スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

携帯可能なバッテリー式電動工具×4機種

携帯可能なバッテリー式電動工具×4機種

 個人的に好みの電動工具は「ボッシュ(BOSCH)」製。同社の「プロ用電動工具」は比較的に安価で「ツカエル」ものが多いと思いますが、ワタクシが好きなのは「DIY向け電動工具」です。安価で便利な製品が多いのに加え、「そんなの作っちゃうんだ~」というミョーに魅力的&ヒキの強い小型ツールも多々あって楽しいです。

 てなわけで今回は、手持ちのボッシュ製DIY向け電動工具をご紹介。製品は多数ありますが、ヒキの強さと実用性の高さを兼ね備えた4製品に絞ってご紹介したいと思います。具体的には、「バッテリードライバー IXO 5」「バッテリードライバー PSR SELECT」「バッテリーグルーガン GluePen (グルーペン)」「バッテリータッカー PTK 3.6LI」です。

ボッシュの「バッテリードライバー IXO 5」(左)と「バッテリードライバー PSR SELECT」(右)。ネット通販価格は、IXO 5が5000円弱、PSR SELECTが6000円弱といったところです。
ボッシュの「バッテリーグルーガン GluePen (グルーペン)」(左)と「バッテリータッカー PTK 3.6LI」(右)。ネット通販価格は、グルーペンが5000円弱、バッテリータッカーが7000円弱です。

 どれも充電式。サイズ的にもわりあいコンパクトなので、外に持ち出して使うのも容易です。それぞれなかなか個性的な製品です。では、各機の機能や使用感などについて見ていきましょう。

定番バッテリードライバーの最新型「IXO 5」

 まずは定番のDIY向けバッテリードライバーIXO(アイ・エックス・オー)シリーズの最新型、「バッテリードライバー IXO 5」から。いきなり難点から書いてしまうと、今時的な多くの電動ドライバーに搭載されている「クラッチ機構」がナイこと。IXO 5はハンディサイズのバッテリー式電動ドライバーですけど、けっこー締め付け力が強いんです。小さくて力強い点は有り難いんですが「常に最大の力で締め付けてしまう」ので、デリケートな対象には使いにくいかも、です。

 たとえばアルミ製のPCケース(シャーシ)などは、IXO 5のトルクでグイグイ締めちゃうとネジ山が切れちゃうかも。あるいは、硬めの板に木ねじを締める場合、ドライバーをネジへしっかり押しつけないと、ネジ頭(工具穴)をナメちゃうかも。後述の「トルクアダプター」を使えばこの問題は解消できますが、使わない場合はユーザーが意識して「締め付け過ぎないよう手加減する」という必要がありますな。

「バッテリードライバー IXO 5」は、小型ながらもけっこー力強いネジ締めなどができます。一方、クラッチ機構を持たないので、いつも最大の力を発揮。ある程度デリケートな対象に使う場合、後述の「トルクアダプター」を使うのが無難です。

 ほかは非常にイイ感じで使えます。ワタクシ的に気に入っているのは、電源周辺。電池が自己放電が少ないリチウムイオン二次電池なので、「使いたいときに電池切れ、使うなら事前に充電」みたいなコトがほとんどないんですな。まあ、最近のバッテリー式電動工具の多くがリチウムイオン二次電池採用になったりしていますが、IXO 5も電源面の使いやすさがあるというわけです。

 それから、付属のACアダプター。IXO 5に挿す側がmicroUSB端子になっていて、ACアダプターの出力は5.0V/500mA。あらっコレってUSB充電対応ってコト? とか思って自己責任でIXO 5を汎用のUSB-ACアダプターに接続してみたら充電できました。また、IXO 5付属のACアダプターでUSB充電対応機器を充電することもできました。

 ただ、ボッシュは「IXO 5はUSB充電対応だヨ♪」とは一切言っていません。IXO 5はUSB充電対応ではナイことになっており、ワタクシのように汎用USB-ACアダプタで充電したりするとメーカー保証が受けられなくなるかもしれないような気がしなくもないので、付属ACアダプタで充電してください。

IXO 5には端子がmicroUSBのACアダプタが付属し、これを使って充電します。小型ACアダプタから充電可能ということで、メーカーのプレスリリースにあるとおり「microUSB端子からの充電でモバイル性がさらに向上」しています。

 それから、豊富な別売アダプター類があること。IXO 5にクラッチ機構を追加する「トルクアダプター」や、狭い隅のネジを回せる「スミヨセアダプター」など、7種類のアダプターが別売されています。その中には、容易に火起こしができる「バーベキューファンアダプター」や、手軽にコルク栓を抜ける「ワインオープナーアダプター」なんてのもあります。

手持ちの「わりと実用的なアダプター」×4種。左から、トルクアダプター、スミヨセアダプター、アングルアダプター、マルチカッターアダプターです。マルチカッターアダプターが2300円くらい、ほかは1300円くらいです。IXO 5の前方キャップを外してアダプターを装着します。アダプターの脱着は容易。右の写真はトルクアダプターを装着したところ。
マルチカッターアダプターを装着すると、同社の「XEO」シリーズに近い機能を使えます。丸い電動カッターにより、ダンボールやブリスターパックを容易にカットできます。ただ、この機能を多用するなら、より握りやすく力を込めやく安定感とともに多用できる「XEO」シリーズを買ったほうがいいかも、です。

 以前にIXO 5の前のモデルにあたる「IXO 4」について書きましたが、両方を比べると「IXO 5はより良くなっている」と感じられる点がいくつかあります。充電台式ではなくなったので携帯性が高まったとか、LEDライトが黄色から白色になったとか、そういったあたりの改良。それぞれ写真で見てみましょう。

左はIXO 4と専用充電台。専用充電台は据え置きを前提に作られているので、IXO 4のポータビリティが下がっていました。右はIXO 5ですが、小型ACアダプタとともに携帯できるので、容易に持ち出せます。
左がIXO 4の先端下部にある黄色LED。右がIXO 5の白色LED。どちらも対象を照らすためのLEDですが、IXO 5は白色になりかつ位置が上であり、さらに光の集中も拡散もできますので、実用性がグッと高まりました。
左がIXO 4、右がIXO 5。それぞれグリップ部の電源スイッチを比べたところですが、IXO 5では状況に応じて2箇所で電源を操作でき、より握りやすくなっています。
左がIXO 4、右がIXO 5。回転方向を変えるスイッチが異なります。IXO 4はボタンを左右にスライドさせることで回転方向が変わり、回転時は本体上部のランプが回転方向を示します。IXO 5ではより直感的に操作できるスライドスイッチになり、回転方向を示すランプはなくなりました。どちらが使いやすいかは好みにより分かれそうです。

 てな感じで、IXO 4と比べると、新型のIXO 5は正常進化しているといった感じ。ちょいちょい役立つコンパクトな充電式電動ドライバーですので、ぜひ触れてみてください。

この新方式……イロモノ? それともツカエル?

 それから「バッテリードライバー PSR SELECT」。コレ、「回転式格納ビットケース」を搭載した「新発想バッテリードライバー!」なんです。ドライバー本体内にビット(ネジ締め用先端)を内蔵しているという、何とも斬新な製品です。

「バッテリードライバー PSR SELECT」は、本体内に12種類のドライバービットを格納しています。回転式格納ビットケースを回し、必要なビットを選び、本体上部のスライドスイッチでビットを出し入れできます。
充電は専用ACアダプターで行います。電源ボタンや回転方向の切り替えは、IXOの旧機種であるIXO 4に近いですな。サイズはIXOシリーズより一回り大きいですが、そのぶん安定的に握ることができます。

 PSR SELECTの購入時、若干悩みました。正直な話「コレって面白アイデア工具……みたいな?」と。DIY向け工具には、けっこー「アイデア商品」があります。「ちょっと便利そう」「使ってみたい」「意外に快適かも」と思わせるアイデアが盛り込まれている工具類。中には実用的なものもありますが、低くない確率で「アイデア倒れだった~」ということも。当然、そういう製品は使いやすくないので、買っても死蔵って感じになります。

 PSR SELECTにもそういう「ニオイ」を感じました。ネット通販価格6000円弱で、そーんなには高くないんですけど、アレだった場合、6000円が無になるのは……、的な。

 しかし、いつだったか酔った勢いでiPadからポチッと買ってしまいました。Amazonから立て続けに注文確認メールと発送完了メールが届いたのを見て「えっ、アレ、買っちゃった……んだっけか。うぅ」と思った記憶があります。でもまあずっと気になっていた存在だったので、「実際どうなのか確かめられるからいいか」と強引に納得しました。

 で、実際にモノを触ってみたら、予想外にイイ感じです。結果的にはたいへん満足。多用する電動工具のひとつになりました。

 先にPSR SELECTの難点から書きますと、IXOシリーズと同様に「クラッチ機構」がないこと。いつも最大の力で締めてしまうので、使用時はユーザー側の意識した手加減が必要ってわけですな。また、内蔵されたビットがやや見にくい(ので選びにくい)こと。それ以外は好印象です。

回転式格納ビットケースのビット収納部は透明ですが、テカるのと、ビットを真横から見るのとで、ちょっと見づらい(目的のビットを探しにくい)です。目的のビットは上部窓から確認でき、その場合は内部に照明が点灯しますが、これもイマイチ見やすさが足りない感じです。

 使っていてイイ感じなのは、ビット各種と電動ドライバー本体が一体化している点。使用時も保管時もビットを無くす心配がなくてナイスです。

 それから、当初「きっとビットの交換が面倒とかなんだろうなあ」と思い込んでいましたが、これは面倒どころか「交換が痛快」です。上部のスライドスイッチを「スチャッ!」「ジャキッ!」てな感じでスライドさせ、ビットを出し入れするわけですが、その小気味よい動きと音が楽しく、交換自体もスムーズです。

 ちなみに、ビットの交換も可能です。使わないビットを取り出し、よく使うビットを入れたりできるわけですな。また、多用するビットの側面溝などにペイントを施すなどすれば、上記の「内蔵ビットの見にくさ」も軽減できると思います。

 仕様として、ビットを出していないときは、内蔵ビットを照らす白色LEDが点灯するだけで、モーターが動作しないという点もちょっとイイです。単純に「より安全に扱える」ということで。

 また、少し前述しましたが、サイズ感も好印象です。大きさはIXOシリーズより一回り大きいという感じ。なので、IXOシリーズより力を込めて握れます。わりとトルクがありつつもクラッチ機構がないドライバーなので、このくらいガッシリと握れると安心感があります。

 てな感じで、アイデア商品のイメージがすっかり「ツカエル電動工具」となったPSR SELECT。もしかすると「IXOよりPSR SELECTのほうが良い」と感じる人がいるかもしれませんので、機会があればぜひ使い比べてみてください。

とっても便利なバッテリー式ホットガン♪

 お次は「バッテリーグルーガン GluePen (グルーペン)」。「ホットガン」などとも呼ばれる「ホットメルト接着剤」を使うための道具です。手芸や工作、さらに梱包などにまで幅広く使われる道具ですな。

 このグルーペンのポイントは「バッテリー式」であること。コンセント無しの場所でも使えます。スイッチオンから使用可能になるまでの予熱時間は約15秒で、連続使用時間は30分となっています。「コンセント無しで使えるのは明らかに便利」と思って買ってみたら、予想より遙かに便利で軽く感動しました。

「バッテリーグルーガン GluePen (グルーペン)」。付属ACアダプターで充電し、空から満充電までに約3~4時間かかります。満充電からの連続使用時間は約30分。ちなみに、ACアダプターおよび本体の充電用端子はmicroUSB。ACアダプターの出力は5.0V/500mAです。
ペンのように持てて、意外なほど扱いやすいです。赤いレバーを押すとホットメルト接着剤が吐出されます。先端の穴は直径1mmほど。

 たとえば「あっ、コレってホットメルト接着剤で着けちゃえばいいのか」と思ったときに「即実行できる」のが超イイです。コンセント式のホットガンだと「……でもコンセントにつないで加熱したりして、なんか面倒かも」と思いがちだったりします。とくに、たまにしかホットガンを使わない身としては「まあ手間だから、またそのうち」と腰が重い感じ。

 でもグルーペンの場合、電源オンで約15秒でホットメルト接着剤を吐出できるようになります。電源は長押しで入りますが、その操作を含めても20秒あれば余裕でスタンバイ。電源を入れ、くっつけるモノを手に取って「ここを着けようかな」と思っている間に、もう使用準備完了。ホント思ったら即使えて便利です。ちなみに電源オフは電源ボタンをポンと押すだけ。先端の熱が冷めるまで放置すれば、しまえます。

 連続使用時間が30分という点ですが、ワタクシ的な使い方ではとくに不都合は出ていません。ホットガンは「乾くのが速くてよく着く接着剤」てな見方で使っていますので、ちょっと使えればOKな感じ。ただ、クリアのグルーと黒のグルーみたいにグルー色を使い分けたい気がしている(いったん入れたグルーは引き抜けないので使い切るまで色や種類は変えられない)という理由と、も~しかしたら長時間使う必要性も出たりするかも~という理由で、もう1台欲しくなっております。……これら2つの理由は、無理矢理発想した「もう1台購入するための言い訳」かもしれません。

 あとこのホットガン、グルーの液だれ的現象が少なくてスマートに使えます。グルーが細い糸を短めに引くことはあるんですが、ちょっと見ていない間に先端からグルーが垂れていた的なコトはまだありません。そのあたりの快適さも気に入っています。

 ただ、吐出量の微調整がやや難しいかも、です。レバーが少し硬めのため、使い慣れても「繊細な量の吐出」は難しいように思います。でも、もともと「あまり多くの量を吐出しないグルーガン」という感じですので、ある程度繊細な作業にもよく向くとは思います。逆に、一気にたっぷりのグルーを吐出する必要がある作業には、いまいち向かないかも。

 てな感じで非常に便利なグルーペン。コレを使い始めてから、これまで使っていたコンセント式のグルーガンを一切使わなくなってしまいました。「ホットガンは多用するし長時間使う」という人には向きませんが、ライトユースにはよく向きますし「使うと軽く感動できる」ので、ぜひチェックしてみてください。

ラク&安全なバッテリー式タッカー

 最後に「バッテリータッカー PTK 3.6LI」。文字通りバッテリー式のタッカーですな。タッカーとは、工作や建築で使われる「ゴツいステープル」を打つ道具です。ホッチキスなど文具系のステープラーの「ゴツくて力強いヤツ」みたいな感じ。

 いろいろな使い方がありますが、ワタクシの場合は椅子の座面の張り替えや、家具へのベニヤ板打ち付け(補強)、木の面への小物固定などに使います。釘やネジほど強い保持力はありませんが、軽いモノや薄いモノなら手軽&クイックに固定できるので好んで使います。

「バッテリータッカー PTK 3.6LI」はバッテリー式のタッカー。専用ACアダプターで充電して使います。対象に強く押しつけて赤い電源ボタンを押せば、太めのステープルが打ち出されます。
最大で100本のステープルを入れられます。ステープル残量は横の窓から確認可能。ステープルは深さ(高さ)違いで4/6/8/10mmのものが別売されています(幅は11.4mm)。

 使っていて感じるのは「ラクである」ということですな。対象に強く押し当てて赤いスイッチを引けば、「ガツン!」とステープルが打ち出されます。対象に強く押しつけるのは、安全スイッチ解除のため。いわゆる「空打ち」ができず、「空中に向けてボタンを押したらステープルが飛び出した!」といった危険がないわけです。

 また、両手で使えば、手動式のタッカーのように「握りにくい」「強く保持しにくい」という場所や向きでも、わりとヘーキで正しくステープルを打ち出せます。従来では打ちづらかった位置でも容易にステープルを打ち込めるという点で、これもやはり「ラク」ですな。

 それと、ユニークな別売アダプターが存在します。「ホチキスアダプター」を使うと、PTK 3.6LIを強力なホッチキスとして使えるようになります。あるいは「中綴じ冊子アダプター」を使えば、A4までの用紙を中綴じでまとめて小冊子を作れます。

「ホチキスアダプター」を使うと、PTK 3.6LIを強力なホッチキスとして使えるようになります。10mmのステープルを使った場合、最大60枚までの用紙を綴じられます。
「中綴じ冊子アダプター」を使うと、A4やA5サイズの用紙を中綴じ小冊子としてまとめられます。10mmのステープルを使った場合、最大30枚までの用紙を綴じられます。

 フツーのホッチキスだと綴じるの無理! 的な枚数でも、これらアダプターを使えば「ガツン!」と一発で綴じられるうというわけです。PTK 3.6LIの活用幅が広がるということで購入し、最初おもしろがって身近な紙を綴じましたが、その後全然使っておりません。考えてみれば、拙宅ではペーパーレスが進行中。綴じたいような紙は既に電子化しちゃったんでした。

 あと、率直な話、そもそも一般家庭でタッカーが必要だというケースも減っているような気がします。建物や家具に対して釘やタッカーで何かを固定する……のは対象に傷が付くからイヤなんだよなあ、という人をターゲットに、最近ではイロイロな固定具や保持具が発売されています。突っ張って保持するナニカとか、ペタッと貼って強力に保持して剥がせば跡が残らないナニカ、とか。

 機能的にはナイス&ユニークなPTK 3.6LIですが、必要性としてはどうなんでしょう。建てたり造ったりする現場では便利だと思いますが、フツーの人には不要かも、です。

 以上、「かなりボッシュっぽい」携帯可能なDIY向けバッテリー式電動工具×4種類でした。今後も、ボッシュならではのDIY系工具の登場を追いつつ、今年を終えたいと思います。

 それでは皆様、よいお年をお迎えください。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。