スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

9980円のリングライトはツカエルのか?

税込9980円のリングライトはツカエルのか?

 今回のネタはサンワサプライの「カメラLEDリングライト 200-DGAC001」です。いわゆる「マクロ撮影(接写)用リングライト」で、基本的には接写ができるレンズと組み合わせて使う撮影用照明ですな。サンワダイレクト価格は税込9980円。

サンワサプライの「カメラLEDリングライト 200-DGAC001」。電源部をホットシュー(外部フラッシュを取り付けるカメラ上部の台座)にセットし、発光部をレンズ先端(フィルター取り付け部)にセットして使います。レンズアダプターリングが6種類付属していますので、フィルターが装着できるレンズの多くにセットできます。フィルター径が合わずにセットできない場合は、ステップアップリングなどを使います。

 コレを購入した理由は、小物を手軽&キレイに撮りたいからです。前述のとおり、この製品は「マクロ撮影(接写)用リングライト」。マクロ撮影(接写)するときに、被写体にまんべんなく光を当てられて、違和感のある影を出さずに撮れるという撮影用照明です。

 が、メーカー純正品などを買うと、けっこーなお値段がします。たとえばオリンパスからは「リングフラッシュセット SRF-11」や「ツインフラッシュセット STF-22」といったマクロ撮影用フラッシュが発売されていますが、実勢価格は前者が5〜7万円、後者が6〜8万円程度します。高っ!!

 以前に「リングフラッシュセット SRF-11」試用したことがあるんですが、非常に便利。10cm程度のサイズの小物なら、ヘンな影が出ずにキレイに撮れるんです。しかもTTLオート露出対応で、非常に手っ取り早く撮れました。持っていたら確実に便利だと思いますが……でも高っ!!

 一方、サンワサプライの「カメラLEDリングライト 200-DGAC001」は税込9980円。ミョーに安っ!! まあ上記のような本格的なリングフラッシュなどと比べれば性能も撮影幅も違いますが、手っ取り早く接写するには良さそうです。

 またこの製品、常時点灯して被写体を照らすことも、閃光(フラッシュ)で撮影の瞬間だけ被写体を照らすこともできます。常時点灯したときは無段階での明るさ調節にも対応しています。なかなか良さげ……というわけで買ってみました。

 以降、「カメラLEDリングライト 200-DGAC001」の機能や使用感について書きますが、使ってみての結論から言っちゃえば、いくつか残念点はあるものの、接写向け撮影用照明器具としてシッカリ使えました。以下の写真は、「カメラLEDリングライト 200-DGAC001」使用時と非使用時を比べたものです。

左は、天井の照明器具および薄く差す外光で撮った写真。影ができちゃいますな。中央は「カメラLEDリングライト 200-DGAC001」を使って撮った写真。均等に光が当たりました。さらにソレをちょっとレタッチしたのが右の写真。なかなかキレイです。

 税込9980円なのに、リングフラッシュのメリットがけっこー得られている感じ♪ いいかも、です。ともあれ以降、「カメラLEDリングライト 200-DGAC001」の機能や使用感についてレポートしていきます。

機能はまずまず、作りはイマイチ

 まず「カメラLEDリングライト 200-DGAC001」の仕様をザックリと。ライト部サイズは横12×縦14×厚み2.8cmで、電源部サイズは横6.4×縦9.3×厚み6.4cm。電源は単3電池×4本で、電池込みの使用時質量は約354g(実測値)です。出力5Wで色温度は5800K、明るさは480lmとなっています。連続で約1時間点灯可能。レンズアダプタリング×6個(52/55/58/62/67/72mm)が付属しています。

電源は単3電池×4本。ニッケル水素電池(エネループ)でも使用できました。電源部後方に、電源スイッチ兼動作モード切替スイッチと、光量調節ダイヤルがあります。
付属のレンズアダプタリングをレンズのフィルター溝にネジ込み、そのうえで発光部をセットします。発光部には白色LED×80個が内蔵され、電源部後方の光量調節ダイヤルで無段階に調光できます。

 発光モードは2種類で、フラッシュ発光モード(F)と常時点灯モード(L)です。電源部本体後方のスイッチで切り換えます。

 電源部をカメラのアクセサリーシューにセットして使うわけですが、常時点灯させて使うだけなら、電源部は単なる電池ボックスと同様ですので、アクセサリーシューから外しても大丈夫です。常時点灯で使う場合は、電源部後方のダイヤルで明るさを無段階調節でき、消灯〜常時点灯の上限光量まで調節できます。見たところ、恐らくPWM発光でないのでチラツキがなく、ビデオ撮影用照明としてもイケそうです。

 フラッシュ発光で使う場合、電源部は必ずカメラのアクセサリーシューにセットする必要があります。またアクセサリーシューはシャッターのタイミングをフラッシュに伝達するための電子接点を持つシュー(ホットシュー)である必要があります。

 また、フラッシュ発光モードにしていても、常時点灯可能です。たとえば、ある程度の明るさで発光させつつピント合わせやフレーミングを行い、シャッター押下と同時にフラッシュ発光させられます。つまり、フラッシュ発光モードは、常時点灯モードに「シャッター押下の瞬間により明るい閃光を追加する」という発光モードと言えます。

 機能的にはわりとイイ感じの製品ですが、作りは……良いとは言えません。フラッシュ部は横に隙間があるし、レンズアダプタリングへの脱着がかなり硬いです。強度もあまりなさそう。「きっと使っているうちに、フラッシュ部のレンズアダプタリングを押さえる部分が割れるんだろうなあ」という予感がします。

全体的に作りはあまりよくないですな。発光部の横側は精度が悪くて隙間があり、そこから光が漏れています。レンズアダプタリングとの嵌合部端は既に割れそうです。まあ、隙間はテープで塞ぎ、割れたらここもテープ止めなどすればいいでしょう。

 操作ボタン類も、部品自体がチープなので、操作感はあまり良くありません。まあ、激安リングライトなので、こういう部分は値段相応といったところでしょう。「そういうモノ」として割り切って使っております。

常時点灯モードが便利♪

 使ってみて実用的だと感じたのは、常時点灯モード。ライトを点灯させっぱなしにして、被写体に光を当てつつ撮影するスタイルですな。カメラのオートフォーカスがよきキビキビ機能しますし、光の当たり具合を確認しながら撮影できますので、気軽に撮ってキレイな写真が得られ、かなり楽しめます。

 以下、実際に「カメラLEDリングライト 200-DGAC001」を使って撮った写真を並べてみます。写真左が環境光(天井照明や差し込んだ外光)のみで撮ったもので、右が「カメラLEDリングライト 200-DGAC001」を使って撮ったものです。リサイズ以外のレタッチは施してありません。

 ちなみに、使用カメラはオリンパスの「OLYMPUS OM-D E-M1」、レンズは「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」。撮影はプログラムオート露出/ISOオート/オートホワイトバランスで、全体的にカメラ任せの撮影です。

黒い猫の置物です。天井の照明だけで撮ると全体的に黒く潰れがち。リングライトだと良好な立体感が出ます。
差し込む外光のみで撮ったものも悪くありませんが、リングライトを使うとカメラの立体感がさらに出ます。レンズの細部も見えるようになりました。
撮るのがなかなか難しい腕時計のムーブメントのこのとおり。
同じLED光源だからか、スマートフォンの表示色とその他の部分のホワイトバランスがマッチしています。
ここからは、古い電球色蛍光灯が光源(天井)のリビングで撮った写真です。水と氷を入れた透明のグラスですが、こういう茶色っぽい黄色になりがちです。リングライトを使ったら正しい色味になりました。
食べ物も本来の色に近いです。影が出ないあたりも好印象。
麦茶を入れたグラスを、上からレンズで覆うようにして撮ってみました。リングライトを使うと各部の色や質感がハッキリしますな。
猫足を激写。毛が細かく描写されました。
猫顔も激写。リングライトの常時点灯モードだと少し眩しいらしく、瞳孔が細くなってしまいます。
猫頭も接写。いろいろなモノの模様を撮るのにもイイですね。

 共通するのは、あまり奥行きのないモノなら影を出さずに撮影できるということです。被写体を均等に照らすことができるので、カメラ任せのオート撮影でもなかなかキレイに接写できますな。

 また、色や模様が偏りなく描写されるので、観察〜記録用途にも向きます。そんな特性もあり、リングライトは医療現場の患部撮影用フラッシュとしても使われていたりします。

 それから、あくまでもワタクシ的印象ですが、この白色LEDは演色性も悪くないように思います。オートホワイトバランスで撮ってもヘンな色になりにくく、後でレタッチしたときも素直な色味で扱いやすく感じました。

 ただし、リングライトの弱点として、被写体の光沢面にリングライトそのものが写り込んでしまうことがあります。常時点灯モードなら確認しながら写り込みを避ければいいのですが、後々見たら「細部にリング状の写り込みが……」というケースも。

時計の写真は「リング状発光部が思いっ切り写り込んだ例」です。中央は前出の作例ですが、レンズ部にリング状の発光部が写り込んでいて、それがいくつも見えます。猫顔も前出ですが、キャッチライト(目の中の光の反射)がリング状になります。これはコレでキレイですな。

 リング状の写り込みは、リングライトの特徴。「モデルのキャッチライトをリング状にしたいから」という理由で、補助光として敢えて大きいサイズのリングライトを使う人も。まあでもそういう観点だと、このリングライトは直径が小さく、目に入るリング状キャッチライトも小さくなってしまうので、力不足かもしれません。

 もうひとつ、少し前述しましたが、「常時点灯モードで使う場合は電源部をカメラのシューにセットしていなくてもOK」です。ので、たとえばiPhoneと強引に組み合わせての撮影もできちゃいますな。その方法と作例を少し紹介してみます。

リングライトの中心にiPhone 6 Plusのレンズ部が来るようにして撮影してみました。リングライトとiPhoneは指で押さえて合体状態を保ちました。
ミント菓子を撮影。リングライトを使うと、撮影環境が明るくなり、シャッター速度も速くなり、明らかに手ブレ写真が減るのがわかります。
リングライトだと光が均等に当たるので、被写体の立体感も強くなることが多いようです。
こちらはドット状の反射ができてしまいましたが、レンズ部の細部までよく写せました。

 まあスマートフォンと組み合わせるにはちょっと大げさな感じですが、わりとイロイロ応用できるリングライトではあります。ほか、よく観察すると作りがシンプルで単純気味だったりするので、自己責任で改造して使うのもおもしろいかも、です。

フラッシュ発光モードはちょっと面倒

 もうひとつのフラッシュ発光モードですが、使ってみたら「あまりお手軽ではない」という印象になりました。ちょっと面倒な感じ。

 というのは、まずカメラの露出モードがオートの場合、まず適正露出にならないからです。多くのケースで露出オーバーになるので、撮影しながらの露出補正が必要になります。リングライトを常時発光させていてもそうでなくても、カメラ側が測光した以上に明るいフラッシュ光を発してしまうからですな。

 もうひとつ、シャッターのタイミングに合って閃光を発しますが、シャッター速度がやや速いと、閃光とのタイミングが合わなかったりします。手ブレのことまで考えて、シャッター速度は1/60〜1/120くらいにするのが無難かもしれません。

 結局、フラッシュ発光モードだと「露出補正が必要」であり「シャッター速度にも制限がある」となると、一般的なユーザーにとっては「使いにくい」ということになりがちだと思います。マニュアル撮影をよく行う人や、業務用ストロボを使っている人にとっては「別にそれでもいいじゃない」となるかもしれませんが。

 まあでも、ある程度使いこなせば、フラッシュ発光モードでも常時発光可能+調光も可能という仕様は便利です。要はモデリングライトが使えるリングライトになるからですな。写り込みを事前に確認しつつ、フラッシュ撮影ができるというわけです。

 てな感じで、作りは悪いけど、なかなかツカエル度の高い激安リングライトだと感じられました。ただ、後から調べてみたところ、タイプは違うものの、Amazonなどではさらに安いリングライトがいくつもあったりします。

 そういう時代なんですね〜。デジタルカメラ時代になり、光源がLED時代になり、かつては専門性の高い高価格機材だったリングライトも、凄く身近な存在になったようです。ともあれ、リングライト、使ってみるとイロイロな場面で役立つと思いますので、ぜひチェックしてみてください。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。