プラチナの千円万年筆「プレジール」にぞっこん!


「プレジール」は細字なので、手帳に細かな文字を書いたりするのに向いている

 文字や文章を書く時はほとんどパソコン、手紙も100%メールで済ませてしまう。年中書いている企画書もどきは、およそ四半世紀前からPowerPointだけ。怠惰で面倒くさがり屋の筆者だが、こと万年筆はなぜか大好きだ。使うのは、一番最初のアイディアや企画を書く時だけ。

 ウルトラ低価格の万年筆から、なぜと思うくらい高価なモノまで自宅のデスクには眠っている。万年筆の老舗である“プラチナ”から210円で発売されているウルトラ低価格万年筆「プレピー」は、その世界では有名だ。

 今回、購入したのは、プレピーの兄貴分にあたる1000円の万年筆「プレジール」だ。人気のためか品薄で、発売当初はほとんど店頭で見かけることもなかったが、老舗の文具屋さんなどではようやく店頭に並ぶようになった。

 筆者は早速、7色あるボディカラーから「黒」と「赤」を購入、毎日持ち歩いて活用している。万年筆としてはきわめて軽量な15.4gで、ボディ本体はアルミニウム製で表面はきれいな輝きの出るアルマイト加工だ。メタリックな輝きと、ペン本体表面のクリア感がうれしい。

 プレジールの特長は、外観だけではなく、万年筆の弱点でもある「しばらく使わないと乾燥して書けなくなった」というマイナス点を大きく改善したことだ。ごく普通の万年筆なら、3~4カ月もキャップをしたまま使っていないと、ペン先が乾燥して文字を書けなくなることは筆者も何度も経験している。これは万年筆愛好家なら誰でも知っていることだ。

 昔のパーカー51が、ペン先の露出を最小限にすることでインクの乾燥を極小化しようとしたのも同じ目的だ。プレジールは、キャップ内部の構造を改善し、キャップとペン本体の密閉度を上げることで、乾燥を最小限にする仕組みだ。

 プレジールも、廉価版のプレピー同様に、キャップ内部にスプリングを利用した2重キャップ構造を採用しているのか、キャップをする時に、指先に弱い反発を感じる。この、より精度の高いキャップ構造の採用が功を奏したか、キャップをした状態なら約1年放置しておいても、問題なく筆記できるという。

 「そんな長い期間使わないのだったら万年筆は要らないはず……」というのは正論だが、あれこれ使いたい、という駆け出しの万年筆コレクターにとっては大きな問題点でもあった、“ペン先の乾燥”の解決の糸口を提供した成果は極めて大きいだろう。

 筆者にとって残念なのは、ペン先が0.3mmや0.5mmといった一般的に言うF(Fine:細字)のバリエーションしか発売されていないことだ。企画書などをダイナミックに描ける中字モデルの発売を期待したい。

奥の2本が1本210円のプレピー(プラスティックボディ)手前の2本が新作の「プレジール」(アルミニウム+アルマイト加工)標準のインクカートリッジを採用しているので便利に使えるペン先はプレピーと同じステンレス製。ボディカラーと同色でオシャレ度は高い

商品名発売元価格
プレジールプラチナ万年筆1050円

(ゼロ・ハリ)

2010/7/27 06:00