本日の一品

“最低野郎”向けリモコントイ「ガガンガン」

 今回の一品をご紹介する前にあらかじめお詫び申し上げたい。いつにも増して趣味性が高く、多くの読者諸兄を置き去りにすると思う。だがそれでも紹介したい、それほどの熱を持たせる魅力ある一品、それが赤外線リモコントイ「超速銃撃ロボットホビー ガガンガン」だ。

子供だけに遊ばせるなんてもったいないおもちゃ「超速銃撃ロボットホビー ガガンガン」

 いやに安っぽいネーミング、それに見合った外観と、明らかに子供向けのリモコントイであって、いい年をした大人が遊ぶようなものではないとは重々承知している。だが一度でも動画を目にすれば、子供だけに遊ばせるのはもったいないとご理解いただけるはずだ。地面を滑るように旋回し、相手を銃撃して倒す。ロボットアニメの世界が現実になるのだ。

 ガガンガンは、赤外線リモコンでロボットを操作するおもちゃだ。AとBの2バンドが設定されており、それぞれリモコンと本体のバンドを合わせて操作する。ガガンガンのユニークな点は、左右に旋回しかできないところだ。前に進むためにはジグザグに旋回を繰り返すしかない。本体底面を見ると、前進のための固定動力輪はついているのだが、後ろに付いている舵が半円を描くように付いている。これが中立位置で固定されないようになっており、常に旋回しかできなくなっている。

側面にリモコンバンドの設定スイッチを兼ねた電源スイッチがある。背中のランドセル部分に単4電池3本を入れる
底面。前のタイヤは前進しようとするが、後ろの舵は左右どちらかにしか動かないため、機体は旋回しかできない

 そんな不便な動作で面白いのかと疑問をお持ちであろう。しかし実に面白いのだ。この旋回する動作を反転させたときに、ロボットの上半身も連動して動く。その重心移動により水平移動、車で言うところのドリフトが起こる。この挙動が実にかっこいいのだ。不自由な分、習熟して自在に動かせるようになったときは、自分のモノにした気がしてとても気持ちがいい。憶えて強くなる、プリミティブな喜びを刺激してくれる上に、その動きがかっこいい。子供だけに遊ばせるのはもったいない、という気持ちがお分りだろう。

 リモコンが操縦桿の形をしているというのが、また実に良い。先述の通り、ロボットは左右に旋回しかできないので、コンも左右に倒すだけという実にシンプルなものだ。そのため、利き手とは逆の手をリモコンの下に添える必要がある。

 そして、対戦のために必要な要素、銃撃はトリガーを引くことで行う。弾数は30発、撃ち尽くしたらトリガー後方のリロードボタンで再装填する必要がある。再装填中は2秒程動きが止まってしまうなど、ジレンマが設定されていてなかなか本格的だ。

操縦桿型リモコン。左右に旋回しかできないので、左右に倒すだけのもの。トリガーで銃撃、後ろのボタンで弾をリロードする
頭の後ろにある受光部。ここに10回銃撃を受けると負けだ

 銃撃(の赤外線)は、ランドセル上にある受光部に当たると、ヒットとカウントされる。ヒットすると受光部が点滅し、約1秒動きを止めることができる。連続銃撃はできないようになっているので、相手の動きを止めている間に有利な位置取りをするのがセオリーになるだろう。赤外線ゆえに、室内の反射で反応することもあるが、まあそこはご愛敬だ。

銃撃すると、銃口が光ると同時にブローバックするという凝りよう

 触れるのが遅くなってしまったが、オリジナルの「ガガンガン」としてのロボットデザインの他に、あの「クラタス」のコラボレーションモデルも発売されている。搭乗できる巨大ロボットを本当に作ってしまったとして有名な「クラタス」だが、意外なことにこの製品が初めての玩具化とのことである。本物はこんなに派手な挙動はしないが、制作者の倉田氏も満足の出来という。

 何人かに実際に遊んでもらったが、全員もれなく少年の目に戻っていたのが印象的だった。また、遊んだ後の反応も実に興味深いものだった。アーマードトルーパーだ、いやモビルスーツだ、いやLFOだ、いやいやナイトメアフレームだ……と、世代により思い浮かべるロボットが違うのだ。ネットで検索すると早速様々なロボットに改造されていて、職人心をくすぐっているようである。8月にはパラメーターと外観を変更した新モデルが出るとのことで、ますます盛り上がりそうだ。幅広い世代に愛される一品であるが、筆者としては炎の臭いしみついてむせる世代にこそぜひ遊んで欲しいと思っている。

製品名販売元購入価格
ガガンガン ブルードーベルタカラトミー3030円
ガガンガン クラタスモデルタカラトミー4030円

ナカムラ