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SNSとゲームの美味しい関係

KDDI総研 稲増文夫
KDDI総研調査2部。情報通信を取り巻く環境変化や市場動向についての調査研究を担当。今回のコラム内容から、SNSやゲームサイトの愛好者と思われるかもしれないが、実はほとんど利用したことがない。付き合いが深いのはeBayで、某音楽ジャンルの出品レコードのチェックを日課としている。


 最近、テレビでモバイルゲームのCMをよく見かけると思いませんか? 2000年代初めに、モバイルサイトの制作運営に携わったことのある筆者としては、モバイルサイトのCMがテレビのゴールデンタイムに流れるという状況に「隔世の感」を抱きます。しかも、これらのサイトは元々ゲームサイトではなく、SNSサイトであることを考え合わせると、日本のSNSも「思えば遠くへ来たものだ」という感慨を持たざるを得ません。

 一方、SNSの発祥の地(米国)では、SNSを通じて、フラットな人間関係の拡大を促し、社会的資本(Social Capital)の充実を手助けしていこうとする方向に発展してきました。日本の有力SNSサイトが無料のミニゲームを前面に打ち出すことで会員数を飛躍的に伸ばしてきたことに、「かなりかけ離れた展開を見せているな〜」という率直な思いがありました。

 ところがどうでしょう。最近の米国の状況を見てみると、結局「同じ穴のムジナ」になりつつあるのでは? という気がしてなりません。ご承知のとおり、米国で最も勢いのあるSNSサイト「Facebook」は、2007年5月にAPIを公開し、今では膨大な数のアプリが提供されています。その中で、本年5月に月次のアクティブユーザー数が1000万を超えたのが「Pet Society」です。これは現在、Facebook上で提供されているアプリ全体の中で、No.2の人気を誇るゲームアプリです。

 ゲームは単純で、入会すると、とってもユルキャラなペットが1匹と家が一軒与えられ、その家でえさをあげたり、遊んだり、体を洗ってあげたり、ペットの面倒を見ます。家も家具調度品などを揃えてデコレートしていきます。えさや洋服、家具などは街のお店でコインを使って買うのですが、コインは現金でも購入することができます。友達の家を訪ねだり、スタジアムの競技会に参加して賞金(コイン)を獲得したり、アクティビティを重ねていきながら、ペットの育成レベルを上げていくゲームです。

 モバゲー内の自分の分身であるアバターや、GREEの育成ゲーム「クリノッペ」にとてもよく似たコンセプトを持っていて、米国でも、このようなミニゲームがSNSの一つの集客エンジンになりつつあることに驚かされます。

 ちなみに、「Pet Society」を運営している英国のPlayfish社は、ほかにもいくつか人気ゲームを提供していますが、最近ユーザー数を伸ばしているのが「Restaurant City」です。これは、ユーザーが自分のレストランを持ち、料理のメニューや店内のレイアウト、店員の雇用や配置などを工夫しながら、お店を繁盛させていくシュミレーションゲームです。ユーザーの分身である店長(アバター)の容姿を自分でカスタマイズしたり、友人の店を訪問したり、食材を交換したり、「Pet Society」と同様に「育てる」というコンセプトを持っています。

 このように、米国のソーシャルゲーム(SNS上で提供されるゲーム)は活況を呈していますが、今後、米国においても、モバイル経由のSNS利用が拡大するに連れて、ゲームによってユーザーを誘引しようとする傾向は益々強まりそうです。そう考えると、この分野での日本の動きが「ガラパゴス現象」と呼ばれる心配はどうもなさそうですね。

(稲増文夫)

2009/6/29 13:53


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