本日の一品

バリ島で出会ったスターリングシルバーの手作りボールペン

 女性ならバリ島のお土産で必ず候補に上がる“ガムランボール”はご存知だと思う。バリ島の伝統的楽器「ガムラン」をモチーフにして、その音色を真鍮ボールに封じ込め、シルバーのお化粧を施したのがガムランボール。その音色は澄んでいて、きわめて綺麗だ。

コンパクトサイズでスターリングシルバー製のボールペンは貴重だ

 幸せを呼び、夢や願いが叶うと言われているガムランボールは、精神集中やストレス解消に効能があると言い伝えられているようだ。伝統工芸が盛んなインドネシアの中でも銀細工の工房が多いチュルク村で、その多くは作られている。

 しかし、元来ヒーリング系には無縁の筆者には、同じ工房内で作られている数種類のスターリングシルバー製のハンドメイド・ボールペンに強く惹かれてしまった。スターリングシルバーは銀の含有率が92.5%あり、銀の品格と同時に強度も実現した合金の一種だ。

 筆者が購入したのは、全長が120mmあまりと超コンパクトなボールペン。世界中どこでも手に入るパーカー社製のリフィルを採用している。

リフィルは最も普及しているパーカー社製の標準品を採用している

ボールドでブルーカラーのリフィルが好みな筆者は、最初に付属していた細字のリフィルを速攻で交換してみた。リフィルの交換作業はきわめてイージー。携帯時は120mmとコンパクトだが、精密にネジが切られたキャップを取りはずして、ボールペンの後部にねじ込むことで全長が140mmとなり、楽に持って筆記できる長さに拡張する。ねじ込みの精度も高く、歪みや傾き、ガタ付きは皆無だ。

1.2mm径ボールドの青インクに交換して自分のモノになった感じ

 純度の高い銀製品を持っていて一番気になることは、しばらく使わずに放置していると、その表面が黒ずんでくることだろう。これは銀製品の表面が、空気中の硫化水素と反応し、硫化銀となりくすんでくるためだ。ひどいものでは真っ黒になってしまうので、銀製品は日々のお手入れが不可欠なのだ。

 筆者もいくつかのスターリングシルバー系の筆記具を所有しているが、中にはたった一カ月ほど、ペンケースやペンスタンドの中に入れっぱなしにしているだけで、少し黒ずんでくるモノもある。室内の温度や湿度も影響しているのかもしれない

銀製品は独特の光沢が命だが、空気中に放置するとすぐにくすんでくる

 イヤリングなどの小さな宝飾系のモノには適していないが、ボールペンのように多少大きなサイズの銀製品には、有名な“銀みがきクロス”を使って磨くのが簡単。クロスも入手しやすく、安価で手頃だ。くすんだ銀製品を銀みがきクロスでくるんで、指先で2~3回くるくると回転させるだけで、アッという間に元の輝きを取り戻してくれる。細かなところは爪の先で銀みがきクロスを押すようにしてこすれば、ほとんどのくすみはとれてしまう。

ボールペン等には最適な“銀みがきクロス”の出番だ。効果はすぐわかる
銀みがきクロスで磨く前(上)と磨いた後(下)。たったの1分で効果は歴然

 ガムランボールを作っている銀職人が作ったボールペンは、表面全体にレリーフのような独特の美しい模様が付けられている。銀製品の特徴である空気中の硫化水素を取り込み、自然とボールペン表面全体はかなりくすんできてしまう。

 しかし、凸面になっている模様箇所は常時人間の手のひらや指でこすれたり、時には銀みがきクロスで磨き上げられるので、硫化銀が定着し黒ずんだ凹面のブラック部分と、凸面の浮き出たシルバー部分が人工的でわざとらしくない見事なコントラストを醸しだしてくれる。

 銀独特の化学反応を上手く利用したバリ島チュルク村のハンドメイド・ボールペンは、持っていて幸せで、いろいろなウンチクも語れる貴重な商品なのだ。

銀のくすむ自然特性を活かして作られたこのボールペン、長く愛用できそう。インドネシア製のメモ用紙(200円)とベストマッチだ
製品名購入先購入価格
スターリングシルバーのハンドメイド・ボールペンバリ島 チュルク村の銀製品工房約310万ルピア(28000円程度)

ゼロ・ハリ