LAMY社の子供用万年筆「LAMY abc」を大人買い!


 LAMY社の廉価版万年筆といえば、「サファリ」が飛び抜けて有名だ。サファリをデザインしたウルフギャング・ファビアンがデザインした子ども用の筆記練習用万年筆が「abc」だ。子ども向けにデザインされた「abc」だが、本来の想定ユーザーではない大人が使った場合、カジュアルで遊び心がある一品となる。筆者は大好きだ。

 クリップのないabcは、机の上でコロコロ回転して床に落下しないように、周囲が丸いキャップに回転防止のエッジが付いている。そして、飛び出したエッジ面にはネームシールを貼り込むくぼみが用意されている。筆者はオールディーズなダイモテープで刻印したネームプレートを少しカットしてその溝に貼り込んでいる。

LAMY abcには万年筆(左)とシャープペンシルが用意されている廉価版の筆記具なので、敢えてチープな筆箱やペンケースと相性が抜群だ

 ちなみにこのabcのキャップは、筆記のために取り外した後、通常の万年筆のように本体後部に差し込むことができない。しかし、回転防止のキャップを外した場合でも、キャップと同色で本体後部にあるキューブのアクセントが回転防止の役目を果たしてくれる。楽しい形状のカラフルなキューブを意義あるモノに見せて、かつその存在がトータルデザイン的に美しく仕組まれている。

 LAMY abcは子供用の廉価版万年筆といってもあなどれない商品だ。LAMYをはじめとするドイツ工業デザインの特徴だが、単なるアクセサリーのための余計なデザインは皆無だ。それぞれの部分は意味と目的があり、使命や機能を果たし、それが総合的にデザインのエレメントとして存在している。

 一般的には、プラスチック素材を使用することの多い廉価版の筆記具だが、LAMY abcは本体にメープル材を使い、厳密には1本1本全てが個性的だ。そして長く手に持って使うことで経年変化で変色し風格を増してくる。

 ペンを指先でホールドする部分には断面が三角形のゴム素材が採用されており、握力の弱い子供でも十分にホールドできるよう考慮されている。サファリと同じステンレスのペン先は「A」(「Anhanger」の“A”を意味する=初心者用中字)という表示になっている。

 筆者の感覚ではサファリの“M”よりも少し固くカリカリ感はあるが、書き味は決して悪くない。筆者は赤と青の2本のabcを購入し、それぞれに赤と青のカートリッジを入れて普段使いのペンとして活用している。デザインコンシャスで堅牢、しっかりした筆記を実現出来る低価格万年筆「LAMY abc」は、大人も十分使える目立ちアイテムなのだ。

ステンレスのペン先Aは少しハードだがしっかり文字を書きたい人には超グッドだAのペン先は、中字クラスだが、サファリに比べて心持ちMよりは細い感じがする

商品名実売価格購入場所
LAMY abc万年筆2625円ヨドバシ マルチメディア上野

(ゼロ・ハリ)

2010/10/1 06:00