キャリアアグリゲーション対応のSIMフリーモバイルルーター

　最近、MVNOによるサービスが「格安スマホ」なんて呼ばれたりしているが、単価が安くプランの種類も多いMVNOのサービスは、スマホだけではなく、パソコンやタブレットなどのサブ端末との相性も良い。

MR04LN。だいたいスマホと同じくらいのサイズ感

　メインのスマホでテザリングするからイイよ、という人も少なくないかもしれない。しかしたとえばNTTドコモの場合、データパックのS（2GB）は3500円、M（5GB）は5000円、L（8GB）は6700円で、1GBあたりだいたい500～750円となっている（他キャリアも似たようなものだ）。対するMVNOなら、たとえば3GBだと1000円前後くらいで済むし、MVNOによっては低速大容量プランを用意しているところもある。テザリングするために大きめのデータパックを契約するくらいなら、テザリングでぶら下がる端末用にMVNOを契約した方がお得なケースが多い。

　パソコンなどでMVNOを使うとなると、そのデバイスがLTE/3Gを内蔵していない限り、モバイルルーターを使うのが手っ取り早い。ドコモ系MVNOであれば、ドコモのモバイルルーターを中古で入手する手もあるが、せっかくならば「MR04LN」のような最新のSIMフリールーターをおすすめしたい。

各種設定操作はタッチパネルディスプレイで行なえる

　「MR04LN」はAtermブランドのSIMフリーモバイルルーターだ。自分で用意したSIMカードを挿し、4G LTE通信を利用できる。通信方式としては、LTEと3G、GPRSに対応し、LTEはバンド1/3/8/11/18/19/21/17に対応している。ひらたく言うと、日本で使われているLTEのバンド（周波数帯）にはだいたい対応している。

　キャリアアグリゲーション（CA）にも対応しているので、規格上の最大速度は300Mbpsとなっている。実際にそんな通信速度が出ることはないが、キャリアアグリゲーションは複数のバンドを同時に掴むので、特定バンドの混雑の影響を緩和する効果もある。

　公式にはいくつかのドコモ系MVNOとワイモバイルシェアプランなどに対応をうたっているが、対応をうたっていなくてもドコモ系MVNOなら問題なさそう（※編集部注：NTTドコモによると、CAを含め利用可能とのこと）で、わたしはFREETELで利用できた。ただし、auおよびau系MVNOへの対応はうたっていない。

microSIMカードスロット（写真左）が2個。nanoSIMカードは使えない

　microSIMカードのスロットが2つあるデュアルSIMカード仕様となっている。といっても両方同時に使えるわけではなく、メニューからどちらのSIMカードでデータ通信をするかを選べるだけだが、会社と個人のSIMカードを使い分けたり、海外旅行時に現地のSIMカードを使うときに便利そうだ。

　本体にはタッチパネルディスプレイが搭載されていて、ステータス表示や簡単な設定は、本体だけで行なえる。といってもタッチパネルの感度はスマホほど良くないので、スマホのようにサクサク操作とはいかないが、まぁしょっちゅう操作するものでもないので問題はない。

　省電力モードとしては、Wi-Fi接続待ちの「ウェイティングモード」で約30時間、スマホアプリからBluetoothで起動させられる「休止状態」で約250時間となっている。Wi-Fiテザリングの連続使用時は約12時間となっている。

スマホの専用アプリ。本体のステータスを確認や休止状態移行などができる

本体が休止状態でもアプリから「リモート起動」できる

細かい操作はブラウザからも可能。パラメータ設定はこっちの方が使いやすい

クレードルに乗せると画面表示が横に切り替わる

　別売りのクレードルには有線LANポートが搭載されていて、自宅など固定回線網がある環境では「ブリッジモード」で無線LANのアクセスポイントとしても利用できる。クレードル脱着とモード切替は自動連動するので、家のアクセスポイント代わりにも使いやすい

　「MR04LN」は家電量販店などで買うこともできる。ヨドバシ.comだと2万8590円（税込、ポイント還元あり）だ。また、一部のMVNOでも販売されていて、たとえばOCNモバイルONEだとSIMパッケージ込みで2万5800円（税込）、あるいはレンタルも利用できる。

　決して安いデバイスではない。しかし外出先でパソコンを多用する人にとって、MVNOを活用すれば1年や2年でこのくらい元が取れてしまうケースもある。自分の通信料金とデータ通信量を見て、ちょっと高いなと感じている人は、MVNOとMR04LNを検討してみてはいかがだろうか。