世界のケータイ事情

中国深センの街角での経験

 中国の深センに出かけた時のことです。深センは近代化が進み、多くの新しい高層ビルが建てられ、活気を感じる新興都市です。しかし、旅行者として困ったことは言葉です。レストランに行き、漢字(簡体字)で記載されたメニューを見ると、牛肉、豚肉、鶏肉などの素材までは何とか理解できるものの、その他は想像もできず、係の人に聞いても英語が全く通じず、どのような料理かも分かりません。悪戦苦闘の末、身振り手振りも含め、なんとか注文だけはできた状況でした。

 街中のお店でも状況は同じです。ある時、フルーツが食べたくなり、ホテルの近くのスーパーマーケットへ行ってみました。話は逸れますが、中国語でスーパーマーケットは「超級市場」、これは漢字を見て納得しました。ちなみにコンビニエンスストアは、「便利店」これも同様に理解が可能です。

 店内でバナナを手に取りレジに持っていくと、レジの女性が何か言っていますが、全く分かりません。筆者が全く理解していないことを理解した彼女は、ポケットから颯爽とiPhone 5sを取り出し、何かインプットを始め、そして出てきた画面を筆者に向けました。その画面には“Measure the weight at the shop”(売り場で重さを計ってきて下さい)とのメッセージ。すぐに売り場に向かい、無事買い物を済ますことができました。中国語は英語と文法が似ていることもあり、英中の翻訳ソフトはかなりの精度で翻訳が可能とのこと。スマホの活用の一つとして、言葉の分からない旅行者には必須のアイテムだと実感しました。

 振り返ってみますと、巷には多くの翻訳ソフトが出回っています。無料の翻訳ソフトも多く見受けられますが、筆者が英語→日本語で試したところ、全体の意味を理解するには十分なレベルではありますが、処々に意味不明な翻訳も見受けられました。しかし、最近マイクロソフトがSkypeのリアルタイム通訳機能“Skype Translator”を提供する計画を発表するなど、多くの新技術が開発されています。技術進歩により、音声翻訳アプリを活用しスマートフォンを通じた、外国人との自国語による自由・円滑な会話が行われる状況も目の前に迫っているものと思われます。

 ところで、翻訳機能を使った考えられる色々なシーンのうち、筆者が一番実現を望むことは愛犬との会話です。現在市販されているバウリンガルというアプリは6つの犬の気持ちを認識するとのことですが、現在の筆者は喜んでいるか、怒っているかくらいの気持ちしか分りません。近い将来、翻訳ソフト並みに犬語を日本語に翻訳することができるアプリの活用により、愛犬との本当の会話を楽しめる状況を待ち望むことは欲張りでしょうか?