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「舞台めぐり」で「ヤマノススメ」聖地巡礼!

「舞台めぐり」で「ヤマノススメ」聖地巡礼!

 だいぶ周回遅れで知ったマンガ「ヤマノススメ」。出版社公式ページはコチラですが、中高生の女の子たちが山登りをしたり友情を深めたりする物語です。そのTVアニメ版もあり、公式サイトはコチラ。余談ですが、ワタクシが「ヤマノススメ」を知った顛末はコチラに書きました。

 この作品の主な舞台は埼玉県・飯能市なんですが、その点がイロイロ気になりまくり。というのは、作品の舞台がワタクシのほぼ地元。作品中に登場する風景や建物についてイチイチ「あっ飯能の丸広百貨店だ!」とか「この展望は桜山展望台からかっ!?」などと反応しまくりです。しかも、それら風景や街並みや建物は、作品中でかな~り精密に描写されています。アニメ版はさらにリアル。

 てな感じなので、たとえば「この場面って飯能駅北口バス停だよな~」とか思ってネットでたびたび検索して確認していました。そしたらTVアニメ「ヤマノススメ」の「聖地巡礼」(アニメの舞台となった場所に訪れて楽しむこと)をしている人がネット上で多数見つかりました。しかも場面にソックリな写真を多数撮ってます。

 すげ! 愛好家は凄いな~アニメの場面と撮った写真が、ピッタリ合ってる! 撮影位置から画角までカンペキ! さすがだわ~凄い技術だわ~! と思いました。

 しかし、どうやってアニメのモデル地を特定したり、同じ見え方で撮影しているんだろう? モデル地はGoogleマップとかで執念で調べるとして、モデル地の風景を撮影するのは……スマートフォンでアニメの配信を見ながら現場で位置探り? とか思って調べてみたら、モデル地の位置を共有するサイトなど、ネット上にてけっこー凄い勢いで情報がやりとりされているようです。とくに驚いたのが、アニメの舞台の聖地巡礼のために専用アプリがあること。「舞台めぐり」というアプリで、公式サイトはコチラにありますが、このアプリだけで聖地巡礼~場面ソックリの風景写真まで撮れてしまいます。

ソニー企業の「舞台めぐり」アプリ。アニメの舞台となったモデル地への訪問や撮影を手助けしてくれるアプリで、シーンと同じ写真を撮るための撮影補助機能や、聖地巡礼状況をSNSに投稿する機能などもあります。対応作品は30本以上。スクリーンショットはiOS版アプリのものですが、Android版も存在します。アプリは無料で使えます。

 このアプリをちょっと使ってみて「凄い!」と思っちゃいました。30以上のアニメ作品が扱われているアプリなんですが、中の人はアニメ制作者との交渉とか版権とかイロイロとクリアしてスッゴイなぁと思ったコトは置いといて、「このアプリ使えば労せずアニメの舞台を回れる! 凄い!」とアプリ機能に驚きました。ぜひ! ワタクシも! 今さらながらの聖地巡礼を行ってゆきたい! と思い、実際に「舞台めぐり」アプリを使って「ヤマノススメ」聖地巡礼してきました。

「舞台めぐり」アプリとは?

 まず「舞台めぐり」アプリについて少々。詳細については公式ページをご覧頂きたいと思いますが、その名のとおり「アニメの舞台をめぐるためのアプリ」です。30以上のアニメ作品に対応。GPSにより現在位置を確認しつつ、アニメのシーンとなった場所へ行くことができます。

「舞台めぐり」アプリはアニメの舞台となった場所へ、容易に行くことができるアプリです。スマートフォンのGPS機能とマップ表示を使い、ピンポイントでアニメのモデル地へ向かうことができます。まさに「聖地巡礼」のためのアプリ。アニメに登場するキャラクターをARで画面内に登場させつつの記念撮影もできます。
アニメ作品の各シーンおよびそのモデル地を見ることができます。マップ上には現在位置とシーンのサムネイルが表示されるので、迷うことなく巡礼可能。
モデル地に近づくと、チェックインすることができるようになります。アニメのシーンを見ながら撮影できますので、シーンに近い写真を撮れます。また、アニメに登場するキャラクターを風景の中に入れて撮ることもできます。赤矢印がARで登場させたキャラクター。アニメのシーンとカメラのライブビューを重ねて表示する機能もありますので、これを使えば「アニメのシーンとほぼ同じ風景写真」を撮ることができます。
撮った写真にコメントを加えて日記とし、「舞台めぐり」ウェブサイトに投稿することもできます。また、同時にSNSへの投稿も行えます。

 ほかにもイロイロな機能があるアプリですが、基本的には「アプリにサポートしてもらいながらアニメの舞台となった場所に行ってみよう!」という感じのアプリです。では、コレを使って早速出掛けてみたいと思います。

「ヤマノススメ」聖地を歩く

 まずアプリの使用感から書いてしまいますと、シンプルで使いやすいです。マップ上のアイコンを見ながら「まずはココにチェックインして、次にココ」てな感じでルートを決めていくとスムーズに巡礼できますな。巡礼中、アニメのシーンとモデル地のギャップがあったり、あるいはほとんど一緒だったりと、ちょっとした感動もあります。アプリを使っていれば、基本的には「絶対にシーンのモデル地に行ける」ので、気楽に観光しながら歩けるのもメリットだと感じます。

 では、実際に歩いてみたところを、写真などとともにご覧ください。歩いた日はあいにく小雨交じりの曇天でしたが、なかなか愉快でした♪ なお、途中の現場説明用の風景写真には、別の晴れた日に撮影したものも含まれています。

まずは天覧山(てんらんざん)の入口付近から。天覧山自体は低く手軽に登れる山ですが、このあたりを起点に奥武蔵方面にハイキングに出掛ける方も多いようです。天覧山だけなら、普通の靴で登れます。
天覧山への道。舗装されたやや急な道を進むと、「天覧山中段」と呼ばれる広場に出ます。トイレありベンチあり東屋ありの、山の中腹の公園といった感じ。先に進むと、土や岩の道になります。すぐに分岐があり、左に進むと岩場のやや急な坂、右に進むと木段があります。作品中(第12話「Dear My Friend」)であおいちゃんが「なるほど、ちょっと険しいかも」と言っていたのは、左の坂ですな。
左の坂の様子。途中段差が大きめな岩場があったりしますが、慎重に歩けば十分安全なコースです。すぐにコンクリートの展望台が見えてきますが、そこが天覧山頂上です。
天覧山頂上。「ちょっと高台に行ってみよう!」的に気軽に行ける場所ですが、そのわりにはグレイトな眺望だったりします。飯能市街を鳥瞰でき、その景色の中から見覚えのある「ヤマノススメの聖地」をいくつか発見できるでしょう。展望台から振り返ると、標高195mを示す山頂標識があります。
写真右は天覧山から見た風景。天覧山頂上からは、晴れればスカイツリーや新宿のビル群なども見えます。中央から右へと続く丘陵は加治丘陵で、桜山展望台があり、そこからの眺望も作品中に描かれています。
アプリのチェックインポイントとはなっていませんが、近くには多峯主山(とうのすやま)もあり、天覧山~多峯主山へのハイキングも楽しいです。写真左の(9)のルートは比較的に歩きやすいルートですが、より山っぽい雰囲気があるのはその1本右にあるルートです。どちらもサンダルだと危ないと思いますが、「ちょっと運動にもなるハイキングコース」としてオススメです。多峯主山頂上手前で、石段があるルート(右側)を進むと、作品中に登場した鎖場(登山者がつかまれるように鎖が張ってある岩場などの登山道)があります。なお、多峯主山の鎖場は子供用で、鎖場の左側に頂上へと続く石の階段があります。
余談ですが、多峯主山は近所の人が散歩がてら登ったりする、わりとお手軽な山です。先日、遠足で多峯主山に登っている園児の群れを見ましたが、さすがにソレは「凄い!」と思いました。なお、多峯主山から吾妻峡(あずまきょう)へ下りると、「ヤマノススメ」女子一行が泳ごうとした川にある「ドレミファ橋」を見ることができます。
白い象のオブジェ(!?)が見えるシーンが何度か登場しますが、観音寺(かんのんじ)の鐘つき堂です。本来は鐘が吊られている場所ですが、戦時中に鐘を鉄材として供出したためなくなったとか。向こうには飯能河原と赤い割岩橋(われいわはし)が見えます。象の横にはアニメのシーンの絵があり、“聖地アピール”が盛んな感じですが、飯能市は「アニメツーリスム」に力を入れていて、飯能の至る所でこういったアピールが見られます。ご参考までに、飯能市の広報ページはコチラです。
作品中何度か登場する飯能中央公民館裏の階段。振り返って坂を下りると飯能河原です。
飯能のムーミン谷こと「あけぼの子どもの森公園」。丘陵とメタセコイアに囲まれたファンタジックな雰囲気の公園です。月曜休館。ムーミン関連グッズも多々売られていたりします。このムーミン谷、作者トーベ・ヤンソンさんからの許可を得て作られたそうです。
このムーミン谷と、桜山展望台(加治丘陵)を結ぶ道がありましたが、現在は崩落の危険があるため通行禁止&通行止めの金網が張ってあります。あまり関係ありませんが、2017年(予定)に飯能市の宮沢湖(みやざわこ)にムーミンの世界を体験できる施設ができるそうです。その事業者の事業紹介ページはコチラ

 こんな調子で聖地巡礼を続けました。歩いていて、シーンのモデル地を見るたびに「あ~ホントにココだ~」とか思ったりして、ちょっとした感銘があります。また、作品内でシーンの背景が非常に精密に描かれていることに、改めて感動したりもしました。いや~オモシロいですね~聖地巡礼♪

ストリートビューで聖地巡礼

 アニメの舞台となった場所へ行ってみたいけど、遠かったり忙しかったりで行けない、てな場合はGoogleマップのストリートビュー機能を使うと、けっこーその場所を見ることができたりしますな。既にやっている方も多いと思いますが、いわばバーチャルな聖地巡礼。「舞台めぐり」アプリを使えばモデル地の場所がピンポイントでわかりますので、それを手掛かりとして実際にバーチャル聖地巡礼を行ってみましょう。

背景としてよく登場する「飯能銀座商店街」。看板が印象的な青果店があり、そこから振り返ると商店街があります。商店街入口にはあおいちゃんのバイト先のモデル地となって菓子店があります。ストリートビューは、青果店がコチラ、菓子店がコチラです。
観音寺の白い象ですが、ストリートビューでも見ることができます。そこから180度振り返ると、割岩橋も見えます。ストリートビューは、観音寺がコチラ、割岩橋がコチラです。
飯能中央公民館や割岩橋も見ることができました。ストリートビューは、飯能中央公民館がコチラ、割岩橋がコチラです。
中央公園付近の階段と小橋と坂は、少しだけ見えました。能仁寺(のうにんじ)はよく見えます。ストリートビューは、中央公園付近の坂がコチラ、能仁寺がコチラです。
踏切やスーパーも確認できました。ストリートビューは、踏切がコチラ、スーパーがコチラです。

 けっこー多くのモデル地が見えますな。でもアニメのシーンと同じ角度からは……なかなか見ることができません。やはり一度は現地に赴いてみたいものです。

天使が巡ったルートを考察してみる

 登場人物のひとり「ここな」ちゃんは、読者・視聴者の間で「天使度が高い」と評判のようです。それもあってか、セカンドシーズンの第20話「ここなの飯能大冒険」では「登山靴をプレゼントされてテンションが上がったここなちゃんが飯能を歩く様子」が長時間描かれています。また、飯能市広報からは、ここなちゃんが歩いたルートマップが公開されています。飯能市広報の該当ページはコチラにあり、ルートマップ(PDF)をダウンロードすることもできます。

「舞台めぐり」アプリでも、「ここなの飯能大冒険」の回から多くのチェックインポイントが採り上げられています。右は飯能市が公開しているルートマップ(飯能市ウェブサイトから抜粋)。飯能市のページからより高画質のマップをダウンロードできます。

 アニメのこの回はとても印象深いストーリーで、飯能市も非常にポジティブでイイ感じです。また、このルートはワタクシもよく歩くところなので、とても興味深く視聴できました。

 ただ、超マジメに考察すると、飯能市が示したルートは「登山靴をプレゼントされてテンションが上がったここなちゃん」が歩くルートとしては若干不自然かも、とか思ってしまいました。飯能市として、より安全なルートを提示するなどの配慮があったのかもしれません。

 というわけで、このルート近辺をよく歩く立場から、「ここなの飯能大冒険」ルートをジックリと考察してみました。Googleマップなどを使い、そのルートを順に見てみましょう。

「登山靴でなるべく楽しく歩くこと」と想定して考察したルートです。出発地点は飯能市中央公園の遊具。Googleマップではこの地点。そこから中央公園西を歩き、市民会館脇の道を東に進み、諏訪八幡神社にお参り。階段を下って道路に出ます。
道路に出たらいったん観音寺(白い象のお寺)付近まで行って横断し、階段を下りて西のほうへ。飯能河原まで行って、川沿いの道を歩きます。なるべく川沿いを歩く感じのルートを想定しました。飯能河原から元の道路へと上がり、少し進むと飯能中央公民館の印象的な階段を上がり、道路を南に向かいます。
その先はこんなルートかな、と。飯能のやや大きめの道路は交通量がけっこー多く、ダンプなども走っていますので、なるべく住宅街を通過するルートを想定しました。そんなルートを南下して、川沿いの徒歩道に出ます。★印があるあたりでフリスビー犬と遭遇。その先の橋の下で休憩して飲み物を飲むシーンがありました。ここなちゃんが川沿いを飛び跳ねつつ歩くシーン(直後に魚が跳ねるシーン)は橋の先の直線のルートで、独特の粘土質のような地面になっています。
川沿いを歩いたらいったん道に上がり、橋を渡ります。橋の先は、入間川右岸(上流から見て右側)にしか「快適に川沿いを歩ける徒歩道」がありませんので、こんなルートを想定しました。橋を渡った先、川沿いをしばらく進みます。
入間川と成木川の合流に近づいたら、飯能市浄化センターと飯能市環境センターの間を抜け、成木川にかかる橋を渡ります。その先を川のほうへ行くと、川沿いの徒歩道がありますので、そこを進みます。飯能南高等学校・飯能市立加治中学校の南も川沿いの徒歩道です。飯能市立加治中学校の南には「真善美の小径」と呼ばれる約200mの遊歩道があり、その東端(八高線手前)を90度曲がって南下。学校の横を通って道路まで出ます。なお、飯能南高等学校が見えるシーンは、ストリートビューのこの風景とだいたい同じです。
道路まで出たら、東に向かって八高線鉄橋下を通ります。ここなちゃんが八高線鉄橋下を通るシーンがありますが、ストリートビューではコチラあたりからの風景です。鉄橋の先の道路を横断したら、阿須運動公園(グリーンのエリア)に向かいます。
★印の少し下あたりに橋がありますが、流れ橋です。この橋が映るシーンもありましたので、阿須運動公園の中を通ったと想定しました。ここなちゃんが公園で水を飲むシーンがありますが、右のマップの東側にその地点があります。また、その場所のすぐ近くに道路を渡れる歩道橋があり、そこを進むとムーミン谷ことあけぼの子どもの森公園まで歩けます。
阿須運動公園からあけぼの子どもの森公園まで歩き、目的地到着です。マップ上のルートは6.5kmありました。

 ここなちゃんの誕生日は8月11日という設定のようです。作中ではその日に「飯能大冒険」を行っています。上記ルートは6.5km。真夏にこの距離を歩いたわけです。しかも翌日は谷川岳へ登山に行く予定です。かなりのチャレンジャーかも、です。

 もう少し考察しますと、「ここなの飯能大冒険」では、ここなちゃんが自宅から歩き始めています。また、一応の目的地であるあけぼの子どもの森公園からここなちゃん宅までは、交通機関を使うより歩いたほうが早いような距離感です。

 なので、実際に歩いたのは、ここなちゃん宅→中央公園→あけぼの子どもの森公園→ここなちゃん宅、となります。これら全てのルートを考察して描き、その距離を測ってみると12.21kmありました。ここなちゃんは見かけによらず健脚なのかもしれません。

 てか、オモシロいですね、アニメの舞台考察。とくにモデル地を正確に描写しているアニメだと「聖地巡礼」しがいがあるような気がします。また機会があればトライしてみたいと思います。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。