スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

あら良さゲ!! Wi-Fi対応ラベルプリンター「ピータッチ PT-P750W」

あら良さゲ!! Wi-Fi対応ラベルプリンター「ピータッチ PT-P750W」

 2014年7月8日に発表され、2014年8月1日に発売されたラベルプリンター「P-touch(ピータッチ) PT-P750W」(以下、PT-P750W)。非常に興味深い要素を複数持っている製品だったので、発表時から興味津々状態持続中ゆえ、鋭意試用してみた。てなわけで今回は、このPT-P750Wについてのレポートっす。

ブラザーのラベルプリンター「P-touch PT-P750W」。USB/Wi-Fiに対応し、電源はACアダプター/単三形電池/専用バッテリーから選べる。NFC対応でスマートフォンなどと簡単にWi-Fi接続設定を完了できる。使用可能ラベルは「TZeテープ」(3.5mm/6mm/9mm/12mm/18mm/24mm)。実勢価格は1万4000円前後。

 PT-P750Wのどこに興味を持ったのかと言うと、まずWi-Fi対応であること。これにより、スマートフォンやタブレットなどの端末と無線接続してラベルをプリントできる。NFC対応スマートフォンからPT-P750Wを使う場合、NFCによりアプリ導入やWi-Fi接続設定も手軽に行えるらしいので、この点でも興味アリな感じ。

 また、PT-P750WをWi-Fiルーターなどに接続すれば同じネットワーク内からネットワークプリンターとしても使えること。もちろん、スマートフォンやタブレット、PCからでもネットワークプリンターとして使える。

 また、電源が3種類から選べる点。具体的には、ACアダプター(付属)、単三形電池×6本(アルカリ電池/ニッケル水素電池)、専用リチウムイオン電池(別売)となる。ただし、PC/スマートフォン/タブレット端末とPT-P750WをWi-Fi接続する場合は、PT-P750Wの電源をACアダプターもしくは専用リチウムイオン電池とする必要がある。ちなみにこの専用リチウムイオン電池(型番 BA-E001)、ブラザー直販価格は3780円となっている。

 あと、ブラザーのラベルプリンター/ラベルライターで使う専用ラベルは、どれもラミネートタイプ。昔からそうだが、ラベル表面に保護フィルムが貼られたカタチで出力されるので、耐久性が非常に高い。このこともPT-P750Wをイジってみたい欲を強める大きな要素だ。

 PT-P750Wの特徴を俺的興味視線から大雑把にまとめると、「完全無結線でも使えるPC/スマートフォン/タブレット対応Wi-Fiラベルプリンター」てな感じ。そしてこーゆー製品、今までに無かった。

 Wi-Fi対応という観点で言えば、競合機種はある。キングジムの「テプラ PRO SR5900P」だ。が、この機種は有線LANにまで対応していて、どちらかと言えば業務用なフィーリング。また、電池駆動には非対応なので、俺的興味&視点から言えばPT-P750Wとは別系統の機種という印象になる。

 てなわけで以降、PT-P750Wの使用感について書いてみたい。が、とりあえず使用感的な結論から言ってしまえば、ある程度ラベルを多く作る人にとっては物凄く役立つラベルプリンターという印象だ。ラベルプリンター歴(!?)20年以上の俺だが、久々のメガヒット・ラベルプリンターとなった。

どんな機器からプリントできるのか?

 最初に、PT-P750Wはどんな端末とつなげられるのか、ということを少々。大雑把に言えば「身近な各種端末から使える」って感じだが、以下に少々詳しめに。

 まずはPC(Windows/Mac)と接続して使える。PCとはUSB接続およびWi-Fi接続が可能。PC上で使うラベル作成ソフトとしては、ブラザーが無償で提供している「P-touch Editor 5.1」(Windows/Mac対応)を使うのが一般的だ。が、PT-P750W内にある「P-touch Editor Lite」(Windows/Mac対応)を使えば、PCにソフトウェア類を一切インストールせず使うこともできる。

PC用のラベル印刷ソフトの「P-touch Editor 5.1」(左)と「P-touch Editor Lite」(右)。どちらもWindows版のスクリーンショットだ。常用のPC環境からラベルを作れる。

 それから、スマートフォンやタブレットと接続して使える。接続はWi-Fi接続で、端末側では専用アプリ「Brother iPrint&Label」を使う。アプリはiOS版Android版がある。また「Mobile Cable Label Tool」という、より専門性の高いアプリも存在する。

左からiOS版「Brother iPrint&Label」、Android版「Brother iPrint&Label」、Android版「Mobile Cable Label Tool」。使い慣れた端末からラベル作成ができるわけですな。

 なお、上で「Wi-Fi接続」と書いているが、より具体的には、PT-P750Wと端末を直接つなぐこともできるし、Wi-Fiルーターなどを経由してつなぐこともできる。

 前者の「PT-P750Wと端末を直接つなぐ」は、「Wireless Direct」という機能(Wi-Fi Directとほぼ同等の機能)でつなぐ方法。PT-P750WがWi-Fiアクセスポイントとなり、そこにPC/スマートフォン/タブレットをWi-Fi接続するわけですな。NEC対応端末なら、端末をPT-P750Wにタッチする程度で、アプリのインストールからWi-Fi接続設定までを済ませられる。

 後者の「Wi-Fiルーターなどを経由してつなぐ」は、PT-P750Wを無線ネットワークプリンターとして設定しての利用法。PC/スマートフォン/タブレットから、PT-P750Wがネットワークプリンタとして見えるわけですな。ラベル作成は上記のアプリ類を使って行える。

 ただし、PT-P750Wをネットワークプリンタとして設定するには、「プリンター設定ツール (Printer Setting Tool)」を使って手動での設定が必要になったりして、ちょっと面倒かもしれない。お手軽度を考えれば、上記「Wireless Direct」を使った方法がオススメだ。

 また、「Wireless Direct」でつなぐにしても、ネットワークプリンタとして設定してつなぐにしても、PT-P750WのWi-Fi接続機能を使う場合は、電源がACアダプターもしくは専用リチウムイオン電池である必要がある。単3形電池だとWi-Fi接続できないので注意が必要だ。

 ともあれ、こんなふうにいろいろな方法でイロイロな端末とつながるPT-P750W。専用リチウムイオン電池(別売)を使いつつのWi-Fi接続スタイルなら、PT-P750Wにケーブル類が一切つながらない状態で使えるので、ヒッジョーにスッキリ♪ だったりする。

NFCで手軽に設定、無線ラベルプリンターは超便利♪

 PT-P750Wを初めて使ったとき、「NFCでのWi-Fi接続設定がラク」と聞いていたので、とりあえずNFCを使ってみた。PT-P750WにACアダプターをつなぎ、あまり深く考えずっていうか何も考えず、手持ちのスマートフォン「ARROWS NX F-06E」をPT-P750Wにペタリと。

 そうすると、ほぼ即座に端末がGooglePlayへとアクセス。「Brother iPrint&Label」のダウンロード画面が現れた。ので、ダウンロード……そしてダウンロード終了。

 その後、とくに何も起きないので、再度「ARROWS NX F-06E」でPT-P750Wにタッチ。すると、アプリが起動して(一度アプリのエンドユーザーライセンス契約確認画面が出るが)、「ARROWS NX F-06E」とPT-P750WのWi-Fi接続が自動的に済んだ。そしてPT-P750WをWi-Fi接続で使えるようになった。

NFC対応端末でPT-P750Wにタッチすると、「Brother iPrint&Label」アプリのダウンロード画面に移行する(左)。ので、ダウンロード。NFC対応端末に「Brother iPrint&Label」アプリがインストールされた状態でPT-P750Wにタッチすると、「Brother iPrint&Label」アプリが起動し、Wi-Fi接続(Wireless Direct接続)設定が自動的に進んで完了する。以降、アプリでラベルを作り、PT-P750Wからプリントできる。あら簡単♪

 あら、まあ、なんということでしょう~、匠の技でサクサク進んじゃった感じっていうかなんか楽勝過ぎかも。俺の場合、NFC対応製品はいくつも使っているが、こんなにスムーズに使えているのは初めて。ソニーのオーディオ製品は何度かタッチしてやっと……的だったりして、オムロンの健康関連製品はタッチしてもエラーが出たりすることが少なくない。NFCには「コケることが多い」という印象があったりした。

 ちなみにその後、検証のため何度かPT-P750Wと「ARROWS NX F-06E」をタッチして自動設定の様子をチェックしているが、一度もトラブルがナイ!! って今時のNFC対応製品ってこんな感じ? ともあれ、NFCにより非常にラクにWi-Fi接続(Wireless Direct接続)設定を済ませられるのであった。

 当然だが、PT-P750Wと各端末をWi-Fi接続(Wireless Direct接続)するとき、設定を手動で行うこともできる。SSIDや接続キーの手動入力ですな。

 で、そうする場合に便利な機能がある。本体のWi-Fiボタンを2度連続で押すと、PT-P750WのSSIDと接続キーがプリントされたラベルが出力されるのだ。そのラベルを見てスマートフォンなどのWi-Fi接続設定をしたり、あるいはラベルを人に渡して「このSSIDとパスワードで接続すればプリントできるよ」てな使い方ができる。なかなかイイ♪

 さて、さらにその後、結局はPCからもスマートフォンやタブレットからでも、PT-P750Wをネットワークプリンタとして使いたいと考え、そのように設定して使っている。というのは、PT-P750WをWi-Fi接続のネットワークプリンタとして使っているときが、「印刷開始までのタイムラグがいちばん短い」からだ。

 ネットワークプリンタとして接続している場合、PCからでもスマートフォン類からでもあまり関係なく、アプリの印刷ボタンをクリックすると即座にPT-P750W上で印刷が始まる感覚。使用中のLAN環境からくるものなのかよくわからないが、USB接続やWireless Direct接続だと、1秒弱のタイムラグがある感じがする。

 まあ、どちらにせよ、ラベルプリンターを無線で使えるという、つまりはケーブル類に縛られないという開放感はグレイト。前述のとおり、ACアダプターもしくは専用リチウムイオン電池(別売)を電源とすればPT-P750Wを無線で使えるわけだが、ケーブル類が一切必要無い専用バッテリーでの運用はも~の凄いスッキリ感♪ この電池(型番 BA-E001)は、4000円弱してビミョーに高い感じだが、ケーブルレスのスッキリ感を一度味わうと必需品に思えてくる。

常用の端末でラベルを作れるのは実に快適!! しかも「WYSIWYG」!?

 PCやスマートフォンやタブレットなど各端末でPT-P750Wを使ってみて、いちばん強く感じるのは「常用の端末でラベルを作れる快適さ」である。各端末用アプリがまずまず使いやすく、かなり高機能であるということからも快適さを感じるわけだが、それ以上に「いつもの端末のいつもの入力環境でラベルを作れる」という障壁の少なさがイイ。

 電池駆動でどこでも使えるという利便から、ラベルライターの類をついつい使いがちだった。キーボードを搭載した、入力~漢字変換機能まで持っているラベルプリンターですな。便利だが、しかし、文字入力に関しては使いにくかったり貧弱だったりして、使用時にわりとストレスがたまった。

 が、常用の端末ならそういうコトはない。PCもスマートフォンもタブレットも、かな~り高度な文字入力システムを使えるし、タップによる入力もわりあい快適。常用しているだけあって、ラベルライターのキーボードより遙かに効率良く入力できたりする。そういう端末上でラベルをサクサク作っていけること自体が、まず快適だと感じられる。

 それから、iOS端末やAndroid端末のアプリでは、どうもWYSIWYG(ウィジウィグ)でラベルを作れるらしいこと。つまり、画面上に表示されたラベルを、ほぼそのままのサイズでプリントアウトできるのだ。また、PT-P750Wはラベルサイズやラベルの色までアプリに知らせる機能があるので、ラベル色まで画面上に再現される。

左は「iPad Air」のラベル作成画面と実際に出力したラベル。中央は「ARROWS NX F-06E」、右は「ARROWS Tab F-02F」。どの端末でもWYSIWYG環境でラベルを作ってプリントできた。

 ラベルライター類だと、実寸表示機能などと言って、ラベルをほぼ実サイズで表示することはできる。が、入力しながら実寸表示ができなかったり、モノクロ液晶表示なのでラベル色が再現されなかったり、実用性はいま一歩。

 だが、このPT-P750Wと(上記の)スマートフォンやタブレットを組み合わせた場合、WYSIWYG環境でラベルを作成してプリントできる。なお、PCの場合でも、ディスプレイと表示解像度が適切な設定ならばWYSIWYG環境でラベルを作れる。のだが、スマートフォンやタブレットの場合、ラベルを貼る対象に画面を近づけて「もうちょっと短いほうがいい」「これだと文字が小さ過ぎかな?」などと見比べられるので、WYSIWYG環境でラベルを作れることのメリットがより強く感じられる。

 いや~使いやすいっすわ~コレ♪ ラベルプリンターの購入を考えているなら、絶対チェックすべき一台ですな。また、ラベルライター(キーボード付きラベルプリンター)の購入を考えている場合も、まあ値段の差は大きくなるかもしれないが、いろいろな意味で後悔しないためにPT-P750Wをチェックすべきだと思う。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。