電子ペーパーで読書三昧


電子ペーパーは紙と同じ反射原稿。太陽光の下でもとっても読みやすい!

 東北地方太平洋沖地震の影響で、「節電」は当分の間、キーワードとなるだろう。筆者宅も計画停電対象地域にあるので、お部屋の電気はいつもより暗く、パソコンも必要時以外は省電力モードといった具合。加えて、いろいろなところで自粛ムードなのだが、買い物まで控えると最終的に経済が洒落にならないと考え、寄付をしたあとに颯爽と衝動買いを決めてきた。停電時も気にせず読めるし、バッテリー駆動時間が2週間ほどという電子ブックリーダー・ソニーの「Reader」を、だ。

 サイズは2種類、5型(PRS-350)と6型(PRS-650)がある。筆者が選んだのは6型で、PRS-650のサイズは、幅119.1×高さ169.6×奥行10.3mm、重量約215g。だいたいコミック程度の大きさで、最近のフィーチャーフォン2台分、あるいは「Xperia arc」2台分といったところ。PRS-350は、幅104.6×高さ145.4×奥行9.2mm、重量は約155g。文庫サイズといってよく、ポケットにも入れやすい。ケース付きのiPhone 4程度の重さなので、外出先でよく読むというのなら、PRS-350がいい。

 購入にあたり、サイズでだいぶ迷ったのだが、最終的な決定打となったのは色。5型のピンクは、筆者が好きなピンクではなかったので、6型のソニーっぽいレッドを選んだ。5型とのサイズ的な違いのほかには、SDカードとメモリースティックスロットが搭載されている点や、MP3などの音楽音源再生機能の有無がある。外部ストレージは必要になるかもと頭にあったが、内蔵メモリは2GBと豊富なのでお世話にならないかもしれない(“ソニー製SDカード”を挿して、ひとりニヤニヤしたかったのもある)。

 「Reader」は、電子ペーパーを採用している。バックライト付き液晶などの「自発原稿」とは異なり、紙などの印刷物や本と同じ「反射原稿」の電子ペーパーは、灯りがないと視認が厳しくなってしまう。とはいえ、日中の計画停電あれば窓から差し込む光で問題ないし、夜中であってもライトがあれば読書はできる。

 操作はタッチパネル採用なので、指先もしくは本体に収納できるタッチペンで行う。ページ送りやホーム画面に戻るといった操作は本体下部にあるハードウェアスイッチでも可能だ。このあたりの操作感覚は、Android端末に近く、スマートフォンを愛用している人ならば、スムーズに読書に入れるだろう。

 読み心地は、iPadで読む場合と比べると、やはり目が疲れにくい点に尽きる。ページ送りは画面書き換えでちょっと遅いかなと感じるが、いまでは慣れてしまった。もっとも、慣れたのは小説や論文を読むときだけで、自炊したマンガの場合はサクサクと読めないので、ちょっと辛い。また、ページ送りなどの操作はタッチ操作ではなく、ハードウェアスイッチでの操作に落ち着いている。これはちょうど「左手持ち」のときに、親指で操作しやすいため。電車の中でお隣の邪魔にならず、立っていても読みやすく、活字好きならば。「Reader」をオススメしたい。付属のタッチペンを利用してメモや印をつけるといったこともできるため、気に入った言い回しのメモとしても活用している。

 なお、自炊や青空文庫を読むのに適したパソコン向けのフリーソフトが登場しており、Readerにベストフィットな状態で、EPUB形式などで書き出し可能。青空文庫ダウンローダーなどもあり、筆者は太宰治ばかり読んでいる。

 ソニーが運営するReaderストアでは電子書籍の購入が可能だ。これまで目の疲れにくさと読みやすさで、iPadなどでは読まずに、アナログの本を選んできたが、本と同じ感覚で読める電子ペーパーならば、新書や小説を読むには十分だ。少しずつだが、デジタルに移行してみようかと思わせてくれる「Reader」。店頭でのチェックを強く推奨したい。

室内で見たところ。蛍光灯の下が一番見やすいという印象6型(PRS-650)は男物のジャケットなどのポケットにギリギリ入るくらい
計画停電中の筆者。LEDライトを光源に、ゆるゆると読書を堪能している

 

製品名製造元購入価格
Reader PRS-650ソニー2万4800円

 




(林 佑樹)

2011/4/5 06:00