本日の一品

鉛筆を竹とんぼにして飛ばす「Byuun」にハマった

 日本や中国に古来から伝わる子供の玩具に「竹蜻蛉」(竹とんぼ)がある。昔は小学校などの工作の授業で作ったりしたこともあるようだが昨今はどうなのだろうか? そんな竹とんぼの仲間に、ごく普通の鉛筆を軸にして楽しめる現代版竹とんぼ「Byuun」(ビューン)がデビューした。

カラフルなプロペラを強調した現代版竹とんぼ「ビューン」。見るからに楽しそうだ
同梱物は軽量のポリエチレン製プロペラと軸になるごく普通の鉛筆、そして取説

 ビューンは韓国のデザイナーである安一模(アン・イルモ)氏のデザイン商品だ。ポリエチレンで作られたプロペラ(羽根)はカラフルな何色かが用意されており、筆者が購入したモノは蛍光のグリーンだ。

 両手の手のひらで擦って回転させるビューンの軸部分には一般的な鉛筆で代用する。キットには標準サイズの鉛筆が一本含まれている。ポリエチレン製のプロペラの重量はわずか3gで、これに鉛筆の5gが加わって飛行総重量は8gとなる。一般的な竹とんぼより少し重そうだが、大きな差はないだろう。

プロペラは竹に比べると柔らかくて安全そうに思えるが、薄くて強烈な回転はやはり危険だ。周囲に人や動物が居ないのを確認して飛ばそう

ポリエチレン製のプロペラの中央部分には、鉛筆の軸をガッチリとホールドするように花型の穴が空いており、そこに鉛筆の軸を挿入して、プロペラより上に飛び出す部分の長さを調整したり、鉛筆として実際に上下のどちらかを削って軽量化したりして重量バランスを整えて飛ばせる。空気力学や慣性モーメントにはずっと無縁だった筆者だが、ビューンは難しいことは考えなくても、いろいろ楽しめるのがなかなか面白い。

羽根の表面に「+d」と刻印されている面が上になるようにセットする
ある程度の太さの鉛筆に対応できるように花型にカットされたプロペラの中央部

 約2時間ほど、飽きることなく風の影響を殆ど受けない自宅リビングでフライトテストを繰り返しやってみた。頭を使った後のリフレッシュには最適なアナログ遊戯アイテムだ。

 ハードな仕事で疲れきった週末は、フィールドノートと一緒にビューンを持って近所の公園や河原に出かけ、時間を忘れ、飛行時間や飛行高度の記録をとって、飛行技術の向上にチャレンジしてみるのも楽しいだろう。

鉛筆をプロペラの中央部に差し込んで、まずはテストフライトにチャレンジしてみよう

 我が家にはドローンをはじめ蚊や小蝿でも、飛ぶものなら何でも異常な関心を示すワンコが居るので、ビューンのテストフライトもなかなか大変だった。墜落後の回収作業に少しでも遅れをとると、ダッシュでビューンの回収を終えたワンコと、好物のドッグフードで物々交換する羽目にあってしまう。

飛ばしている人間よりも楽しんでいるうちのワンコ

 何度かテスト飛行を繰り返して、一通り飛ばす手さばきを理解したので、今度は軸の鉛筆をいろいろな種類のモノに交換してやってみることにした。筆者が気に入ったのはドイツ製のLYRA社の鉛筆だ。邪道だが消しゴムの付いている方を下側にセットし、付属の鉛筆より重量の増した分だけ少し鉛筆削りで削って飛ばしてみたところ、なかなかグッドバランスで安定性の高い飛行を実現してくれた。

使える鉛筆、使えない鉛筆はあるが、いろいろな重さ、太さ、長さ、材質の違う軸を使ってみるとなかなか面白い
筆者の気にいった組み合わせは、LYRAの消しゴム付きの枯れたオールド鉛筆

 集中してやってみたテストフライトで分かったのは、重量やプロペラのひねりの形状による飛行差はきわめて少なく、実際のグッドな飛行を決定づけるのは、両手の手のひらで鉛筆を一気に擦ってほぼ真上に発射することだった。

 断面が六角形の鉛筆か丸い鉛筆かも、手のひらの感触と趣味の違いはあっても実際の飛行にはほとんど影響しない。原始人やボーイスカウトよろしく火をおこすスタイルでビューンの鉛筆軸を何度も手のひらで往復させてゴロゴロさせても、飛行高度や距離は延びないことも間違いない。

休みの日には時間を忘れて、屋外で記録更新にチャレンジするのも面白いだろう

 あくまで、少し前に出した左手の親指の付け根辺りと右手の真ん中の3本の指の第一関節辺りでビューンの軸である鉛筆を挟み、右手を一気に前に擦って滑らせ、瞬間的にビューンを真上に上昇させるのが最良の発射スタイルだ。

 簡単なようできわめて奥の深い現代の竹とんぼであるビューンは、日常複雑すぎる仕事をさばいているビジネスピープルにこそ心から遊んで欲しい歴史ある大人の玩具だ。テクノロジーよりも小手先の改造や変更よりも、基本が一番大事だと理解できることは間違いないだろう。

製品名販売元購入価格
Byuun(ビューン) ペンシルコプターアッシュコンセプト540円(税込)

ゼロ・ハリ