本日の一品

あ、これでいいかも? と思った「ほぼスマホ」体験

「ほぼスマホ」

 フィーチャーフォンからスマートフォンへの乗り換えをためらう理由の1つに、月額費用の高さを挙げる人は多いと思う。プランの選択や使い方によるところはあっても、フィーチャーフォンの時より安く上げるのはなかなか難しい。ぶっちゃけると、筆者がメインで使っているドコモの「ELUGA X P-02E」は、月あたり8000~1万円ほど。経費とはいえ、これはけっこうデカい。

 仕事柄、「dビデオ」や「iコンシェル」といったいろいろなオプションを念のため付けているという事情があるにせよ、やっぱりちょっとお高い気がする。それに、LTEの高速通信についても、そこまでの速度が必要となるような場面は少ないわけで、もしかするとプランを再検討したほうがいいのかもしれない……と思い始めた今日この頃。

 そういう「無駄を省いて安くしたい」というニーズに応えて、各社からSIMフリー端末などに向けたリーズナブルなデータ通信サービスや、端末とSIMカードがセットになったサービスが続々と登場しているのだけれど、今回試すことができたNECビッグローブの「ほぼスマホ」もその1つ。「月々の通信が一定量になるまでは高速に通信できるけど、その後は低速にするよ」という割り切ったプラン内容で、料金を月額2980円(25カ月目以降は1980円)と安価に抑えたものだ。

「ほぼスマホ」のパッケージ内容
データ通信用のminiUIMカードが同梱。LTEの高速通信は月間1GBまで。それ以上は低速になる

 具体的には、NECカシオ製の端末「MEDIAS X N-07D」をベースにした「MEDIAS NE-202」とSIMカードがセットになっていて、ドコモのXiとFOMAのエリアでデータ通信が可能。最大通信速度は下り75Mbpsで、月間の通信量が1GBを超えると最大128kbpsの速度に抑えられ、直近3日間の通信量が360MBを超えた場合も速度制限が行われることがあるようだ。

 端末のスペック自体は「N-07D」とほぼ同じ。4.3インチディスプレイ、1.5GHzのデュアルコアCPU、1GBのRAMと8GBのストレージを搭載したAndroid 4.0のスマートフォンであるところは変わらない。防水・防塵性能を備え、ワンセグ、テザリングにも対応している。スペック的には今となってはスマートフォン入門者向けになるだろうけれど、必要十分な性能で大きな不満は感じないと思う。ボディカラーは、「N-07D」のバリエーションにはなかったパターン。ベージュというか、やや赤みがかったホワイトとブラウンのツートンで、ちょっぴりオトナな落ち着いた雰囲気だ。

正面から見るとディスプレイ周囲のブラウンが渋さを感じさせる
キャリアロゴなどがない、シンプルな見た目
背面はベージュのような赤みがかったホワイト
ワンセグにも対応。同梱のクレードルに装着すれば快適に視聴できる
通信速度を計測してみたところ、筆者の環境では平均的には画像のように下り・上りとも4Mbps前後になることが多かった

 さて、こうしたサービスのSIMカードはデータ通信専用がほとんどなので、そのままでは従来の音声通話はできない。ところがこの「ほぼスマホ」では、NECビッグローブが提供する独自のIP電話アプリ「BIGLOBEフォン・モバイル」を利用することで、050から始まる電話番号を持つことができ、音声通話が可能になっている。

IP電話アプリ「BIGLOBEフォン・モバイル」

 「BIGLOBEフォン・モバイル」のユーザー同士であれば通話は無料だし、他の携帯電話や固定電話宛にも、有料になるが電話をかけられる。アプリの機能自体はシンプルにまとまっていて使い勝手もまずまず。実際の音声は通常の携帯電話にあるような金属的なノイズが少なく感じ、個人的にはむしろこちらのほうが聞きやすいくらいだった。「ほぼスマホ」購入者であれば、12カ月目までは月額基本料315円で利用できるので、通話も時々利用するなら加入しておいて損はないだろう。

 プリインストールアプリがあっさりしているところもうれしい。NECビッグローブオリジナルのプリインストールアプリは5つで、すべてダウンロードを行うWebサイトへのショートカットとなっている。あとはNECカシオ製端末ということで、「MEDIAS NAVI」というアプリもあるが、これもWebサービスへのショートカットだ。つまり、ストレージを圧迫するようなプリインストールアプリはゼロ。Android 4.0の素の状態に近い端末と言ってもよいかもしれない。

さわやかなイメージのロック画面
ドロワー内のアプリは2画面に収まる量
ホーム画面にもそれほど多くのショートカットやウィジェットは配置されていない

 ただし、当然のことながら、ベースになった「N-07D」にはあっても「ほぼスマホ」にはないサービスがいくつかある。たとえばおサイフケータイやNOTTV、キャリアメールやSMSなどは使えない。SMSが使えないということは、人気アプリの「LINE」も最初の利用登録時にSMSが必要となるので、基本的には使えないことになる。

SMSが使えないので、「LINE」を利用するのはちょっと面倒かも

 と、それなりにメリットとデメリットはありながらも、やはり月額2980円という価格設定は魅力的。「ELUGA X P-02E」の利用明細を見てみたら、筆者の場合、テザリングを頻繁に利用しても月間の通信量が500MB~1GBの間に収まっているようなので、「ほぼスマホ」は十分に乗り換えの対象として考えられる。唯一の問題は、仕事でも使っている今の電話番号をどうするかだけれども、いっそのこと思いっきり安価なプランのフィーチャーフォンに切り替えたうえで、「ほぼスマホ」と組み合わせて使う、なんていう考え方もできるだろう。こういった新しいサービスが登場して選択肢が増えると、ありがたい反面、悩みや迷いも増えて困ってしまう。

製品名製造元価格
ほぼスマホ MEDIAS for BIGLOBE LTENECビッグローブ月額2980円

日沼諭史