クラウド連携するコンパクトなドキュメントスキャナ


ScanSnap S1100

 iPadやKindleが登場してから、市販の書籍や雑誌を断裁機でバラバラにして片っ端からスキャンして電子書籍を自作するという“自炊”が、ちょっとしたブームになっている。そこで活用されることになるのが、ドキュメントスキャナーのScanSnapシリーズなのだが、そのScanSnapシリーズのラインナップに新しいモデルが追加された。「ScanSnap S1100」である。

 いきなり冒頭のネタふりに反してしまうが、実は自炊派にはあまり向かない仕様のS1100。どちらかというと、がっつりスキャンではなく、日々気がついたらスキャン、といった使い方に向いている。ハガキやレシートのように、ずっと取っておいても読み返すことがないが、すぐに捨ててしまうのも忍びない、という書類を片っ端からスキャンするというような使い方だ。

 もちろん、1枚ずつの片面読み取りであることを除けば、付属ソフトを含め、他の部分はS1300やS1500とほぼ同等の性能を持っているので、A4サイズの書類なども手間はかかるが読み取らせることはできる。USBケーブル1本でバスパワー駆動するので、持ち運びにも便利だ。

クラウド連携機能が追加され、スキャンしたデータをその場でEvernoteやGoogleドキュメントにアップロードできるようになった

 面白いのは、「ストレートパス機構」が用意されたことで、硬いプラスチックカードなどを読み取れるようになったところだ。個人での利用シーンはあまり思いつかないが、コンパクトで場所もとらないので、運転免許証のような本人確認書類のコピーをとる必要がある店頭などで活躍することになるのかもしれない。

 何気に今回は付属ソフトにも力が入っており、読み取ったイメージをEvernoteやGoogleドキュメントにアップロードできるようになった。つまり、こうしたクラウド環境を活用することで、スマートフォンへのデータ転送をあまり意識せずに行えるのだ。これが思いのほか便利。その他のストレージサービスにも対応していってくれると、さらに利用シーンは広がるだろう。

 しかし、ここまで来ると、PCレスで所定のクラウドサービスに読み取ったデータをアップロードしてくれると最強なんだけどなぁ、と思ったり。そう遠くない将来に実現されるのかもしれない。

硬いプラスチックカードも読み取れる別売の専用ケース。側面に穴があり、ケースに収納したままUSBケーブルを接続できる
EvernoteにアップロードEvernoteで表示

 

製品名製造元購入価格
ScanSnap S1100富士通1万7800円

 

 



(湯野 康隆)

2010/11/22 06:00