本日の一品

灼熱地獄の中で「冷たく感じるタオル」を試してみた

 日本を含む生活用品が一定レベルまで普及した文化レベルの高い国では、消費スタイルに大きな変化が現れている。一言で言ってしまえば、「モノ消費からコト消費への転換」の時代だ。

 憧れの“モノ”を“所有”して自慢する時代から、魅力的な“コト”を“経験”して“心の充実”を図って“他人と共有”する、というのがトレンドらしい。大人になってもいつまでも「モノ消費」の大好きな筆者にはなかなかその気になれない他人ごとのようなトレンドだが、世の中は確実にそちらの方向に向かっているらしい。

“ひんやりとした結果”を期待したくなるセンスの良いパッケージだ
見えているこの素材が噂の「接触冷感素材”ゼロクール”」

 スポーツクラブやダイエットジムが流行り、コスパ評価で安価な衣類や家具が売れ、誰も行ったことがないというふれこみの超マイナーな旅が流行る。一方、縮小気味のモノ消費の世界でも“新しいイクスピアリエンス”を楽しめたり、加速する薀蓄(うんちく)アイテムが売れている。

 そんなアイテムのひとつである「COLD SENSE TOWEL」(冷たく感じるタオル)という新しいアイテムを日本のこの酷暑の時期に貴重な“イクスピアリエンス”を経験できる目玉商品として購入した。

今治産の青いコットンパイル面と折り返したゼロクール面

 この“体感モノ”は、一般的なハンドタオルサイズの、一辺が23cmの正方形。表地はタオルでは有名な四国は今治産のコットンパイルを使用している。筆者のチョイスしたカラーはターコイズだが、他にホワイト、グレー、ブルー、ネイビーと全部で5色のラインアップが発売されている。

 全てタオルの裏地に、株式会社ネムールの「接触冷感素材“ゼロクール”」を使用している。ゼロクールは、熱伝導率の低いポリプロピレンと熱伝導率の高いポリエチレンを組み合わせた、糸形状の素材でできている。

 ポリエチレン糸は多数の細い糸に細分化(マイクロファイバー化)し、柔らかい肌触りを実現している。タオルを水に浸すと、編んだ糸と糸の隙間に水が浸透することで高い吸水拡散性を持つように考えられている。

ポリプロピレンとポリエチレンを組み合わせた糸形状の素材のゼロクール

 時間経過で生地が温かくなってきたら、空中でタオルを振り風に当てることで冷たさが戻ってくるのが大きな特徴だ。昨今では、枕カバーや敷布などにも使われているので、既にご存知の読者諸兄も多いだろう。
 さて技術的背景と商品のチャレンジの方向性は少しは分かった気になったが、実際の体感効果の程はどうだろうか? 8月のきわめて暑い朝7時ちょうどに水で濡らした「冷たく感じるタオル」をビニール袋に入れ、散歩バッグに入れてワンコの散歩にでかけてみた。

 ピーカンの中15分ほど歩いたところで、おもむろにタオルを取り出して、コットンパイル地の面とゼロクール素材の両面をかわるがわる額に当てたり、上腕の内側に当てたりしてみた。確かに“言われてみれば”、ゼロクール素材のほうが冷たくは感じるが、直感的に感じるほど冷たいというレベルではない。

ワンコも人も激暑の日本の夏にはあまりよいイクスピアリエンスはなかった

 その後も何度か使っては見たが、このゼロクール素材を使った「冷たく感じるタオル」は、確かに“冷たく感じる”というのが正しく、決して実際にクールダウンする効果があるわけではない。そういう意味では広告コピーに偽りがあるわけではない。

 残念ながら日本の夏の灼熱地獄に対抗出来るアイテムではないだろう。デザイナーズブランドの今治タオルとそれほど大きな価格差も無いので、一風変わった残暑見舞いアイテムとして購入し、お世話になった方に“イクスピアリエンス”を提案することで、運が良ければ何か別の効果を発揮するかもしれない

製品名販売元購入価格
-°C MINUS DEGREE(マイナスディグリー)100percent1296円

ゼロ・ハリ