スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

1本あるとタイヘン便利な「モバイルはんだごて」

1本あるとタイヘン便利な「モバイルはんだごて」

 今回のネタは「はんだごて」。ワタクシの場合、電子工作キットを作ったり、電気製品の接触不良を修理したりするくらいのレベルで、はんだごてをチョイチョイ使います。また、はんだごて自体が好きだったりもして、興味本位ではんだごて本体をアレコレと試してもいます。

 そんななか、使うたびに「やっぱ便利だわ〜」と思えるのが「コンセント不要で使えるはんだごて」です。電池やガス燃料やUSBポートがあればいつでもどこでも使える、いわば「モバイルはんだごて」です。

左は電池式はんだごて各種で、どちらも単3形電池で使えます。右はUSBはんだごてで、USBポートやUSBモバイルバッテリーで使えます。
ガス充填式のはんだごて各種です。今回は左写真のものを紹介します。写真右は生産完了品(新富士バーナー RZ-502)や、若干怪しいメーカー保証ナシ品(アイホット PT-170)で、今回は紹介しませんが、どちらもユニークで便利な機種です。

 前述の「やっぱ便利だわ〜」という件ですが、これらモバイルはんだごての場合、思い立ったら即、場所を問わずに使えるのがイイ感じ。電源コンセントの場所に行かなくてOKですし、電源オンから15〜40秒程度(機種による)ではんだづけができる温度までこて先が加熱されます。今回紹介するモバイルはんだごてでは、たとえば金属板の溶接なんかは無理なんですが、電子回路やケーブルのはんだづけには十分使えます。またどの機種も携帯性が良好。いつでもどこでも、即、手軽に使えるあたり、非常に実用性が高いと感じます。さておき以降、それぞれのモバイルはんだごての使用感などについて見ていきましょう。

イチバン便利!? 電池式はんだごて

 まずはワタクシが「イチバン便利かも」と感じている電池式はんだごてから。使っている機種は、エンジニアの「充電流コテのすけ SKB-01」と白光の「HAKKO FX901」です。各機種の詳細はリンク先をごらんください。

エンジニアの「充電流コテのすけ SKB-01」。単3形電池(アルカリもしくはニッケル水素)×3本で使えます。電源オンから約20秒で使用可能になり、アルカリ電池使用時の公称連続使用時間は約25分です。長さは177mmで質量は45g(電池含む)。Amazonでは4376円で売られているようです。
白光の「HAKKO FX901」。単3形電池(アルカリもしくはニッケル水素)×4本で使えます。電源オンから約40秒で使用可能になり、アルカリ電池使用時の公称連続使用時間は約60分です。長さは212mmで質量は76g(電池含まず)。Amazonでは2723円で売られているようです。

 電池ではんだづけ? とか思ったりするかもしれませんが、どちらもこて先が400℃以上の温度になります。一般ユーザーが使う共晶はんだ(スズと鉛が入ったはんだ)の場合、まあ300℃以上くらいのこて先温度で実用的に溶けますので、はんだづけには十分なパワーがあると言えます。

 ただ、400℃以上のこて先温度でフツーのはんだをいきなり溶かそうとすると、はんだの温度が急上昇し、内部のフラックスが一気に蒸発して小さく弾けたり(蒸気爆発)します。この爆発ははんだづけ不良を起こしたり、爆発で飛んだ小さなはんだの玉が回路ショートの原因になったりします。ので、はんだづけ直前に湿ったスポンジにこて先を当てていったん温度を下げるなどする必要があると思います。

 使い方としては、「HAKKO FX901」は電源を入れてこて先が十分加熱されたら、電源コンセント接続式のはんだごてと同様、はんだづけをするだけです。一方「充電流コテのすけ SKB-01」は、電源をオンにしてさらに丸いボタンを押し続けないとこて先の温度は上がりません。

 これら違いについて、連続的に作業を行いたい場合は「HAKKO FX901」がストレスなく使えて快適で、少ない箇所のはんだづけや、間の空いた断続的なはんだづけの場合は「充電流コテのすけ SKB-01」が便利だと感じました。

 また「充電流コテのすけ SKB-01」は、ボタンから指を離すとこて先の加熱が止まりますので、コテ先温度の調節も可能です。ただし、ボタン操作での温度調節は、けっこー慣れないと難しいかも、です。

 はんだごてとしての握りやすさは、ワタクシ的には「充電流コテのすけ SKB-01」が好みです。白光のより細身で鉛筆のように握れて、こて先をより緻密に動かせるからです。ただ、欲を言えば「ボタンを押さないと加熱しない」という仕様ではなく「ボタンを押さないと加熱しないが、ボタンを押した状態にロックでき自動的に連続加熱もできる」という仕様ならサイコーに便利だと感じました。連続的にはんだづけするとき、いちいちボタン押すのがウザいって感じなんですな。

 しかしまあ、入手性の良い単3形電池で使えるわ充電式電池(ニッケル水素電池)でもOKだわ、けっこー広いランド(基板側のはんだづけする面)でもヌレの良いはんだづけができたりするわ、携帯性もイイわで、どちらもヒッジョーに便利だと思います。ワタクシ的には、まず電池式がオススメです。

USBはんだごてはどーよ?

 続いてUSBはんだごて。サンコーの「USB半田ごて 2」です。サンコーレアモノショップの通販価格は税込2130円(Amazonだとこの価格より安価にて売られているようです)。この機種の詳細はリンク先をごらんください。

サンコーの「USB半田ごて 2」。パソコンのUSBポートやUSBモバイルバッテリーにつなげば使えます。電源オンから約15秒で使用可能。電源オフから約30秒でこて先が冷めます。電源は指先でタッチするタイプで、触れればオン、触れなければオフです。長さは168mmで、本体質量18g(付属USBケーブルを含めると約50g)。

 使ってみて意外だったのは、こて先の熱。細身だしUSBが電源だし……熱量足りなそう、的に思っていたんですが、しっかりとパワフルです。やや広めのランドへのはんだづけもフツーにOK。電子工作などの一般用途には十分実用的だと思います。逆に、意識していないとこて先を加熱しすぎるほどです。ので、連続的に加熱して使う場合は、前述の電池式モバイルはんだごてと同様に、はんだづけ直前に湿ったスポンジにこて先を当てていったん温度を下げるなどする必要があるでしょう。

 また、本体は鉛筆のように細いので、握りやすく操作しやすく、細かな箇所のはんだづけもラクです。電源オンオフがタッチボタン式ですが、連続使用時はそこに「触れ続ければよい」ので、前述のボタン式より使いやすいように思いました。ただし、いったんはんだごてを置いて両手を使ってほかの作業をする場合、はんだごてはオフ状態になります。やはりこのはんだごても「ボタンを押さないと加熱しないが、ボタンを押した状態にロックでき自動的に連続加熱もできる」という仕様だったらより良かったと思います。

 それと、付属の専用電源ケーブルもわりとしなやかで使いやすいんですが、ただ、本体が非常に軽いので「ケーブルの邪魔さ」がより気になってしまうかもしれません。ケーブルの若干のハリが、はんだごて操作の小さな違和感となって感じられやすい、みたいな。

 本体が細く軽いのと、USBケーブルは脱着式なので、携帯性は抜群にイイ感じ。ですが、USBモバイルバッテリーと併用すると思いますので、携帯性は使用するバッテリーにより変わってくるって感じですな。「USBモバイルバッテリーなら一応毎日持ち歩いている」という人なら、「USB半田ごて 2」を常時携帯アイテムのひとつに加えるのも現実的だと思います。

 なお、接続した機器の電源が切れると給電を自動的に止めるタイプのUSBモバイルバッテリーだと、はんだごての電源ボタンから指を離すたびにバッテリー側がオフになったりもします。ので、あまり“インテリジェントではない”モバイルバッテリーを使うほうがいいかもしれません。

 価格は前述のとおり税込2130円。USBモバイルバッテリーと組み合わせれば実用的なモバイルはんだごてですし、USB-ACアダプタと組み合わせれば常用のはんだごてとしてもイケると思います。その汎用性もあり、コストパフォーマンスが非常に高いように思います。

 ただ、似たような品で、もっと安価なものがあるようです。たとえばAmazonで「USB はんだごて」で検索してみますと、こんな製品がヒットします。

 で、試しに「5秒で使える!! 高出力 8W こて先 3mm コンパクト 安全スイッチ ハンダ USB給電式 半田こて 半田ごて」と名の付いた製品を買ってみました。1700円。使ってみたら、はんだづけの能力はサンコーの「USB半田ごて 2」と互角って感じ。ですが、タッチボタンの仕様が製品説明にある通りではなく、若干「?」という印象になりました。またこのジャンルの製品、不具合報告も散見されます。どれが本家製品なのかわかりませんが、亜流が多々ある「おなじみのタイプ」なのかもしれません。

ガス充填式はパワフルで多機能

 最後にガス充填式のモバイルはんだごて。モノとしてはgoot(太洋電機産業)の「ガス式はんだこて ポータソルプロ ピエゾ GP-510」とエンジニアの「コテライザー SKB-60」を使っています。どちらも、ガスを燃焼させた熱でこて先を加熱する方式の製品です。各機種の詳細はリンク先をごらんください。

gootの「ガス式はんだこて ポータソルプロ ピエゾ GP-510」。燃料は専用ブタンガス「ポータソル専用ガス GP-20」を使います。本体のみで着火でき、着火後約30秒で使用可能。公称連続使用時間は約45分。長さは175mmで質量は65g(ともにキャップ含まず)。Amazonでは4874円で売られているようです。
エンジニアの「コテライザー SKB-60」。燃料は専用ブタンガス「コテライザーガス」を使います。本体のみで着火でき、着火後約30秒で使用できます。公称連続使用時間は約1時間15分。長さは208mmで質量は66g。Amazonでは4754円で売られているようです。

 どちらの機種の使用手順もだいたい同じで、着火手順(スイッチをスライドさせる程度)を踏み、こて先先端付近の小窓が赤熱するのを確認して30秒程度経てば、はんだづけを行えます。最初の予熱時は、ガス放出量を最大にしておくと手早く作業に取りかかれると思います。

 両機種ともコテ先の最大温度は600℃以上になり、実際に使ってみても熱量は十二分だと感じられます。太めの銅線どうしをはんだづけする場合でも、こて先が太めで体積が大きめのため、ぬれの良いしっかりしたはんだづけができます。

 これらタイプの利便は、ガスによりパワフルにこて先を加熱できる点もありますが、もうひとつ、ガス放出量を微調整することで、こて先の温度調節が可能なことです。目的のはんだづけに適した温度にしやすいって感じですな。

 具体的な熱量調節幅は、GP-510がはんだごて15〜75W相当、SKB-60がはんだごて15〜60W相当となっています。電子工作キットなどプリント基板のはんだづけには20W前後、太めの電線や大きなランドへのはんだづけをする場合だと50W前後の出力がイイ感じで使えると思いますので、どちらの機種も幅広く一般利用できると思います。

 それから、ガス式のモバイルはんだごてに共通するのが、こて先を交換するとホットナイフやホットガンとしても使えること。ホットナイフは樹脂などを溶かしながら切る加熱式カッターのようなもので、ホットガンは熱風を吹き出して対象を加熱したり熱収縮素材をシュリンクさせたりするものです。GP-510は別売ですが、SKB-60はホットブロー(ホットガン)とホットナイフの交換こて先が付属しています。

エンジニアの「コテライザー SKB-60」には、交換用こて先として「ホットナイフ SK-67」と「ホットブロー SK-66」が付属しています。また、「マルチホルダー」という多機能こて台も付属しています。現場で、はんだづけ→一時的にはんだこてを置く→またはんだづけ→仕上げに熱収縮チューブをシュリンク、みたいな作業をすることを想定した付属品と思われます。写真右は本体に「ホットブロー SK-66」を装着した様子です。

 てな感じで、ポータビリティもパフォーマンスも機能性も兼ね備えているのがガス充填式、というイメージでしょうか。難点としては、専用ガスが必要ということ。入手性は「良い」というほどではないので、あらかじめ予備を含めて燃料を買っておく必要があるでしょう。

 また、専用ガスは可燃性ガスですので、安全面で違和感を覚える方もあるかもしれません。使用時、出力に応じて小さな「シューッ」というガス放出音がするので、なおさらかも。ワタクシの場合、その火力(!?)が小気味良いので多用していますが、「ガスだから」ということで危険を感じたことはありません。

 ホットナイフとして使うことはあまりありませんが、ホットガンとしてはよく使います。吹き出す熱風の勢いは弱いので、こて先近くに熱収縮チューブを当てる感じ。まあ、熱収縮チューブは、わざわざこういうアタッチメントを使わずとも、はんだごてのこて先手前の熱くなった部分をスッと当てたり、ライターで軽くあぶったりすればシュリンクするので、慣れている方はそちらの方が手っ取り早いかも、です。

 ただ、ガス充填モバイルはんだごてのホットガン機能を使うと、吹き出す熱風の量を微調整できるので、熱収縮チューブのシュリンクを「より少ない経験でも失敗せずに行える」という印象があります。まあ細かいコトですが、そういう側面においてもガス充填モバイルはんだごてが好きだったりします。

 てな感じのモバイルはんだごて各種。「場所を問わずいつでもどこでもすぐ使える」というのが共通するメリットです。たまにはんだづけが必要になるという方は、1本持っているときっと便利ですので、ぜひチェックしてみてください。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。