iPhone/iPadのDockコネクタに接続するキーボード


 外出先でキーボードで快適な文字入力を行いたいとき、普通の人は、ノートパソコンを持ち運ぶことになんの違和感も感じないだろう。しかしわたしのようにエレガントかつ体力貧弱で鶏ガラのようなマッスルレスボディーの人間にしてみると、ノートパソコンすら持ち歩きたくない、と考えてしまうのである。亀仙流の稽古じゃあるまいし、持ち歩くものは1gでも軽い方が良いに決まっている。

iPadに接続した「Dockコネクタ式キーボード」

 そんなとき、iPhoneユーザーにとって、今回紹介する「Dockコネクタ式キーボード」は、非常に有力な選択肢だ。普段から持ち歩いているiPhoneに、ほんの346g(実測値)ほどのキーボードを加えて持ち歩くだけで、フルサイズのキーボードによる高速な日本語入力が可能になる。カバンに1kgくらいのノートパソコンが入っているのと、346gのキーボードが入っているのとでは、体力的のみならず、金銭的にも、肩にかかる負担も違う。もしiPhoneとノートパソコンを持ち歩いている読者がいるというのならば、この製品を検討するべきだろう。

 この「Dockコネクタ式キーボード」は、iOS機器のDockコネクタに接続するキーボードだ。iPhoneやiPadにつなぐだけで、ソフトウェアキーボードの代わりに文字入力ができる。キーボード接続時は、必要のないソフトウェアキーボードの表示が消え、カーソルキーで変換候補を選べて、範囲選択やコピー&ペーストもパソコン(Mac)と同じキーコンビネーションでできるなど、iOS側の対応も充実しているようだ。文字入力だけならキーボードだけで操作が完結し、画面をタッチする必要がない。

 そしてこのキーボード、iOSに最適化されており、ファンクションキーの代わりに、ホームキーや検索キー(Spotlight起動)などの特殊キーが用意されている。iOSは、タッチで操作しないことには何もできないという側面もあるが、ホームキーの操作などをキーボード上からできるのは、意外なほどに便利だと感じている。

iPhoneに比べると少々大きい

 ただ個人的な感覚になるが、英語配列のキーが惜しいと感じられた。Mac用の日本語配列キーボードでは、スペースキー両サイドにある、[英数]と[かな]キーによりワンタッチで入力モードを指定できるのが便利だと感じている。英数配列の場合、commandキー+スペースキーによるトグル切り替えになるのだが、現在がどちらの入力モードであるか、見た目で判別する方法がないので、意図した入力モードにできる[英数]と[かな]キーの方が、使い勝手がよいと感じられた。

 また、折りたたみできないシンプルな構造も、少し残念に感じられた。折りたたみ式のBluetoothキーボードなどに比べると、Bluetooth接続の手間やトラブルがなく、便利なiOS専用の特殊キーがあるというメリットもあるのだが、可搬性は低くなっている。

 この「Dockコネクタ式キーボード」を選ぶか、可搬性に優れたBluetoothキーボードを選ぶかは非常に悩ましいところだが、外出先での快適な日本語入力環境を追求するiPhone、iPadユーザーであれば、シチュエーションごとに使い分けするといった意味でも、購入を検討する価値はあるだろう。

キーは英語配列。修飾キーはMac準拠付属のスタンド、角度調整できるなど、地味にデキが良い

 

製品名製造元購入価格
Dockコネクタ式キーボードアオテック4980円

(白根 雅彦)

2010/12/8 06:00