本日の一品

液晶テレビに繋げられる約3000円のコンピュータ、Raspberry Pi

Raspberry Piの基板。動作には電源供給のためだけのmicroUSBケーブルとACアダプターが必要

 パソコン、タブレット、スマートフォンといった誰でも操作できて手軽に高い処理性能が得られるコンピュータがある一方で、実験用途や単一用途、プログラミングの試験などに使う小さな単一基板のコンピュータの分野も盛り上がりを見せている。登場から少し時間がたっているが、じわじわと環境が揃ってきているのが「Raspberry Pi」(ラズベリー・パイ)だ。

 似たような製品としては、入出力を作り組み合わせて動作させる「Arduino」などがあるが、「Raspberry Pi」はArduinoとは性能が大きく異なっている。Arduinoはインターフェイスが原始的なものしかなく、入出力を自分で作成して楽しむコンピュータの基板なのに対し、Raspberry PiはHDMI出力やLAN環境が揃っていて、そのままでも楽しめる手軽なLinuxパソコンの基板だ。しかも有線LAN、ハブ付きの「モデルB」で2950円(4月22日現在の国内代理店価格)という手軽な価格だ。

 Raspberry Piの標準環境のRaspbian(Linux)をダウンロードしてSDカードに書き込み、本体に装着、適当なUSBキーボードとマウス、HDMI入力のあるテレビやモニターを接続すれば、Linuxマシンとしてすぐ動作し、LAN環境を整えればWebブラウジングもすぐできる。液晶テレビでWebブラウザを簡易的に使うという用途にもぴったりだ。ただし、動作は遅いが。

 小さなパソコンとして利用する方法のほか、小型コンピュータにしては700MHzという高い動作クロックのCPUを搭載するという特徴を活かし、既存のLinuxのソフトを使ったり、高度な言語で開発を行なってみたり、別のOS、例えばAndroidを組み込むなど、多彩な開発プロジェクトも多く進められている。

 その中でも、筆者が便利だと思っているのが、AirPlayの端末にする使い方だ。iTunesやiOS機器の音楽再生の出力先として使えるAirPlayは、残念ながらAirPlayの機能をもったオーディオプレーヤーやAVアンプは高価で、比較的安い価格帯では「AirMac Express」くらいしかなく、手軽に楽しむとは言いがたかった。

 その点、Raspberry Piなら有線LAN付きの本体とSDカードがあればよく、Linuxを扱ったことのある人ならば、環境構築に1~2時間程度の時間をかけるだけで、すぐにAirPlay機能を利用できる。また、有線LANが煩わしいならば、USB接続の無線LANアダプターを装着すれば、無線LAN環境でも同様に利用できる。

 ということで、最初からRaspberry Piに飽きてしまったかのような使い方だが、AirPlayでの動作を確認。これならしばらくは実用的に使えそう。もちろんAirPlayで音楽を鳴らしながら、他のパソコンからTelnetやVNCクライアントで接続し、Linux PCらしく使うこともでき、しばらくは楽しめそうだ。

左側はモデルA、有線LANとUSBハブがないので省電力動作
液晶テレビにつないで電源ON、startxでXが立ち上がり、Webブラウザも使える
動作は決して早くないが、ケータイ Watchもそのまま表示できる
AirPlayなどはテキストベースでコマンドからインストールして設定する
商品名発売元購入価格
Raspberry Piアールエスコンポーネンツ(国内代理店)2950円

江須田