スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

使ってビックリ、Foveon搭載デジカメ「dp2 Quattro」

使ってビックリ、Foveon搭載デジカメ

 ここのところデジタルカメラの新製品がオモシロげで、イロイロと購入している俺。そんな中でもメガヒットだったのがシグマの「dp2 Quattro」である。そーとー良かったのであり、現在も良さ継続中なので、今回はこのカメラについてレポートしてみたい。

シグマの「dp2 Quattro」。撮像素子としてほか一連のデジカメとは異なる「フルカラーFoveon X3ダイレクトイメージセンサー(ジェネレーションネーム “Quattro”)」を搭載した単焦点レンズ一体型デジカメで、レンズ画角(焦点距離)は35mm判換算で約45mm。2014年8月現在の実勢価格は9万8000円前後。

 このカメラを購入したそもそものきっかけは、Twitterで度々話題になっていたから。タイムライン上で何度も「dp2 Quattro」の情報が流れていて、買ってる人もけっこーいたりして、評判もかなり良いみたいで、強めの興味を持った。

 じつはシグマのデジカメには前から興味を持っていて、とくにその突出した解像力については作例を見る度に「凄いなあ」と思っていた。ただ、一方では使いにくいというウワサも耳にしていた。

 この「dp2 Quattro」は、前述のとおり実勢価格が10万円くらいするデジカメ。しかも単焦点レンズ。趣味性の強いカメラって感じですな。解像力を含む画質は良さそうだが、10万円出して使い勝手が自分に合わなかったらヤだなあ、と。

 そこで、発売後2年くらい経過していて実勢価格がかなり下がっている前世代機種の「DP1 Merrill」を使ってみることに。このカメラも撮像素子として「フルカラーFoveon X3ダイレクトイメージセンサー」を搭載しているが、世代が「dp2 Quattro」のセンサーのひとつ前のもので、ジェネレーションネームは“Merrill”となっている。ちなみに、5万円少々で購入できた。

 で、その「DP1 Merrill」を使ってみたら、あらビックリ!! 知ってはいたんだが、やはり画質がスゴいんであった。何度も目にした解像力なんだが、自分で撮っても高解像になった!! って、アタリマエなんですけど、改めてFoveonセンサーの実力を目の当たりにした俺。ビックリですよビックリ。

「DP1 Merrill」による写真(JPEGの撮って出し:RAWから現像したものではなくてカメラが生成したJPEG画像)。左は縮小、右は等倍切り出し(ドットバイドット)の画像で、縮小やトリミング以外の処理は施していない(以下同様)。瓶に付いた微細な水滴がシャープに描写されている。
自然光と人工光が混ざった状況で、若干色が偏っているが、ピントが合った部分の解像力は非常に好印象。
あまり良い条件でないときに撮ったものだが、ディテールを緻密に捉えていた。

 どれも中途半端な写真でスマンス。ていうか何となく撮ったスナップなんですけど、帰宅して画像を閲覧してかなり驚いた。コンパクト系のカメラなのに、こんなに細部まで緻密に写っちゃうの!? 的な。

 また、ウワサで聞いていた「使いにくさ」も、言われているほどではないと感じられた。メモリカードへの画像保存に少し長めの時間がかかったり、電池がやや早めに消耗したりはするが、写真撮影の基本を知っていればフツーに便利に使える今時的デジカメである。十分実用的な「DP1 Merrill」だった。

 てか、こういう解像力の高さを、気軽に携帯できるデジカメで楽しめるって、やっぱりスゴい!! というわけで話題の「dp2 Quattro」も購入することに。てなわけで、以下に「dp2 Quattro」の使用感などを書いてみたい。結論だけ言っちゃうと、「dp2 Quattro」もまたスゴかったっス。

 なお、「dp2 Quattro」の画質や機能の詳細については、デジカメWatch上で多数の記事が掲載されており、一連の記事のリンク集もあるのでソチラをゼヒ!! また、一世代前となる「Merrill」シリーズに関する記事もコチラから読める。……今敢えて、値段も下がっているし性能的にも色あせていない「Merrill」シリーズに手を出すってのも、アリかもしれない。

「dp2 Quattro」の解像力もスゴかった!!

 デジタルカメラの画質の良し悪しについては、いろいろな観点もあれば価値基準もあると思う。好き嫌いによるところも大きいでしょうな。さておき、俺にとって画質が良いと思える写真に、いつもあるのは解像感。細部まで精密に描写してくれていると「イイなあ」と感じる。また、明るさの階調が豊かで滑らかだと「イイな〜」と感じがちである。

 この「dp2 Quattro」の場合、そういう俺好みの画質をズギャズギャと見せまくってくれるんであった。とりわけ解像力の高さ。解像感を良く見せているのではなく、被写体を物理的に解像しちゃってる感じ。ピントが合って、手ブレや被写体ブレさえしなければ、まあ何を撮っても細部が超鮮明。度々「画質イイな〜」と感じられて、スゲく愉快なのである。

 また、撮像素子が大きめの高級コンパクトデジカメなんかと比べても、明るさの階調が豊かだと感じられる。高解像で違和感の少ない階調がある写真が得られやすいので、「画質イイな〜」と頻繁に思う。「イイ写真だな〜」と思うかどうかはまた別の話だが、美しいと思える画像をパシパシと撮れちゃう「dp2 Quattro」なのであった。

 ともあれ以下に、「dp2 Quattro」で撮った写真を何枚か。それぞれ、モトの写真を縮小した画像と、等倍切り出し(ドットバイドット)画像を並べて掲載している。縮小やトリミング以外の処理は施していない。また、各写真はJPEG撮って出しのものとした。

 あ。今気づいたんですけど、「dp2 Quattro」の時刻設定が9時間くらいズレていた。各写真にはEXIF情報を残してあるが、EXIF情報から時刻を参照する場合、9時間程度プラスしたものに換算してください〜すまんす〜。

夕刻前に撮った雲。遠くの入道雲の細部まで緻密に解像されている。白い部分の階調も豊かですな。
日暮れ前の空。部分的に若干ザラつきが感じられるものの、やはり細部までよく解像している。
昼過ぎの湖畔(桟橋)。鉄柱の錆まで克明に描写している。
桟橋にあったロープ。ロープに絡みついた釣り糸までクッキリ。
同じく桟橋の金具。千切れたナイロンロープの質感までバッチリ。
同じ桟橋のタイヤ。タイヤ表面の塗装やヒビまでよく見える。
窓の外の明部をスポット測光してローキーの写真としてみた。窓の手前の網戸の網までカンペキに写ってビックリ。

 俺的には、も〜撮ってるだけで楽しいって感じなのである。それは、近頃のコンパクトデジカメではほとんど撮れなかったものが手軽に撮れるから。ディテールをここまで克明に捉えることができるコンパクト系デジカメは、まず、ない。

 低画素時代の……2000年前後の頃には、こういう感じでディテールを克明に写し取るデジカメはけっこーあったが、まあ、昔の話。今のコンパクトデジカメにはない解像力が、「dp2 Quattro」にはたっぷりある。

 フルサイズセンサーを搭載したデジタル一眼レフなら、「dp2 Quattro」よりも解像力が高い機種があると思う。ただ、コンパクトデジカメ〜ミラーレス一眼あたりだと、解像力において「dp2 Quattro」より優れた機種を、ちょっと知らない俺なのであった。

 ちなみに、上の写真はJPEG撮って出しだが、RAWデータから現像すればもっとクリアで色調豊かな写真になったりする。ただ、現在のところRAW現像に使えるソフトウェアはシグマ純正の「SIGMA Photo Pro」のみのようだ。使い慣れたRAW現像対応ソフトで「dp2 Quattro」の画像を現像できないのはチト残念。

 さておき、凄いなーと思うのは、上の一連の写真で、等倍切り出し(ドットバイドット)画像が、そう見えないというところ。どれもアップで撮った写真を縮小しているように見えてしまう。細部にまで写真の自然さが残っているのは、Foveonセンサーっていうかシグマ製デジカメの非常に嬉しい特徴なのかもしれない。

 ただ、等倍切り出し(ドットバイドット)画像が自然だしキレイだし高解像な感じであることに、どういう意味があるのか、って話もありそうですな。そもそも等倍で見ないし、みたいな人は少なくない。パッと見、キレイならイイという人は多い。

 今時的なコンパクトデジカメ(シグマ製以外)の写真は、等倍切り出し(ドットバイドット)画像を精査すると、塗り絵っていうか油絵みたいな、写真っぽくない違和感が見えてきたりすることが多い。のだが、全体を見るととても自然で美しい写真に見えたりする。今時的コンパクトデジカメの、そういうチューニングのしかたや、コストの抑え方は、ソレはソレとして王道なのだと思う。

 しかしその一方、「こーんなに拡大しても相変わらず自然で美しい!!」という喜び方もあるということですな。そこには、なるべく加工処理された感じのない写真が手に入る喜びとか、見ている光景がそのまま記録されたような手応えからくる満足とか、そういう視覚におけるカタルシス的な快感があるんでしょうな。「とってもステキな光景を最良の状態で保存した♪ あ〜良かった〜嬉しい〜」みたいな。

 そういう楽しみ方が可能なのが、「dp2 Quattro」や「Merrill」シリーズだと思う。こういう良さがありかつ重装備にならずに使えるデジカメ、今ではなかなかナイので、なるほどそういう観点からも話題になってるのかな、とも思った。

使い勝手はどう?

 個人的には「抜群の画質」だと思えた「dp2 Quattro」だが、使い勝手的にはどうだったのか? 「なるべく気軽に使いたい」という観点から考えてみても、使い勝手もなかなかイイと思う。なお「dp2 Quattro」の各機能については、デジカメ Watchの掲載された大浦タケシ氏のレビュー「SIGMA dp2 Quattro(機能編)」が詳しいのでそちらを。

 さておき、まずその形状。「dp2 Quattro」は非常に突飛なカタチである。が、意外なほどグリップしやすいし、ホールド感も良い。横位置でも縦位置でも、出っぱったグリップ部とレンズ部を両手でホールドすれば、ブレを抑えつつ撮影できる。

 余談だが、よく見ると突飛なカタチではあるが、持っていても「ヘンなカタチゆえに目立つ」という感じはない。使用時、グリップを握るとさらにフツー的なカメラのカタチに近づくので、撮影時はより目立たない感じですな。

 操作系だが、それぞれのボタンは誤操作しにくい大きさや配置になっていて扱いやすく感じられる。シャッター部にある2つのダイヤルも非常に使いやすい。露出や絞りなど各パラメータを自分で制御しつつ撮影したいと考えるユーザーにとっては、とてもよく練り込まれた操作系だと感じられるのではなかろうか。メニュー類もシンプルでわかりやすい。

 携帯性も悪くないと思う。横長なのでバッグなどによっては嵩張ることもあるが、薄めであり電池込みの質量は480g程度なので、「さあ何か撮ろう」というスタンスなら軽快に常時携帯できる。

 ただし、手ブレ補正機構もないし、内蔵フラッシュもないし、液晶画面が可動するわけでもない。前述のように単焦点レンズなので、ズームもできない。ので、ある程度ユーザーの努力が求められる。低照度環境下では息を止めてシャッターを押すような心構えが要るかも。手足腰を使って被写体を巧く入れ込んだ構図を作る必要が出るかも。

 あと、とりあえずシャッターを押せば「カメラが自動的に状況に合わせたキレイな写真を撮ってくれる」などのインテリジェントな撮影機能はナイ。カメラとして高性能ではあるが、今時的なデジタルカメラとしては決して高機能でも多機能でもない「dp2 Quattro」である。

 ので、カメラ任せで何でもそれなりにキレイに撮る、ということはできない。シャッターボタンを押すだけの受け身なスタンスでも使えるカメラではあるが、「dp2 Quattro」の実力をよく発揮させるためにはある程度の積極性が必要になる、といったイメージだろうか。

【お詫びと訂正】
 初出時、顔認識機能が搭載されていない、と記載していましたが、実際には搭載されています。お詫びして訂正いたします。

「dp2 Quattro」って、マニアックなカメラ?

 この「dp2 Quattro」や「Merrill」シリーズには、恐らく「マニアックな人が使う扱いが難しいカメラ」というイメージがあると思う。確かにそういう一面はある。手ブレ補正無しとか内蔵フラッシュ無しとか、シーンモードもピクチャーエフェクトも全部無しとか、硬派で無骨な側面もありますな。

 でも、AF(オートフォーカス)は十分実用レベルの速度と精度だし、露出も3種のオート露出モード(プログラム/絞り優先/シャッター速度優先)が使えるし、カメラとしての基本的な機能は当然備えている。いわゆる便利系機能がないため、場合によっては不便なシチュエーションがあるかもしれないが、基本的には誰でも使える今時のデジカメだ。

 もっと言えば、積極的にデジカメについて知っていく気があれば、初心者にもオススメできるカメラだと思う。というのは、余計な機能がないので、扱うべきパラメータが少なく、写真撮影を理解しやすいから。入門機としてもイイ、と、俺は思ったりする。

 まあ、1台目のカメラとしては高価だし拡張性も乏しいってのはある。が、エントリーモデルの一眼レフなんかは逆に不要機能多々で初心者向きではないような気もしつつ、さておきともあれ、「dp2 Quattro」は決して難しかったりマニアックだったりするカメラではないと思うんですな。

 あとこのカメラ、高機能でない点がイイ。ストレスが少ない。今時的な便利系〜高機能系デジカメとかって、「便利系機能を永久的にオフる」のが面倒でしょ、使い始めの頃。メーカーがよかれと思っていろいろオンにしてくれている便利系機能って、撮影を積極的に行うような人にとっては「あーもー何を勝手にヤラカシてくれちまってんだよ〜」的なストレスになる。

 が、「dp2 Quattro」や「Merrill」シリーズにはそういうところがほとんどない。今時こういうカメラは珍しい感じだが、逆にそういう素っ気なさは、撮影を積極的に行うユーザーにとって気分良く使えてイイですな。またこれは、初心者ユーザーの戸惑いや誤解が生まれにくいという観点からも、たいへん良いと思う。

 少々感じた難点は、2点。ひとつは電池の保ちが若干悪いということ。たとえば撮り歩くような時、こまめに電源をオフにしていないと、わりあい電池残量目盛りの減り方が早い感じ。予備バッテリーが1本付属しているが、一日撮り歩きたいような場合は、もう1本か2本、予備バッテリーを買い増したくなるかも。

 もうひとつは、画像を記録するのにけっこー時間がかかること。具体的には、RAW+JPEG(圧縮設定HIGH)で1枚撮ると、画像保存が終わるまでに20秒弱かかる。ので、この設定でブラケット撮影なんかすると、画像保存完了までに1分弱かかる。

 ただ、画像保存完了までにデキナイことは、画像の再生と電源のオフくらいですな。連写は7枚まで可能で、画像保存中でも残り枚数は撮影していける。ただし、設定や撮影スタイルによっては待ち時間ばかり長いデジカメになってしまうこともある、ということだ。

 てな感じの「dp2 Quattro」。画質抜群、握りやすい、扱いやすい、シンプルでストレスがなくていい、初心者にもオススメ、と、思ったところをストレートに書いてみた。が、コレって10万円くらいする単焦点レンズ一体型カメラなので、まあ今時的コンパクトデジカメとはかなり離れた存在ではある。ので、欲しいかも〜と思うなら、とりあえず店頭で実機に触れて、「dp2 Quattro」の使用感などをチェックしてみてほしい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。