スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

キヤノン「PowerShot N2」を常時携帯♪

キヤノン「PowerShot N2」を常時携帯♪

 2015年2月19日に発売されたキヤノンのコンパクトデジタルカメラ「PowerShot N2」。予約して発売日に購入し、約1カ月半程度使ってきましたので、今回はこのデジカメについてレポートしたいと思います。

キヤノンの「PowerShot N2」。1/2.3型・有効1610万画素の撮像素子(CMOSセンサー)を採用したコンパクトデジタルカメラで、35mm判換算28~224mm相当の光学8倍ズームレンズを搭載し、手ブレ補正機構も備えています。手のひらサイズのかわいらしいサイズ感。実勢価格は2万9000円前後です。

 四角いフォルムとレンズ周囲のリング状シャッターボタンが特徴的な「PowerShot N2」ですが、同様の特徴を備えていた「PowerShot N」の後継機種ですな。「PowerShot N」は発売時に購入しようとしましたが、直販のみの販売で、初回出荷分を予約し損ねて買えず。そのまま時間が経ち、買う気が失せてしまった感じです。

 が、新宿のキヤノンサービスセンターに実機があり、触れてみたら好感触。「こういうカメラもいいなあ」と思いました。まあ既に買う気を失った状態だったので購入には至りませんでしたが。

 さておき、「いいなあ」と思ったのは本体サイズとリング状のシャッターボタンです。ポケットサイズで軽量ゆえ、常時携帯向き。リング状のシャッターボタンはどの方向からでもシャッターを切れるので、カメラのホールドのしかたの自由度が非常に高く、さまざまなポジション/アングルから撮影できます。

 で、後継機種の「PowerShot N2」が登場。じゃあ実際に常時携帯して使ってみよう!! てなスタンスで予約購入した次第です。

 以降、「PowerShot N2」の使用感などについて書きますが、とりあえずワタクシ的結論から申しますと、コレかなりイイです。携帯しやすく撮影もしやすく、後述しますが「速写性」にとても優れているので、スマートフォンより手軽に日常をスナップしまくれる感じです。

小さい、軽い、片手でも即ツカエル!!

 まず外観的な特徴ですが、スクエアに近いカタチで左右対称のデザイン。前述のとおりレンズ周囲のリングがシャッターボタンで、その内側のリングでズームアップダウンを行えます。レンズは35mm判換算28~224mm相当の光学8倍ズームレンズ。液晶モニターはタッチ対応の2.8型(約46万ドット)で、チルト機構により上方180度まで無段階で角度を変えられますので、広角側だと自分撮りも容易です。

 レンズ周囲の2つのリングとタッチパネルで主な操作をしますので、ボタン類は非常に少なく合計4つです。電源ボタン、再生ボタン、モードスイッチ、ワンタッチスマホボタンです。

 なお、サイズは80.9×62.0×32.3mmで、バッテリーやメモリーカードを含んだ
質量は約201gです。上着のポケットなどに入れても嵩張りにくいサイズ感です。

本体は、ほぼシンメトリーなデザインです。背面に見えるのは液晶モニターだけ。
28mm相当の広角から使える光学8倍ズームレンズを搭載しています。レンズ周囲の銀色のリングは、前から見て手前側がシャッターボタンで、奥のギザギザ付きリングがズームレバーの役割を果たします。シャッターボタンはどの方向からでも押せて、もちろん半押しもできます。
液晶モニターは最大180度まで無段階で開きます。自由なポジション/アングルで撮れるほか、自分撮りも容易に行えます。
2つのリング以外のボタンは4つ。本体の左右に2つずつあります。
本体底面には三脚ネジ穴が。電池室やメモリーカード(microSD)スロットも底部です。
本体上部左右には、ストラップホールがあります。ストラップ類を巧く使えば、カメラを首から下げられるでしょう。ほとんどの操作をタッチで行います。表示されるUIは、わりとフツーなキヤノン的UI。

 小型軽量なので、前述のように上着のポケットに入れたりしてもあまり違和感なく携帯できます。軽いのでネックストラップで吊ってもいいですな。非常に良い携帯感です。

 これに加え、片手でも扱えちゃうのが「PowerShot N2」のイイところ。具体的には、片手で本体を取り出して、そのまま少し持ち替えて電源ボタンを入れて、さらに軽く持ち替えて画面が見える状態にして、そこからシャッターまで押せます。電源ボタンを押した後1秒程度以内に撮影スタンバイになりますので、被写体を見つけた直後すぐに速写できる感覚です。

ポケットやバッグからカメラ本体を取り出す→電源を入れる→シャッターを押す……この動作を片手で行えます。慣れると非常にスムーズに「速写」できちゃいます。

 この「片手だけ」での「速写感」は、一般的なコンパクトデジカメにはちょっとナイものだと感じます。やろうと思えば一般的なコンパクトデジカメでも、片手で電源ON~撮影までできますが、「PowerShot N2」の場合、カメラを安定的に掴みながら、レンズ周囲のリング(シャッターボタン)に触れているどれかの指を僅かに動かすだけで撮れます。本体をわりとしっかりホールドしつつ、無理のない指の動きでシャッターを切れるという点で、非常に扱いやすいです。

 ただ、片手で撮るとやはり手ブレしがちではあります。やや暗いと、なおさら。まあ、そういう条件下ではもう一方の手も添えればいいだけの話ですが。なお、晴天下など十分明るい条件下なら、片手で慌てて速写しても手ブレは起きにくいと感じます。これは恐らく、片手だけでもカメラをしっかりホールドでき、シャッターボタンをそっと押せるからだと思います。

 ともあれ、速写性能(!?)が非常に高い「PowerShot N2」。軽快に携帯できて即撮れる感覚は、スマートフォンを遙かに凌ぐスピード感だとも思います。スナップをクイックに撮りたいという人によく向くカメラだと感じられます。

活用幅の広いレンズ、画質的にも好印象

 それからレンズ。前述のとおり、35mm判換算28~224mm相当の光学8倍ズームレンズを搭載しています。サイズ感としては非常にコンパクトな「PowerShot N2」ですが、ズーム倍率がわりと高めなので、いろいろな被写体を無理なく撮影できるという印象です。

 ズームに関してはキヤノンの製品紹介ページに詳しくありますが、デジタルズームまで使うと「えっ? このカメラで!?」と軽く驚ける高倍率撮影ができたりします。

左が広角端(28mm相当)で、右が光学8倍でズームアップしたところ。けっこー遠くの被写体を引き寄せて撮れます。
左はデジタルズームで16倍にズームアップしたもの。プログレッシブファインズーム領域内なので、画質劣化がわりと少なめです。右はさらにデジタルズームで32倍までズームアップしたもの。さすがに画質劣化が増えますが、なかなか楽しい望遠倍率です。

 なお、上の写真は手持ちで撮っています。ズームした写真はどれもシャッター速度1/125秒となっていますが、手ブレ補正が強力に効き、ほぼ手ブレは見受けられません。なかなか頼りになるカメラですな。

 あとこのカメラ、ワタクシ的には画質も好印象です。とりわけクリア感が良好っていうかノイズ感が少なく、多くの場面で色鮮やかでクッキリしたスナップを残せると感じました。

 以下に「PowerShot N2」で撮ったスナップを並べてみましょう。左がリサイズしたもの、右が等倍(ドットバイドット)です。リサイズやトリミング以外の処理は施していません。

北海道で見た除雪車。自然な発色だと感じました。ディテールもキレイ。
ボンネットの上の雨粒。細部までよく描写されています。
交差点で信号待ちのときに片手撮り。よく写るカメラです。
歩道を歩きながらの片手撮り。解像感もなかなかのものです。

 ポケットサイズ&片手で使えるという軽快感から考えると、なんかかな~り画質がイイという気が。気楽に使えることと、画質的に意外に好印象であることの、このギャップが「なんかこのカメラ凄いかも」と感じさせます。まあ、でも、同クラスのキヤノン製コンパクトデジカメと比べると、「PowerShot N2」が画質的にとりわけ秀逸というわけではいと思います。

 もうひとつ、このカメラ、最短撮影距離も短いです。広角側だと被写体に(レンズ先端より)1cmまで近づいて撮れます。望遠側だと1mまで寄れます。自由なポジション/アングルから撮れるので、ラクに接写を行えてイイ感じです。

電車で移動中、時間を持て余して腕時計を接写。片手撮りですが細部までビシッと写りました。
昼寝中の猫を接写。AFは速度も精度も良好なことが多いと感じられます。
やや暗い状況下で猫に寄って撮影。ISO感度が1250まで上がりましたが、ノイズ感も少なく、わりと良好な画像になりました。

 なかなか楽しめるカメラです。「PowerShot N2」には「クリエイティブショット」などをはじめとする、独自の楽しげな撮影モードがあります。が、そういったモードを使わずとも、カメラ自体のスタイルや機構や基本性能だけで、一般的なコンパクトデジカメとはずいぶん違う楽しさが味わえると思います。

タブレットに日常がたまっていく~♪

 このカメラはWi-Fi対応で、PCやスマートフォンなどに画像を転送したりすることができます。詳しくはキヤノンの製品紹介ページにありますが、撮ったその場で写真をスマートフォンに転送してネットにアップするような使い方もできるわけですな。

「PowerShot N2」とiPadを連係させて使用している様子。スマートフォンやタブレット側では「Camera Connect」アプリを使用。画像の転送などを行えます。
「Camera Connect」アプリからリモート撮影している様子。

 ワタクシの場合、「PowerShot N2」で撮った写真を定期的にiPadに転送しています。後でジックリと画像を見るためです。

 さておき、そうしていたら、なんかちょっと愉快な状況に。というのは、iPad上にワタクシの日常が全部、写真として記録されている感じになったのです。「PowerShot N2」で撮ったスナップが時系列でズラリと並んでいて、「サムネイルを見ると行動が丸わかり」みたいな雰囲気に。

iPadに「PowerShot N2」で撮った写真を転送しています。カメラロールを見ると、「PowerShot N2」によるスナップ写真がズラリ。電車で出掛けて、街を歩いて、打ち合わせして、帰宅して猫を撮って……的に、行動が丸わかりのサムネイルです。
飛行機で北海道にロケに行き、雪が少なくて苦労して、でもどうにかなって帰宅して、猫を撮って……。スナップ写真で綴る自分の行動、振り返って見られるのは案外おもしろいですな。

 スナップ写真で自分の行動を思い返せる感じ。まあ当然と言えば当然ですが、それだけ「PowerShot N2」でスナップを撮りまくりだったというわけです。また、「PowerShot N2」は前述のとおり携帯性にも速写性にも優れていますので、スナップを気軽にたくさん撮れるカメラなのだと改めて感じました。

 全体的に好印象な「PowerShot N2」ですが、使いにくい部分もありました。たとえば不意に本体側面のボタンを押してしまうこと。電源ボタンやワンタッチスマホボタンを不意に押してしまうと、電源が入ったりWi-Fi接続モードになったりして、ちょっと面倒。位置的にも本体左右にあるので、本体を掴むときに押しがち。慣れないと、都度イライラするボタンだったりします。

 それから、ボタンが少ないことからくる不便。たとえばちょっと露出補正をしようと思っても、タッチパネル操作となります。メニュー類のタッチボタン表示はあまり大きくないので誤操作も起きがち。細かな設定を変えつつも撮れるんですが、そうすると操作感がいきなり悪くなります。あまり凝ったことをせず、デジカメ任せで撮るタイプのカメラなんですな。

 そんなところでしょうか。若干の不便はあるわけですが、「PowerShot N2」は手軽さと速写性が命かも、とか思います。使い始めるといきなり多量にスナップを撮りまくるようになりがちな愉快なカメラですので、気になる方はぜひ一度ジックリとチェックしてみてください。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。