本日の一品

「Xperia Z5」で手軽にハイレゾ&ノイズキャンセリングを楽しめる「MDR-NC750」

 Xperiaシリーズには、Xperia Z2以降、デジタルノイズキャンセリングの機能が搭載されている。周囲のノイズをマイクで検知し、それと逆位相の音を発生させて、ノイズを打ち消しているというのがその仕組みだ。プラスの音と同じ分だけマイナスの音を発生させて、プラスマイナス0にしているようなイメージをしておけば、理解しやすいだろう。

「Xperia Z5」シリーズのノイズキャンセリング機能に対応する「MDR-NC750」
ノイズキャンセリング自体は、Xperia側で行う仕組み

 少々変わっているのが、この処理を本体側、つまりXperiaで行っているというところにある。通常、ノイズキャンセリングはイヤホン、ヘッドホン側に搭載される機能だが、Xperiaの場合、マイクだけをイヤホン側に置き、処理自体は本体で行っている。メリットとしては、イヤホン側を小型にできることが挙げられる。また、イヤホン側にバッテリーを搭載する必要もなくなるため、充電の手間がなくなるのもこの方式の特徴と言えるだろう。同じソニーのWalkmanも、同様の仕組みを採用してきた。

 逆に、デメリットとして挙げられるのが、イヤホンが限られていること。基本的にはソニーの独自技術になるため、対応製品もソニーのイヤホンだけになり、選択肢が狭くなってしまう。その結果として、これまでのXperiaシリーズでは、ハイレゾ音源の再生ができたものの、ノイズキャンセリング対応イヤホンで、その音域をすべて出力できないといった問題が生じていた。ハイレゾ対応イヤホンはノイズキャンセリングが利用できず、逆にノイズキャンセリング用のイヤホンは、ハイレゾに対応していなかったのだ。

 このトレードオフを解決したのが、ハイレゾの音域を出力でき、かつノイズキャンセリング機能も搭載した、Xperia Z5シリーズ用の「MDR-NC750」だ。出力可能な周波数帯域は5Hz~40000Hz。人間の可聴域を大きく超えており、まさにハイレゾ対応と呼べるスペックだ。ちなみに、これまでノイズキャンセリングが利用可能だったイヤホンの「MDR-NC31EM」は、周波数帯域が20Hz~20000Hzとなっており、この点でMDR-NC750がきっちりハイレゾを再生できることが分かる。

「MDR-NC750」の側面。イヤーピースはS、M、Lの3種類が付属
イヤホン側に搭載されたマイクで騒音を拾う

 実際にMDR-NC750を使い、ハイレゾ対応の音楽を再生してみると、その違いは一目瞭然だ。言葉で表現するのが少々難しいが、音に深みがあるといったところで、臨場感が大きく上がった。また、Xperiaのノイズキャンセリングは、非常に効果が高く、電車やバスなどでは周囲の騒音がほとんど聞こえなくなる。歩いているときにオンにするのは、危ないのでやめておいた方がいいほどだ。

 飛行機に乗っているときでも、その効果はしっかり発揮される。さすがに航空機に搭載されたエンジンの音を完全にかき消すことはできないが、それでもあるとないのでは、まったく音楽の聞こえ方が違う。音楽再生を止め、耳栓代わりにもできる。騒音がうるさくて眠れないようなときには、うってつけのアイテムと言えるだろう。

ハイレゾ音源の周波数帯も、しっかりカバーしており、音に広がりが出る
3種類用意されたシチュエーションに合わせて、設定を変更する必要がある
Y型になっているため、首の後ろからコードを回して、掛けておくことができない

 少々残念なのが、左右のコードが同じ長さで、ソニーのイヤホンによくあるような首掛けができないところ。いわゆる「U型」ではなく、「Y型」になっているため、イヤホンを耳から外すときはコードそのものをXperia本体から抜くか、ポケットに突っ込んでおかなければならない。個人的には、イヤホンは断然U型派。これまで買ってきたソニー製のイヤホンもU型がほとんどだった。音楽を一時的に中断するときは、首からかけておくだけよく、取り回しがしやすいと思っていたのだが……。

 とはいえ、現状でXperia Z5の音楽再生機能をフル活用しようと思ったら、MDR-NC750はほぼ唯一の選択肢となる。実勢価格も1万円をやや超える程度。カメラと同様“沼”があると言われるイヤホンの中では、そこまで高級製品というわけでもない。スマートフォンの“付属品”で飽き足らないXperia Z5(Z5 Compact、Z5 Premium)ユーザーが、ちょい足し感覚で1本買っておいてもいいアイテムと言えるだろう。

製品名販売元購入価格
MDR-NC750ソニーモバイル1万3824円

石野 純也