記事検索
連載バックナンバー

自転車ロードレースとケータイ

KDDI総研 堺原いずみ
(株)KDDI総研 調査3部。現在は主に各国の固定通信(ブロードバンド)市場の比較分析を行っている。「好きなものはサッカーと自転車ロードレース」と言いつつ、易きに流れて見る専門。CS放送は生きる糧。数年ぶりに国内のサッカースタジアム巡りを再開したいと思いながらも今年の猛暑の前に挫折しそうになっている。いっそラルプ・デュエズやモン・バントゥで涼みたい。


 日本ではあまり馴染みがないかもしれないが、ヨーロッパでは人気が高いスポーツのひとつに「自転車ロードレース」(サイクルロードレース)がある。「ツール・ド・フランス」というレース名なら耳にしたことがあるかもしれない。広大なひまわり畑の中を色鮮やかなジャージに身を包んだ選手たちが走り抜ける姿は、フランスの夏の風物詩のひとつにもなっている。

 とにかく自転車ロードレースのジャージは鮮やかである。なぜかと言うと、そこには(配色という観念はとりあえず横において)さまざまなチームスポンサーのロゴが散りばめられているから。その時々の景気やら大人の事情やらで、毎年のようにスポンサーもチーム名もジャージのデザインも変わってしまうのだけど、やはり同業者のロゴを見つけるとニヤッとしてしまう。

 今年は、ツール・ド・フランスでの予想外(失礼!)の活躍もあって「ブイグテレコム」をよく見かけた。ブイグテレコムはフランスの通信事業者で、今は“Bbox”という自社のブロードバンドサービスをチーム名に冠して宣伝しているが、元々は携帯専業、以前は携帯事業で提携をしている“i-mode”のロゴを付けていたこともある。

 また、少し前であればドイツテレコムの移動体ブランド「T-モバイル」を見かけることもできた。こちらはコーポレートカラーそのままにピンク色のジャージが目に鮮やかなチームだったが、その後スポンサーもチーム名もジャージの色も変わってしまい、今は日本でも馴染みとなった台湾のスマートフォンメーカー「HTC」がスポンサーに名を連ねている。

HTC本社のWebサイトでもゴールスプリントを制してスポンサーをアピールするマーク・カヴェンディッシュ選手の姿が紹介されている

 ところで、このHTCに関して、自転車ロードレースではひとつ語り草になりそうなゴールパフォーマンスがある。

 マーク・カヴェンディッシュという選手が、この新しいチームスポンサーをファンにアピールすべくやったことなのだが、彼はHTCがスポンサーを始めた年のツール・ド・フランスで『胸のスポンサー名(HTC)を指さしながら、電話をかける仕草をする』という何とも不思議なゴールシーンを披露したのだ。過去にはフアン・アントニオ・フレチャが自分の名前に因んで矢を射る真似をしながらゴールするというパフォーマンスを演じたこともあったが、スポンサーのために電話をかける真似をしながらゴールするなんて、そうそうお目にかかれるものではないだろう。

 ただ、残念なことに、それ以降カヴェンディッシュは優勝してもゴールで電話をかけてはくれないのだけど。

 そのほかには、GPSメーカーの「ガーミン」もアメリカのチームのスポンサーとなっている。日本ではもっぱら業務用GPSのイメージがあるガーミンだが、米国では“GARMINfone”という地図情報満載のAndroid端末をT-モバイル向けに出している。Google Mapsより詳細なガーミンの地図情報がプリインストールされていて、「持ち運べるカーナビに電話機能が付いた」と言った感じらしい。日本では販売されていないが、自転車に付ければ、au Smart SportsのBikeモードっぽくなりそうである。

 と、自転車ロードレースをスポンサーとなっている通信関連企業を思いつくまま書き連ねてみたが、実は来年度のスポンサーを募集中のチームもいくつかあるらしい。鬼に笑われそうだが、年が明けたらもう数社増えている、ということもあり得るかもしれない。

(堺原いずみ)

2010/8/26 12:01