本日の一品

2万円台でOffice付きWindowsタブレット「Venue 8 Pro 3000」

 最近は、オンラインのOffice文書をWeb上で編集できる「Microsoft Office Online」があったり、またiPadやAndroidタブレット用にMicrosoft Officeが提供されたりと、WindowsパソコンにOfficeをインストールしなくても閲覧・編集する手段は増えている。

 これらが登場する前は「パソコン以外でMicrosoft Officeが使えたらどんなに便利だろう」と思ったものだが、実際に使ってみると、iPadやAndroidの「補助的手段」ではできないことが多く、かえってイラッとすることが増えたと感じていた。

Dell Venue 8 Pro 3000。2万円台のOffice付きWindowsタブレット

 たとえば、筆者がよく使う機能でいえば、Excelのピボットテーブル機能などが典型例だ。これを使うと「表中に同じ語が何回出てくるか」の頻度表なども簡単に作れて非常に便利なのだが、あいにくピボットテーブルの新規作成機能はiPadやAndroid版のOfficeでは削られている。パソコンのOfficeと同じことをしたいと思ったらやはり、Windows版のOfficeを買わざるを得なくなっているのである。

 宅外で仕事がしたい。そして出先でフル機能のWord、Excelが使いたい。そう思って筆者は「できるだけ安く、Windows版のMicrosoft Officeと、それが動くモバイル環境」を揃える方法を調べた。そして昨年末に出した結論が、この「Dell Venue 8 Pro 3000の購入」だったわけである。

あまりに安いので届くまで半信半疑だったが、付属するのはまぎれもなくマイクロソフト製のOffice Personalである。しかも1年間のみ有効な365ではなくずっと使えるライセンスの2013だ。パッケージ版と違い、1ライセンス=1パソコンしかインストールできない点が市販版とは異なるが、既にデスクトップ機にはOfficeインストール済みの筆者のようなユーザには全く持って問題ナシ

 このタブレット、2万円台で購入できる。筆者の購入価格は2万1180円(税込)。Dellのパソコンの場合の定価というか、ひとつの目安とされる「DELLオンラインショップ直販価格」でも2万4818円(税込)だ。

 Atom(BayTrail-T) CPUで8インチ液晶搭載のタブレットとしては標準的な価格帯で、同じような価格で売られている製品としては「Iconia Tab 8 W」などもあるのだが、このVenue 8 Pro 3000のスゴいところは、この価格でマイクロソフト謹製のOffice 2013 Personalが付属してくることにあるのである。Office 2013 Personalの定価が大体2万円ほどであることを考えると、Officeのおまけにタブレットがついてくるような、タブレットのおまけにOfficeが付いてくるようなすごい値段である。

Excelを起動。これで、ピボットテーブルもグラフ作成も自由自在。やはりフル機能のWindows版Excelは気持ちイイ

 タブレットの画面タッチでExcelを操作するのは非常に厳しい(そういう意味でいうと、iPad版やAndroid版は機能を縮小して、よく操作できるように仕上げてあるとは思う)ため、実際の使用には、さらにキーボードとマウスを別売りでそろえる必要があり、Officeをより快適に使おうと思うと必要な金額はもう少々増えるが、これでフル機能のExcelを使うことができるのである。指が憶えている「[Alt][D]+[P]でピボットテーブルの再定義」などもキビキビっと実行できる。ああ、やはりフル機能の本物のExcelが使えるというのは気持ちがイイのだ。

 ちなみに、このVenue 8 Pro 3000というタブレット、安いが、今時のタブレットパソコンそのものとしても及第点を挙げられる程度の性能は持っている。(動作のもたつきが気になるものの)一応「艦これ」くらいのゲームなら遊べるし、Webの閲覧、検索なども普通にできる。もちろん、Officeソフトもちゃんと動作する。あまり大きな表を読むと表の再計算などで多少緩慢な動作になってしまうものの、お茶を入れるとか席をはずす必要などはなく、ちょっと待つだけで次の動作に移れる。純粋なCPUパワーとメモリ容量(1GBしかない)で劣っても、ハードディスクより読み書きの速いeMMCドライブと、命令プリフェッチャから刷新されたSilvermontアーキテクチャーのバランスのおかげなのだろうか、思っていたほどは実用上でマシンパワー不足を感じることは……まぁ、ないことはないが、想定の範囲内の遅さ程度で済んでいる。

ゲームなども(多少もたつきなどはあるものの)遊ぶことができる程度のパワーはある。eMMCドライブがハードディスクよりも速いおかげか

 このVenue 8 Pro 3000というタブレットが搭載しているディスプレイは、1280×800ピクセルの8インチIPS液晶、視野角も広く、屋外でもExcelの細かい字を読むこともそれほど苦にはならない。よくできた液晶ディスプレイである。

 どうしても細かい字が苦手という方は、表示を拡大するのもいいだろう。Windows版のExcelは、iPad版、Android版、あるいはWeb版のOffice Onlineなどと違って表示の拡大も自由自在なのだから。

 なお、本機の内蔵バッテリは1セルのみだが、Officeを主に使っていた場合、だいたい5時間くらいはもつようだ。個人的には十分だと思うのだが、もしこれで足りないという場合は、モバイルバッテリーなどを別途用意しておくといいだろう。このVenue 8 Pro 3000の充電コネクタはmicroUSBなので、スマートフォンなどの充電用のモバイルバッテリーやケーブルの使い回しがきく。

モバイルバッテリで充電が可能。充電コネクタはmicroUSBなので充電ケーブルはスマートフォン用のものとで使い回しが可能だ

 ただ、ちょっと個人的に足りないなと思うのはストレージである。標準の32GBのeMMCは、約9GBを回復パーティションに取られており、Windows 8.1 with BingとOffice Personal 2013が入った状態ではすでに4GB弱しか空きがない。

 とはいえ、microSDスロットも搭載しており、最大128GBまでドライブを増設できるし、作ったOffice文書などはOneDriveなどのクラウドドライブを活用して、できるだけ外に出すようにすれば、空きが少ないことでそれほど苦労することは(たぶん)ないのではないかと思える。

 いずれにしても、サブ機としてモバイル用途のマシンを選ぶ場合、Microsoft Officeを使いたいのなら、このVenue 8 Pro 3000を選択肢に入れてみてほしい、もちろん、十何万円、何十万円を用意できるならもっと別の選択肢がたくさんあるが、リーズナブル、コストパフォーマンス、必要十分を狙うなら、この一台はやっぱりいい選択だったのではないかと、筆者は思っている。

製品名販売元購入価格
Dell Venue 8 Pro 3000デル2万1180円

大和 哲