたりすれば、1/4倍速や1/8倍速の滑らかなスローモーション動画が得られる。

 要は、どの動画撮影モードで撮った動画も、ファイルを再生するとフツーの速度で再生されるわけですな。ただし、1280×720ピクセルや640×360ピクセルのモードは120fpsや240fpsのフレームレートでも撮れる、と。

 一般的なデジカメなどの120/240fps動画って、それらモードで撮れば、再生時にスローモーション動画として見られる。のだが、CM-1000ではそうならない。

 この仕様の意図は、「激しいアクションを含む動画なので高フレームレートのほうが動きが滑らかに記録される」ということや、「120fpsや240fpsで動画を撮っておけば、後で決定的ヒットシーンを滑らかで感動的なスローモーション動画にして楽しめますヨ」ということなどを含んでいる、のでしょうな。またこういう動画だと、音声もスローモーションになり、これは要素としてあって不便はない。ほかのアクションカメラも恐らくそういうことなのだろう、と俺的には理解している。

 なお、静止画は6Mピクセル(2848×2136ピクセル)のものを撮影できるほか、3Mピクセル(2016×1512ピクセル)の静止画をインターバル撮影することもできる。インターバル(撮影間隔)は10秒/20秒/30秒/60秒から選べる。

 本体の操作は単純で、ボタンはふたつしかない。MODEボタンで電源オンやモード切替、RECボタンで撮影開始/終了や電源オフなどが行える。動作状態やモードは2つのLEDランプで示される。

操作ボタンは2つで、本体上部にある。同じ面に動作状態を示すLEDランプが2つある。本体後方にはカバーがあり、ここを開いてmicro SD/SDHCカード(32GBまで/別売)をセット。充電はカードスロット横にあるmicroUSB端子から行う
CM-1000に付属していたクイックインストラクション的なカード。カード表裏にあるものが、CM-1000本体で操作できることの全てだ。ほかの設定はスマートフォンから行える

 CM-1000はWi-Fiアクセスポイントとして機能し、スマートフォンをこれに接続したあと、専用のアプリケーション(iOS版/Android版)を使うと、イロイロなコトがデキる。具体的には、CM-1000のライブビュー映像の確認、CM-1000での録画開始/停止などの操作、CM-1000内のメモリカード上にある映像の再生、それからCM-1000の各種設定などだ。

CM-1000専用のスマートフォンアプリ「SPORT CAMERA」(iOS版)。スマートフォン上でCM-1000のライブビュー映像をチェックしたり、録画開始/静止の操作をしたりできる
CM-1000上のメモリカードにある映像ファイルのサムネイル表示を見たり、動画や静止画を再生することができる。ファイルを端末へダウンロードすることも可能だ。ほか、画角の設定など、CM-1000の細かな設定も行える。「ANT+」対応機器と接続する場合の設定項目もある。CM-1000のWi-Fiアクセスポイントとしての設定(SSIDやパスワード)も、このアプリから変更できる

 てな感じのCM-1000。さらに細かな機能や仕様については、メーカーの製品紹介ページに詳しくあるのでそちらをご参照いただきたい。

こんな映像が撮れた

 早速、CM-1000を体に装着して撮影♪ と思ったのだが、付属のマウント器具一式はどうもヘルメット用らしく、釣りのスタイルだとCM-1000を体に付けにくい感じ。てなわけで、別売されている「チェストマウント CM-MT03」「キャップマウント CM-MT04」を追加購入した。

左はCM-1000の付属品各種。microSDカードやUSB ACアダプタは付属していない。マウント器具一式はヘルメット装着用っぽいですな。もちろん工夫次第で汎用的に使えるが。左側中央の四角いパーツは水中用のレンズプロテクターだ
チェストマウント(左)とキャップマウント(右)。釣り人がCM-1000を使うなら、これらどちらかのマウント器具が必要になりそうだ

 いろいろ試した結果、「チェストマウント CM-MT03」を使ってCM-1000を体に装着することにした。胸のあたりにCM-1000をセットし、両手をフリーにして撮影できるマウント器具ですな。CM-1000の動作状況などを視認しつつ操作できるのも、胸の位置へマウントすることのメリットかも。

 ともあれ、そんな感じでイロイロと撮影してみた。ので、以下にその動画を並べてみたい。

動画撮影モードは1920×1080ピクセル/30fps/18Mbps。画角180度のフルハイビジョン映像だ。釣り人の前側全体を撮影できますな
こちらは撮影モード1280×720ピクセル/120fps/24Mbps。PC上で編集し、ヒットシーンを1/4倍速のスローモーション動画化してみた。これでも30fpsのフレームレートがあるので、滑らかなスローモーション映像になっている。けど、魚はバレている
撮影モード1280×720ピクセル/120fps/24Mbps。魚がヒットした直後にRECボタンを押して撮影開始。CM-1000はオフの状態でもRECボタンを押せば直後に撮影が始まるのだ。ヒットの瞬間は撮れなかったが、魚がファイトする様子を捉えることができた
1280×720ピクセル/120fps/24Mbpsで林を歩いている様子を撮った。トレッキング用途なんかにもイイかもしれない。スローモーションにする必要もないので、1920×1080ピクセル/30fps/18Mbpsで撮ればよかったかもしれない
1280×720ピクセル/120fps/24Mbpsで橋を渡っているところを撮影。途中を意味なくスローモーション化してみたり

 あと、CM-1000の連続撮影時間は約2時間となっている。「そろそろ釣れそうな時間帯?」みたいな予感がしたら録画しっぱなしにしておけば、きっとナイスなヒットシーンが撮れるだろう。

 また上記動画のように、釣れた直後に撮影ボタンを押せば撮れるってのも便利。CM-1000の電源オンオフを意識せず、録画開始ボタンを押せば撮り始められるのは実用的ですな。

 CM-1000では、180度と135度の2種類の画角(スマートフォンから変更可能)で撮影できる。上の動画はどれも180度で撮っているが、画面の四隅が少しケラレるようだ。また、光の状態によっては、レンズ自身がレンズプロテクターに写ったものが、映像内に写り込んでしまうことがあるようだ。

 ところで、CM-1000のマウント器具の関節部は、GoProシリーズのそれと互換性がある。ので、幅広く出回っているGoPro用マウント器具にCM-1000を装着することができる。以下、掃除用のアルミ製伸縮棒にRAMマウントおよびGoPro用マウント器具を使ってCM-1000を装着し、水中撮影にトライしてみた様子を少々。

 なお、水中撮影時は水中用レンズプロテクターを装着するようにと説明書にあるが、このプロテクターを装着したときは画角を135度(狭いほう)にしないと映像左右が黒くケラレてしまう。

 のだが、うっかりこの件を忘れ、画角を180度のままにして水中映像を撮ってしまいました~スミマセン!! 黒いケラレを無視してご覧あれ~。ちなみに、水中用レンズプロテクターを装着して画角を135度にして撮影すると、画面の四隅が少しケラレた映像になる。また、当然だが、下の水中映像より画角が狭くなる。

掃除用の伸縮ポール(ヘッド部分を換えられるタイプ)の先端に、GoPro用マウント器具を装着してみた。GoPro用マウントにはCM-1000を装着できる。ポールへのRAMマウント固定は結束バンドを使用
ポールの先端にCM-1000をセットできた。これで「ポールを伸ばしてCM-1000を水中深くに入れての水中映像撮影」が可能に♪
動画撮影モードは1920×1080ピクセル/30fps/18Mbps。通常の速度の動画だ
動画撮影モードは1280×720ピクセル/120fps/24Mbps。PC上で1/4倍速のスローモーション動画に変換した
動画撮影モードは640×360ピクセル/240fps/18Mbps。PC上で1/8倍速のスローモーション動画に変換している

 あと、一応ではあるが、静止画のサンプルも。CM-1000では、1枚撮影すると6Mピクセル(2848×2136ピクセル)の静止画が撮れて、インターバル撮影にすると3Mピクセル(2016×1512ピクセル)の静止画が撮れる。下は1枚撮影した2848×2136ピクセルの静止画だ。

左が全体を縮小したもので、右がドットバイドットのトリミング。全体は悪くない感じだが、細部を見ると色の階調も精細さも失われている
これも左が全体を縮小したもので、右がドットバイドットのトリミング。やや暗い環境だが、全体の描写はまずまずしっかりしていて、ノイズも少なく感じられる。ただし拡大すると細部には精細さがなく、不自然に見える

 CM-1000にデジタルスチルカメラ的な性能まで求めないほうがいいかもしれない。ただ、釣行記録を兼ねた気軽なスナップくらいには使えると思う。「大きい魚が釣れた~、そのときの写真これ~♪」くらいな軽いノリの写真撮影なら十分こなせると思う。

 てな感じで、なかなか遊べるCM-1000である。今回はウェアラブル状態で撮影したが、ボート釣りならボートに固定して撮影したりするもの楽しそうだ。フローター装着にも向きそうな気がする。

初心者に厳しいカメラ、とも言えたりする

 わりと初心者の目線でこのカメラを見ると、最初は「え~何をどうすればいいのぉ~? わかりにくい~わかんない~」みたいな残念な気分になったりする。たとえば、説明書がぶっきらぼう。付属の説明書やカードをよく見れば、使い方をどうにか把握できるようにはなっているが、ユーザーの手引きになるような記述はなかったりする。

 ホレ、フツーのデジカメとかだと、充電しましょう、電源入れましょう、モードをこうしましょう、シャッターを押してみましょう、みたいな「ウザいくらい親切な手引き」が書かれていたりするでしょ? ああいうのはCM-1000には一切ナイのである。簡素な説明書類からできる限り情報を拾い集め、ネットで検索できる限り検索して調べていかないと、きっとわからないコトが発生するCM-1000なのだ。

 でもまあ、そういうモンかもネ、とも思う。またこういうことは、シマノというブランドが付いた製品には、けっこーアリガチなのであって、「これがシマノ・クオリティ(キリッ)」の一言で片付くこととも言えがちなのである。

 たとえばシマノのリール(釣り糸を巻き取る装置)。シマノ製に限らずリールなんてみんなそうだが、リールには使い方説明書なんざぁ付属してないのである。「リールを買うのはリールを使いこなせる人」という暗黙の了解ができていたりするのだ。釣り具とかってみんなそうですな。

 具体的に、シマノ製品の場合、製品自体は性能も作りも良くて超精密でカッコイイんだが、説明書は全然読めねぇ各国語が並んでいてその端にやっと日本語発見♪ と思ったら法律的義務からしょうがなしに書いた注意書きだけだったりして、使い方なんざぁどこにもねえ!! みたいな。ロッド(釣り竿)もそうで、このロッドはカーボン製だから感電注意ね~あと保証○年あるからね~それじゃあよろしく~楽しい釣りを~みたいな感じで、ロッドの使い方なんか一切書いてないのだ。シマノの自転車部品なんかもそうですな。

 釣り具も自転車も、一式揃った出来上がり品(入門セット類)を買うんじゃない人、つまりパーツや装置毎にバラで買う人は「十分知識も心得もある玄人寄りの人」というコトになっているらしい。ので、上記のぶっきらぼうさや説明不足はフツーのコトなのだ。

 CM-1000もそんなノリなのである。「あなた、アクションカメラ買うんだから、アクションカメラ使いこなせる人なんでしょ?」的な雰囲気。CM-1000に限らずアクションカメラ全体がそうだったりするが、CM-1000の説明書方面のぶっきらぼうさは、ほか多くのアクションカメラよりずっと初心者に厳しく、もはや釣り具レベルの不親切さだと思う。

 でも、一通り使って理解してしまえば、ツールとして使いやすいし実用性も高い。装着感や即時性を含む使用感は、釣りなどをサポートする道具として秀逸。胸のあたりに装着すれば撮影も即できるし、嵩張らないし、何より「釣りを邪魔しない」のが良い。操作系統が単純で、音によるモードの確認もできるので、恐らく帽子にCM-1000を装着しても同じように便利だと思う。

 てな感じで、俺的にはCM-1000を非常に気に入れた。これならダム湖にボートを浮かべてバスフィッシングするとき使うのもイイな~と、さらに使う気満々なのである。が、アクションカメラ方面にあまり知識のない方がいきなり手を出すには、ちょっとぶっきらぼうな感じがあるのでご注意を、みたいな。

 ともあれ非常にコンパクトでシンプルに使えるCM-1000。ウェアラブルスタイルで使うのもかなり現実的。自分が釣っている様子を撮りたい~ヒットシーンもファイトシーンも撮りたい~、と考えているならぜひ一度CM-1000をチェックしてみてほしい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。