本日の一品

電子工作に使えるモバイルバッテリー「cheero Canvas 3200mAh IoT機器対応」

 電子工作が技術を楽しむ趣味として広まって久しい。先日もカード型コンピューター「Raspberry Pi 3」が発表されたが、他にも「mbed」や「ESP8266」など非常に魅力のあるハードウェアが続々出てくるし、インターネットで情報の入手が容易になっているので、始める人が増えるわけだなと思う。

cheero Canvas 3200mAh IoT機器対応

 そんな電子工作で何か作った場合、どうしても用意しなければいけないのは電源だ。振動力発電(※僚誌AV Watchの関連記事)のようなデバイスを使うなら別だが、そうでない大半の工作ではLED一つ光らせるにも電源が必要なのでどこかから調達しなければならない。

 パソコンやコンセントから電源が取れればよいのだが、それだと電子工作した意味があまりないので、電池をつなぐことになる。今まではアルカリ電池やニッケル水素充電池などの乾電池が使われていたが、昨今スマートフォンの充電用として安価に出回っている、リチウムイオン充電池やリチウムポリマー充電池を使ったモバイルバッテリーを使おうと考えるのは当然のことだろう。

コネクター、インジケーター、ボタンは全て同じ面にまとめられている
iPhone6との比較

 しかし、残念ながらモバイルバッテリーは消費電力の小さい電子工作には向いていないのだった。おそらく鞄の中でいつの間にか電源がオンになって放電してしまうのを避けるために、ある程度電流が流れないときには電源をオフにする回路が入っているためだ。消費電力を小さくしたくて電子工作しているのに、大きくないと使えないというのでは本末転倒である。

 ずいぶん前置きが長くなったが、この消費電力が小さい機器に対応した「cheero Canvas 3200mAh IoT機器対応」を紹介したい。

 まず、小さい電流でも電源が自動で切れないことを確認しようと、LEDと抵抗をつないでみた。LED(赤が手元になかったので緑にした)は2V 5mA程度で光らせることが多いと思うが、「光っているのがわかる」くらいでよければ0.5mA程度流せば十分なので、4.7kΩを直列につないでいる。これでおそらく0.65mA程度の電流が流れているはずだ。筆者が普段使っている「cheero Power Plus 3 13400mAh」では1分ほどで電源が切れてしまったが、「cheero Canvas 3200mAh IoT機器対応」では一晩(約7時間)経っても電源が切れていないことが確認できた。

LEDを光らせるテストの様子

 次に、もう少しまともにIoTしてみようと思い、今流行りつつある「ESP-WROOM-02」というWi-Fiモジュールを使い、室内の明るさをIFTTTのMaker Channelを使って5分おきにSlackにポストするものを作った。ESP-WROOM-02にはスリープモードがあって消費電力を減らすことができるのだが、今回は簡単に完成させることを優先したので使っていない。

 電源を入れて24時間経ってもバッテリーに付いているLEDが一つも消えなかったため、いったいどうなるのかと思ったのだが、70時間を過ぎたあたりで確認したらLEDが一つ消えており、その後80時間経ったところで電源が落ちていた。3200mAhで80時間なので平均40mA消費していたことになる。消費電力を下げる工夫をすれば1週間くらいは持つようになるのではないだろうか。

ESP-WROOM-02を使ったテストの様子。光センサはCdSを使って、出力を3分の1程度に抵抗で分圧している

 もちろん、スマートフォンの充電にも使えるし、小型で軽量なので普段使いのモバイルバッテリーとしてもお勧めだ。ただ前述の通り自動オフ機能はないので使い終えたときや鞄の中では忘れずオフにしておこう。

製品名販売元参考価格
cheero Canvas 3200mAh IoT機器対応ティー・アール・エイ2980円

大木真一