スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

静かな外観に怒濤の実力、「STYLUS SH-1」がイカス!!

静かな外観に怒濤の実力、「STYLUS SH-1」がイカス!!

 今回のブツはオリンパスのコンパクトデジタルカメラ「STYLUS SH-1」(以下、SH-1)。シンプルだが高級感のあるボディに、かなりスゴい機能&性能を多々備える、イケてるデジカメなのである。

オリンパスの「STYLUS SH-1」。1600万画素の裏面照射型CMOSセンサー(1/2.3型)を搭載したコンパクトデジタルカメラで、25~600mm相当(35mm判換算)の光学24倍ズームレンズを搭載する。2014年6月現在の実勢価格は3万円前後

 SH-1は2014年4月25日発売(シルバーのみ4月18日先行発売)のカメラだが、俺が購入したのは2014年5月15日。じつは発売後ジワジワと「SH-1欲しい状態」が続いたのだが、結局我慢できずに発売約3週間後に購入したのであった。カラーはブラックを選んだ。

 このカメラが欲しいと思った理由はいくつかある。ひとつは高倍率の光学ズームレンズを搭載していること。35mm判換算で25~600mm相当(24倍)だが、小振りのボディにこの倍率のレンズとは魅力的。

 これに加え、「光学式5軸手ぶれ補正」機構を搭載していること。オリンパスの「OM-D E-M1」使っているのだが、これにも「ボディー内5軸手ぶれ補正」機構が搭載されていて、これがまあよく「効く」のだ。SH-1でも「良く効く手ブレ補正」が使えることを期待した。

 あと動画撮影機能。1080/60PのフルHDムービーが撮れるのに加え、240コマ/秒および120コマ/秒のハイスピードムービー(再生するとスローモーション映像になる動画)が撮れる。やや遠くの被写体をズームアップしつつ、このハイスピードムービーを撮りたかったのだ。また、こういった動画撮影にも「光学式5軸手ぶれ補正」機構(実際はこれに電子式補正加わる新5軸ハイブリッド式)が機能するらしいので、これにも大期待。

 他にもマクロ系撮影機能が良さそうとか、Wi-Fi機能はフツーに便利そうとか、SH-1にはいろいろな魅力を感じていた。そんなトコロ、店頭で実機に触れてみたら、一発でヤラレてしまって即購入。てなわけで以降、SH-1を約1ヶ月程度使ってみての印象をレポートしてみたい。

 でもとりあえず先にSH-1全体に対する結論的印象を言えば、満足度高いっス♪ 24倍ズームはテレマクロ撮影も含めて実用性が高いし、手ブレ補正もバッチリ効いて動画撮影にも効果的。クールな外観に怒濤の機能性能が詰め込まれている。羊の皮を被った……的な実力が非常にグレイトと言えよう。

 なお、SH-1のスペックなどについては、メーカーの製品紹介ページをご参照いただきたい。また、画質についての評価は、フォトグラファー曽根原昇氏の新製品レビュー記事「OLYMPUS STYLUS SH-1 普段使いに最適。クラシックな佇まいの24倍ズーム機」が詳しいので、そちらをゼヒ♪

サイズ感も操作性も好印象♪

 SH-1のサイズは幅108.8×高さ63.2×厚み42.4mmで、電池やSDメモリーカードを含んだ質量は271g。SH-1欲しい感がジワジワ高まるなか、「てか、どのくらいのサイズ感なの?」と思って店頭に触りに行き、初めて実機に触れたわけだが、その第一印象は「軽っ!!」というもの。同時「小さっ!!」とも感じた。

SH-1は小型軽量で、ポケットサイズと言えるサイズ感。せり出し式レンズ部の厚みはややあるが、携帯性は非常に良い
電池は専用のリチウムイオン電池「LI-92B」を使用し、撮影可能枚数(CIPA準拠)は約380枚。対応記録メディアはSD/SDHC/SDXCカード(UHS-I対応/128MB~128GB)およびEye-Fiカードと、本体内蔵メモリー(37MB)だ。携帯電話用ストラップを通し、クッション性のあるポーチに入れて携帯している

 今持ってみると、当時ほど「軽っ!!」とも「小さっ!!」とも思わない。24倍ズームで、5軸手ブレ補正で、高級コンパクトで……みたいなイメージから、けっこーゴツめ重めの本体を妄想してたんでしょうな。コンパクトデジカメとしては、フツーな感じのサイズ&質量ではある。

 本体の作りは精密感があってイイ雰囲気。2005年以前、とりわけ「CAMEDIA」時代には多用したオリンパス製コンパクトデジカメだが、当時はプラスチックな感じ満載という印象だったように思う。一方現在は、オリンパスのコンパクトデジカメシリーズもデジタル一眼OM-Dシリーズも、どれも緻密さを強めに演出している気がする。

 SH-1もそうで、レンズ周辺やダイヤル部などに繊細な切り込みが入っていてキラリと光ったり、各ボタンの押下感は硬めで明確なクリック感があったりして、なんかこー、高品位なメカを手にしている感じがしてイイですな。

レンズやダイヤルのエッジは面取りがされていてキラリと光る。繊細な高級感がありますな
ボタン類は少なめ&小さめ&押下感硬めの設定がなされている。メーカーロゴは立体的に刻印されている

 写真のようにメーカーロゴは刻印してあり、そこに白い塗料が流し込まれている。こういう部分の高級感演出もイイですな。ただ、ほかの表記はシルク印刷による平面的なものでありプチ残念。でもまあ全体的に落ち着いた雰囲気であり、ところどころにちょっと高級感があって、大人っぽいカメラという印象だ。

 なお、操作感だが、これもなかなかいい。オンオフのたびにレンズが出たり入ったりする(沈胴式)が、素早い動作なのでストレスは感じない。ほかの動作もキビキビしていて快適。ボタン類も操作しやすい。

 全体的に「誤操作の起きにくさ」がSH-1の良さのヒトツですな。てゅーか、最近のオリンパスのカメラをイロイロ使い中だが、どの機種も誤操作しにくさではかなりイイ線イッてると思う。SH-1の場合、前述のとおり各ボタンが少し硬めで適度なクリック感がある。ので、誤操作しにくく、確実な手応えとともに操作や設定を進めていけるという印象だ。

 ホールド感もまずまず良く、本体前面のグリップと、本体手前右上の親指用の指置き(!?)により、意外にガッチリとホールドできる。強くホールドした状態でも、前述のとおりボタン類を誤操作しにくくて良い。

 じゃあ悪いトコロはナイのかと言えば、強いて挙げれば各ボタンがけっこー小さめに設定されているところ。その小さなボタンの上に小さなシルク印刷が施されているので、「操作性は良いがちょっと視認性が良くない」という感じですな。

 それから、ホールド感は悪くないと言っても、もっとホールド感が良くなれば後述の手ブレ補正をより効果的に活かせるようにも思う。ホールド感向上のために「本革ボディージャケット CSCH-120」あたりを装着する手もあるとは思うが、たとえば「OM-D E-M10 専用グリップ ECG-1」的なオプションを、SH-1用にも出して欲しいと思う。

手ブレ補正の「効き」で超望遠撮影や動画撮影がより愉快に

 期待していた「光学式5軸手ぶれ補正」機構だが、コレはバッチリと効果を発揮してくれた。よ~く効く手ブレ補正である。

 手ブレ補正という言葉で思い浮かぶのは、まずソニーのハンディカム「HDR-PJ800」などに搭載されている「空間光学手ブレ補正」だ。アレには感動した。「世界ふれあい街歩き」(NHK)的なコトができる!! とかマジで喜んだものである。まあコレはビデオカメラの話ですけどネ。

 デジカメの手ブレ補正については「まああれば越したことはないけど……」的に考えていた。のだが、オリンパスの「OM-D E-M1」を使ったら少々考えが変わった。「OM-D E-M1」の「ボディー内5軸手ぶれ補正」機構はスゲくよく効くのである。故意に「OM-D E-M1」を手で動かしてブレさせようとしたときの「補正され度合い」を見ていると、前述の「空間光学手ブレ補正」くらい効いているのではないかと思うほどだ。

 で、SH-1の「光学式5軸手ぶれ補正」機構も、「OM-D E-M1」の手ブレ補正機構くらい、よ~く効くんであった。俺的には「すっげー!! コンパクトデジカメでこの手ブレ補正効果!!」とか興奮する感じなんですけど、意識的に使わないと「ふーん、そうなんだ」で終了する程度、さりげなく大活躍してくれる縁の下の力持ち的機能ではある。

 たとえば、SH-1の光学24倍ズームレンズで超望遠撮影をしたとき、「あら手ブレ補正がよく効く~」と感じられる。SH-1は25~600mm相当の光学ズームレンズを搭載していて、望遠側600mm相当ってのは、かなり良い条件でないと(シャッター速度が十分速くないと)、手ブレしまくりな焦点距離ですな。でもSH-1の場合、600mm相当で気楽に超望遠撮影がデキちゃうというイメージになる。

左から、24mm相当で撮影した静止画(リサイズ)、600mm相当(リサイズ)、600mm相当の静止画のドットバイドット切り出し。600mm相当で撮影したときのシャッター速度は1/125秒だが、手ブレは見られない(と思う)
こちらはより明るい環境で撮ったもの。24mm相当、600mm相当、600mm相当のドットバイドット画像ですな。600mm相当撮影時のシャッター速度は1/250秒で、こちらも手ブレしていない(と思う)。上の写真と同様、ISO感度をカメラ任せにしているのでISO感度が高めとなり、画質的にはノッペリ感が高まってしまっているが、手ブレ補正機能の性能は十分に発揮されているようだ

 この手ブレ補正機構は動画撮影時にも機能する。で、試してみた結果、これまたよ~く効くのであった。手ブレをキッチリと抑えることができ、たとえば歩きながら撮ってもブレの少ない見やすい動画を撮影できる。

SH-1を手に持って歩きながら撮影した動画(1080/60P)。ポケットサイズのコンパクトデジカメで、こんなにブレが少なくて「ツカエル動画」が撮れるってスゴくないすか? 的に喜んじゃった俺なのであった

 もちろん、SH-1のHDハイスピードムービー撮影時にも、この手ブレ補正機構が機能する。HDハイスピードムービーは、毎秒240コマ(432×324ピクセル)や毎秒120コマ(1280×720ピクセル)で撮影できる動画撮影モードだ。通常撮影の動画と比べると、毎秒240コマだと1/8倍速スローモーション動画に、毎秒120コマだと1/4倍速スローモーション動画になる。

毎秒120コマ(1280×720ピクセル)のHDハイスピードムービー。これも手持ちで撮影しているが、手ブレ=急激な画面の動きがなく滑らかな動画が撮れた。
こちらは毎秒240コマ(432×324ピクセル)で、やはり手持ちで撮影。人混みの中を歩きつつ撮っているのだが、ブレが非常に少ないですな。

 話が少し逸れるが、SH-1のHDハイスピードムービー機能、何を撮ってもオモシロいですな~。スローモーションにすると、どんな動画でもミョーに感動的な雰囲気になったりして、意図せず意味深っぽい動画になって愉快である。

 似た機能はオリンパスの「STYLUS TG-850 Tough」にもある。が、SH-1の場合は毎秒120コマの解像度が1280×720ピクセルで、高解像度になっている。また前述のとおり手ブレ補正機構がしっかり効くので、より高品位な動画素材の撮影用としてもある程度実用性が高いと思う。

 あ。動画と言えば、オリンパス製デジカメのデジタルフィルター機能こと「アートフィルター」の「ジオラマ」を使って動画を撮ると、なんちゃってタイムラプス的な動画が撮れる。以前からよく知られている機能だが、これも「単に撮るだけでなーんかオモシロげな動画になる」という観点で楽しめる。

アートフィルターの「ジオラマ」を使って動画を撮影すると、動きが早回しになったタイムラプス的な動画を撮影できる。もうチョイ高い位置から俯瞰して広角側で撮ると、よりジオラマっぽい感じが演出できるのに、と反省。

 てな感じで、静止画撮影時も動画撮影時もしっかり効いてくれるSH-1の「光学式5軸手ぶれ補正」機構。手ブレを抑える機能はやっぱり正義ですな~。

イロイロと便利&愉快なSH-1

 ほかにもイロイロな機能を使って楽しんだり役立てたりできるSH-1。それら機能についてはこのページに集約されているが、アートフィルターを使ったりピクチャーモードを変えたりして撮影すると、意外なほどハマる写真が撮れたりする。

 それから、SH-1はマクロ撮影が得意だったりもする。たとえばシーンモードで使えるスーパーマクロ機能は、レンズ先端を被写体に3cmまで近接させて撮ることができる。超ドアップ撮影。

 ただし、ここまで極端に被写体に寄ると、少々問題が出てくることも。それは、たとえばレンズやカメラ自体が被写体に影を作ってしまったりすること。あるいは、被写体が若干歪んで写ってしまうこと。SH-1のスーパーマクロ機能使用時は焦点距離が66mm相当固定だそうだ(デジカメWatch 曽根原 昇氏の記事より)。広角レンズで被写体に寄って撮影するほどは歪まないが、それでも若干の歪みが出る。

 そんな問題が起きにくいのが、通常撮影時に機能する「高性能テレマクロ」機能だ。機能というよりSH-1の仕様なのだが、SH-1のレンズ先端からの撮影範囲は、ワイド(広角)端が0.1~∞mで、テレ(望遠)端が0.4~∞m。つまり600mm相当の望遠状態でも、レンズ先端を被写体に40cmまで近接させて撮れる。これまた超ドアップ撮影ができる。

 また、600mm相当でドアップ撮影をした場合、被写体がレンズから十分に離れるため、レンズやカメラが被写体へ影を落とすことが少ない。さらに、望遠側で撮ることにより、広角側で撮ったような「被写体の形状的な歪み」が起きにくい。モノのカタチをより正しく見せたい場合、この撮影方法が適する。

 あと、オリンパス製のデジカメではアタリマエとなってきている内蔵Wi-Fiと「OLYMPUS Image Share」アプリの使い勝手もイイですな。カメラとスマートフォンをWi-Fi接続して連係させ、スマートフォンからカメラの操作ができたり、カメラ上の写真をスマートフォンに転送できたりする機能だ。初期設定も非常に手軽なので、とっつきやすさ的にも秀逸なWi-Fi機能だと思う。

 まあ、ぶっちゃけた話、SH-1は有効画素数が1600万画素もあるのに撮像素子が1/2.3型と小さいので、画質面を追求したいという方には向かないかもしれない。撮れた画像全体を見ると、精細感があるし、発色的な偏りもないのでイイ感じなので、フツーの人にとっては画質面でも問題はないと思う。

 のだが、画像の細部を精査しまくるようなマニアックな見方をする人にとっては、細部の解像感において破綻があるとか、画像として処理され過ぎていてキモチワルイなど、違和感があるかも。まあ、これはSH-1だけではなく、非常に小さいセンサーで高画素数を実現しているデジカメにはアリガチな話ですな。

 ともあれ、それ以外の点については高い次元で非常によくまとまったコンパクトデジカメだと思う。とりわけ手ブレ補正機構。手ブレが抑えられる性能については、使う度に「ま~スゴいねコレは」と再確認させられる感じ。その手ブレ補正の効きを確認しつつ、SH-1の作りのキレイさやボタン類の操作感を確かめるべく、ぜひ実機に触れてみてほしい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。