世界のケータイ事情

ダイエットのモチベーションが高まるプログラム!?

 3年前、会社の健康診断の結果、中性脂肪とコレステロールが異常値に達し、保健士による「特定保健指導」の面談を受けました。その結果、生活習慣を改善することになり、「私の健康宣言」と「行動計画」というものを決めて、ダイエットを「一念発起」しました。健康宣言は「中性脂肪を減らす」で、行動計画は「昼食の菓子パンをサンドイッチにする」「週末に息子のサッカークラブの手伝いをする」「月曜日を休肝日にする」の3つでした。

 あれから3年。体重が減らず膠着状態が続いた時期もありましたが、中性脂肪とコレステロールも正常値に戻り、今では入社当時(何年前だか?)の新入社員のころの体重まで減量しました。

 3年間、毎日「保健指導プログラム」サイトに体重を記録してきましたが、このサイトは加重平均した値がグラフで表示されるという、極めてシンプルなものでした。もちろん効果は確認できましたが、米国ドラッグストア大手のWalgreensのロイヤルティプログラム「Balance Rewards」のようなポイントサービスを使っていたら、「1年で元に戻ったかも!」と思わずにいられません。

Walgreensの「Balance Rewards for healthy choices (Steps)」

 「Fitbit Flex」や「Fitbit Zip」を付けて、ウォーキング・ランニング・サイクリングをすると、Bluetoothでスマホやパソコンと同期して簡単に「Balance Rewards」に記録できます。1マイルあたり20ポイントを獲得できます。もちろん、商品を購入してもポイントが貯まりますし、店舗で血圧測定や血糖値の検査を受けても、1回あたり20ポイントが加算されるそうです。ちなみに、貯めたポイントは、1万ポイント=10ドル、1万8000ポイント=20ドル、3万ポイント=35ドル、4万ポイント=50ドルで、店舗で購入の際に使えます。

 「Balance Rewards」は、導入後1年で8300万人超の会員を獲得するほどの人気です。Webサイトやモバイルアプリのオンライン広告を使って、いわゆる、「オムニチャネル戦略」を展開しています。Walgreensによると、同社のWebサイトとモバイルアプリへのアクセス数の合計は、毎週1400万件あり、そのうちの約3分の1の400万件は、実店舗への訪問に繋がっているとのことです。

 Walgreensは、全米に約8100の実店舗を展開していますが、日本のドラッグストアとは違って、約400カ所にヘルスケアクリニックを構え、そこには、看護師と医療補助者が常駐して血圧測定や血糖値検査などのヘルスケアサービスも提供しているのです。医療費の高い米国では、健康管理のために、病院ではなくドラッグストアに通う人も少なくないかもしれません。その結果として、Walgreensのヘルスケアサービスは、地域医療の拠点としての役割も担っているのです。ポイントが使えるだけのドラッグストアではないのです。

 さらに、Walgreensは、プライベートブランド(PB)の「Good & Delish」や「Nice!」といった多くの高品質な食品の提供も強化しています。国内でもセブン-イレブンの「セブンプレミアム」やローソンの「ウチカフェ」など高品質で「ちょい高」の、けれども、専門店よりもお買い得な、絶妙な価格の商品の売れ行きが好調で、対象の商品を増やしているとよく耳にします。私自身も、仕事帰りに、ついつい“ついで買い”の衝動に駆られてしまい、カロリーが低めのコーヒーゼリーや脂肪ゼロのヨーグルトなどを買ってしまいます。

 つまるところ、「運動してポイントを貯める」→「実店舗で“ついで買い”してしまう」→「実店舗で血圧・血糖値を検査し健康状態を確認する」→「ポイントを貯める」→「実店舗で“ついで買い”」→「血圧・血液検査」……というWalgreensにとっての「オムニチャネル戦略」の好循環(私にとっての!?)に陥ってしまう、自分自身を容易に想像できてしまうのでした。

KDDI総研 田中実

 KDDI総研 調査2部市場分析グループ。カラダが軽くなって走れるようになった、と喜んでいるのもつかの間、小5の息子の所属するサッカークラブの親子対決の試合で、簡単に息子に抜かれてシュートを決められてしまうザンネンな父でした。