スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

「自撮り棒」いろいろ

「自撮り棒」いろいろ

 今回のネタは、皆さんご存知の「自撮り棒」。スマートフォンなどで自分撮りをするための棒状撮影器具ですな。外国人観光者が街中で記念写真を撮るために使っているのをよく見かけますが、最近では日本人と思われる人もけっこー使っているようです。

よく見かけるタイプの「自撮り棒」。伸縮式ポールの先にカメラをセットできる雲台があり、手元から1mくらいカメラを離しての自分撮りができます。雲台部にアダプターを装着すれば、スマートフォンのインカメラ(液晶画面側)とセルフタイマーを使っての自分撮りも容易です。

 自撮り棒について、ミョーに高い可能性を感じているワタクシです。まあ自分撮りも楽しいんですが、通常ではちょっと面倒~無理な位置にカメラを保持できるのがイイな、と。わりと斬新なポジション/アングルからの撮影を最小限の機材で容易にこなせるので、自撮り棒を使えばこれまで撮りにくかった写真など画像が得られやすいと感じています。

 さておき、「自撮り棒の類はオモシロいな~」と各種自撮り棒を購入&使用していたら、手元に15本近くの自撮り棒がたまってしまいました。明らかに買い過ぎですが、しかし考えてみると、自撮り棒って当たり外れもけっこーありますな。

 てなわけで今回は、買い過ぎ自撮り棒のうち、わりとオススメできる製品だけに絞ってご紹介。それぞれの自撮り棒の機能性や使用感をザザッとレビュー、的な。なお、わりと多くの自撮り棒系製品は、OEM品だったり価格競争が激しかったり入れ替わりが多かったりし、類似品もしくは同等品がヒッジョーに安く売られていたりします。価格的にはわりと混沌状態。なので、今回は実勢価格について触れていません。

よくあるタイプのアレ

 まずは見かける機会が非常に多い典型的な自撮り棒から。ネットで「自撮り棒」を検索すれば多々類似品が出てきますが、グリップ部分近くに「mono pod」と書かれている製品です。

グリップ部分近くに「mono pod」と書かれている典型的な自撮り棒。長さ25cm程度ですが、100cm前後にまで伸ばせます。スマートフォン装着用アダプタとセットで売られていたりします。あまり重いカメラは装着できません。グリップ部手前には三脚に取り付けられるネジ穴があります。

 このタイプ、似たのを4本くらい持っていますが、使い勝手はほぼ同じという印象です。軽量のコンパクトデジカメやスマートフォン(要アダプタ)を装着し、伸縮棒を伸ばして自撮り。撮影時は手元よりかなりカメラが離れますので、液晶画面がこちらに向くタイプのコンパクトデジカメや、スマートフォンのインカメラを使っての自撮り向きです。カメラやスマートフォンは、セルフタイマーもしくはリモコンでの撮影が必要になります。

 あとこのタイプ、細身なので「THETA」を装着して撮るときも便利です。あまり重くないビデオカメラやムービーカメラを装着し、高所から撮影すれば人混みを避けて被写体を狙えたりも。携帯性が良いので、いろいろな用途に活用できますな。

 で、前述のとおり、このタイプは「どれも使い勝手はほぼ同じ」なので、安いのを買っとけばOK的な感じ。じつは以前、このタイプで900円くらいのと2500円くらいのを見つけて、「値段が倍以上違うんだからまさか同じ品ってわけはないだろう」と両方買ってみました。

 しかし「mono pod」のシールが貼られた向きが逆だった程度で、ほぼ完全に同じ品でした。また、値段が高いほうの雲台部の作りが甘く、使い勝手としては安い方が良好でした。単に製造上のバラつきか何かでしょう。ともあれこのタイプ、こういう当たり外れも含めて、安いのを買うのが無難という気がします。

 このタイプにおいて個人的に気に入っているのは、エツミの「セルフ撮りスティック E-6626」です。自撮り棒部分はほかの製品と同じなんですが、付属のスマートフォンアダプターが便利な感じ。

 わりと多く出回っている、自撮り棒に付属するスマートフォン用アダプターは、アダプターをグイッと開いてそこにスマートフォンを置き、バネの力でスマートフォンを挟んで固定するタイプです。実際に使うと、片手でアダプターを開いた状態に保ちつつ、スマートフォンをセットするのに若干手間取ったりします。

 エツミの「セルフ撮りスティック E-6626」付属アダプターの場合、アダプターにスマートフォンを置き、アダプター上下をガリリリッと縮めればスマートフォンが固定されるタイプです。クルマ用のスマートフォンホルダーなんかにけっこー見られるタイプで、扱いやすいですな。

 また、個別に売られている「スマートフォンアダプターLL E-6610」(iPhone 6 Plus対応品)や「モビクランプ E-6632」も実用的。ほかにもエツミからはイロイロな関連製品が発売されているようです。

エツミの「セルフ撮りスティック E-6626」(左)。中央は別売のiPhone 6 Plus対応の「スマートフォンアダプターLL E-6610」と「モビクランプ E-6632」。モビクランプは、自撮り棒の先に付けたカメラをスマートフォンでリモート操作する場合に、右写真のようにグリップにスマートフォンを固定できるので非常に便利です。

よくあるタイプ+αの製品

 前述の「よくあるタイプの自撮り棒」に機能を追加したタイプも増えています。たとえばスマートフォンと有線接続して、自撮り棒のグリップ部分のボタンを押すとシャッターが切れるという製品。サンコーの「サンコー/手元でシャッター! スマホ用有線自分撮りスティック ブラック CMHZ364B」やアユートの「手元シャッターボタン付き自撮り棒」を使っています。

サンコーの「サンコー/手元でシャッター!スマホ用有線自分撮りスティック ブラック CMHZ364B」。プラグをスマートフォンのイヤホン端子につないで使います。ボリューム「+」ボタンをシャッターに割り当て可能なiPhoneやスマートフォンで使えて、グリップ部のボタンでシャッターを切れるようになります。
アユートの「手元シャッターボタン付き自撮り棒」。こちらもプラグをスマートフォンのイヤホン端子につないで使います。ボリューム「+」ボタンをシャッターに割り当て可能なiPhoneやスマートフォンで使用可能です。ただ、自撮り棒本体部は「よくあるタイプ」と作りが異なります。雲台部分は金属製でちょっと扱いやすい感じ。

 スマートフォンは、ボリュームボタンでカメラのシャッターを切れる機種が少なくありませんが、上記両製品はそれを利用したものです。スマートフォンのイヤホンジャックににケーブル先のプラグをつなぐと、自撮り棒グリップ部にあるボタンでスマートフォンのシャッターを切れるというわけです。ただし、ボリュームの「+」ボタンをシャッターに割り当て可能なiPhoneやスマートフォンでないとこの機能は使えません。

 使用感は「とても便利」という感じ。プラグをいちいちつなぐのが面倒ではありますが、単純明快で迷わず使えて、余裕をもってフレーミングしたりシャッターチャンスを狙ったりできて実用的です。

 ほかに、Bluetoothでの無線接続により、スマートフォン側のシャッターボタンを切る製品もあります。個人的にはホワイトナッツの「Bluetoothワイヤレスモノポッド」を使っています。

ホワイトナッツの「Bluetoothワイヤレスモノポッド」。自撮り棒部はよくあるタイプですが、Bluetooth接続によりスマートフォンのシャッターを切ることができます。シャッターボタンはグリップ部にあり、グリップ部手前端にUSB充電用端子と電源スイッチが並びます。「iPhoneや2012年秋以降のAndroidで使用可能、Xperiaシリーズには非対応」だそうです。

 コレ、前出のケーブル式よりさらに便利です。自撮り棒の電源を入れてスマートフォンをセットして手元のボタンで撮影、という感じでスムーズに使えます。

 ただ、こういう凝った自撮り棒ではなく、よくあるタイプの自撮り棒と汎用のリモコンを併用するほうがシンプルに使いこなせるのかもしれません。たとえばワタクシの場合、iPhone用リモコンとしてセンチュリーの「Bluetooth接続マルチメディアリモコン iRemote Shutter CIA-BTMR」を使っています。

センチュリーの「Bluetooth接続マルチメディアリモコン iRemote Shutter CIA-BTMR」はiOS 5.0以降の端末で使えるワイヤレスリモコンです。電源ボタンはスライド式で、Bluetooth接続パスキーを入力できるテンキーも備えます。電源はCR2025×2枚。

 最近はこれに似たタイプのスマートフォン用リモコンも多数発売されているようで、価格も下がってきています。快適に自分撮りなどをしたい方は、ぜひ一度調べてみてください。

よりハードに使えて携帯性も良好な自撮り棒

 よくあるタイプの自撮り棒の難点は、作りがやや華奢なこと。伸ばした状態では棒の継ぎ目が少々グラグラし、雲台部分は樹脂製なのでスマートフォンやカメラをシッカリ固定しづらかったりします。でも最近では、カメラ機材ブランドからより頑丈な自撮り棒も発売されるようになりました。

 その多くは、Wi-Fiでスマートフォンからリモート操作できるデジカメなどをセットして撮ることを想定した自撮り棒という感じ。スマートフォン用アダプターが付属しないタイプが多いですが、安心感を伴って使える製品が多いです。

 そんな製品群のなか、ワタクシのイチオシはベルボンの「ウルトラスティック セルフィー」です。やや太めですがコンパクトに携帯でき、棒の部分も雲台の部分もシッカリ作られていて、安心して使える感じ。グリップ部手前には三脚ネジ穴もあります。

ベルボンの「ウルトラスティック セルフィー」。ダイレクトコンタクトパイプとウルトラロック機構により、手軽に伸縮させることができグラつきなども少ないです。雲台部分も金属製で頑丈。グリップ部手前端に三脚ネジ穴があります。伸ばしたときの長さは72.5cm。400g前後までのカメラを装着できます。

 もうひとつ、GoProブランドの「3-Way」です。これは自撮り棒というよりもGoPro(世界的定番アクションカメラ)専用の多目的アームですな。でも、先端にカメラを装着するためのアダプタを付ければ、かな~り自由な使い方ができると思います。

GoProブランドの「3-Way」。樹脂製のコンパクトな自撮り棒で、展開して使います。先端の取っ掛かりはGoPro専用ですが、市販のカメラネジ穴用アダプタなどを使えば、カメラを取り付けられますし、スマートフォン用アダプターも装着できます。伸ばしたときの長さは約52cm。
まっすぐに伸ばせば一般的な自撮り棒と同様に使えます。カーブを描くようにすれば、手元が写り込まず被写体にカメラを向けやすい自撮り棒として使えます。アームは非常に強固に固定できます。また、グリップ部内部に仕込まれた三脚を使えば、自撮り棒自体を自立させたりすることもできます。

 GoProの「3-Way」は、上の写真のような市販のカメラネジ穴用アダプタと組み合わせれば、カメラ一般に汎用できます。頑丈で自由度の高い応用が利きますので、カメラやビデオが趣味の方は一度チェックしてみるとおもしろいかも。

やや大きめだけどハードに使える自撮り棒

 最後に、もうちょっとサイズが大きく、そのぶんハードな使用にも強めの自撮り棒を。ちょっと長め大きめなので携帯性にやや難はあるんですが、一般的な一脚などよりはコンパクトに携帯できると思います。モノは、ソニーの「アクションモノポッド VCT-AMP1」と、上海問屋の「DN-11725 ハンディ一脚 (セルフィースティック) 45~125cm」です。

ソニーの「アクションモノポッド VCT-AMP1」。ソニーのアクションカム用の自撮り棒ですが、一般的なコンパクトカメラなども装着できます。雲台部は別の雲台に交換することもできます。ストラップ部に腕を通してグリップを保持すると、非常に安定します。伸ばしたときの長さは90cm。
上海問屋の「DN-11725 ハンディ一脚 (セルフィースティック) 45~125cm」。一脚のような雰囲気の自撮り棒で、スマートフォンアダプターが付属します。グリップ部手前端に三脚ネジ穴があります。伸ばしたときの長さは125cm。

 これら2品なら、重くないレンズをセットしたミラーレス一眼あたりまで保持させることができます。ただしソニーの「アクションモノポッド VCT-AMP1」については、ソニー製アクションカム用のモノポットとなっていますので、ミラーレス機などをセットしての使用は自己責任のもとでどうぞ。

 これら以上の頑丈さを持つ自撮り棒もあるんですが、そのクラスになると「市販の一脚を自撮り棒的に利用」したほうが実用的かも。また、業務用っぽい要素が入ってきて値段もグンと上がってしまいますので、今回は割愛します。

 てな感じで、以上がワタクシ的にかなりオススメ~まあまあオススメの「ハズレではなかった自撮り棒」です。ただ、記事前半に出てきた「よくあるタイプ」や「よくあるタイプ+α」の製品については、その後に紹介したタイプと比べると、作りはお値段なりというイメージかもしれません。ですので、オモシロがってではなくわりとマジメな姿勢で自撮り棒を選ぶなら、記事後半のものをオススメします。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。