本日の一品

2枚刃はカミソリだけじゃない! ガラス瓶型の鉛筆削り

 「2枚刃」と聞いて、安全カミソリを思い浮かべる人は多いだろう。今や2枚以上の枚数の刃を並列に重ねた髭剃りは、手動から電動まで含めて相当の数が市場に出回っている。

「Two Blade Glass Jar Sharpener」は、調味料の容器のようなガラス瓶にアルミ蓋を取り付けたユニークなデザインだ

 そんな「2枚刃」の世界になんと「鉛筆削り」も参入してきた。2枚刃の鉛筆削りは市場にいくつか存在するが、本日ご紹介するのは、ケイ・コーポレイションの大人の佇まいを有する文房具「Two Blade Glass Jar Sharpener」(以降:2枚刃削り)だ。

 筆者の知る限り、カミソリ以外にも古くから同じように本来1個のモノを2個にして処理スピードをアップしたものがある。大型コンピュータの周辺装置であるハードディスクがその代表格の製品だ。

アクリルのフレームに対抗する2枚刃の整然とした配置はきわめて魅力的だ

 ご存知のように、ハードディスク・ドライブは、磁性体を塗布した金属製の円盤を重ねて固定し、高速回転させ、専用のヘッドアームの先に取り付けた読み書きヘッドで、表面に書かれたデータを読みとる装置だ。

 しかし、読み取りヘッドアームが1本では、肝心のデータが読み取りヘッドの真下を通過した後に、次に読みたいデータがもう1周回って来るまで待たなければならなくので、きわめて効率が悪い。

 その改善策として、1本目のヘッドアームに向かいにもう1つのヘッドアームを取り付けて2アーム体制にすれば、目的のデータを待つ時間は最大半分で良いことになる。今回ご紹介する2枚刃削りも、普通の鉛筆削りに付いている削り刃を対向して2枚配置し、両方の刃で同時に鉛筆を削れるようにしたものだ。

正確かつ確実に固定されたように見える2枚刃はバランス良く結果を出せるのか
100年以上の伝統がある極小のDUX鉛筆削り

 では、どのくらい速く気持ちよく削れるのか、三菱鉛筆HB芯のまっさらな鉛筆を使って実際に削ってみることにした。1枚刃の鉛筆削りの代表選手として、20世紀初頭に開発されたドイツの伝統的な鉛筆削り器「DUX」を比較対象とした。

テスト用の鉛筆は伝統の三菱鉛筆のHBを使った。筆者はこの組み合わせを一番よく使っている
Two Blade Glass Jar Sharpenerでも同じ三菱鉛筆のHBを削ってみた

 同じパッケージの中の鉛筆をそれぞれ1本ずつ使い、きっちり8回だけ手動で回転させて削り、その進行度合いを確認してみた。結果、1枚刃のDUXで8回転させて削った方は、まだ芯先も見えていない状態だった。

DUXで鉛筆軸を正確に8回回転させた結果。まだ芯先も見えていない

 しかし、2枚刃削りの方は、8回転で芯先も鋭角に尖って削れ、ほぼ完璧と思える結果となった。この結果、2枚刃削りは1枚刃の鉛筆削りより、やはり削るスピードは2倍速いと分かった。

 また2枚刃削りは、スピードが2倍速いだけではなく、削りカスもひと続きに連続していてなかなかビューティフルだ。またガラスの瓶の中に削りカスを溜めることができ、ゴミ箱のある場所まで持って行き、ロック式の蓋を開いて一気に削りカスを捨てられる。

なんと鉛筆を正確に8回転したところで、芯先まで綺麗に削れてしまった
Two Blade Glass Jar Sharpenerの2枚の削りカス。綺麗に連続した削りカスがきちんと2つ残っていた
1枚刃と2枚刃で同じ8回転を削った結果、これだけの違いがあった

 今回比べた2つの鉛筆削り、いずれもチープな感じは全くなく、ウンチクを語ればキリがない。伝統的なクラフトマンシップ溢れる真鍮のDUX。そして、発想の転換で合理的な構造を採用し、驚きを機構に反映しながらも、大人の文具的な雰囲気を残した「Two Blade Glass Jar Sharpener」。価格的にも拮抗し、いずれも、現代文具の逸品にふさわしい大人のための文房具だ。

製品名販売元購入価格
Two Blade Glass Jar Sharpenerケイ・コーポレイション2700円(税込)

ゼロ・ハリ