【MCPCモバイルソリューションフェア2010】

各社の新機種や法人サービスを紹介、スマートフォン市場予測も


 26日、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)主催の展示会「MCPCモバイルソリューションフェア2010」が開催された。各社の法人向けソリューションやスマートフォンの新機種が出展された。またMCPCから、スマートフォン市場の動向をまとめた予測レポートの発表会も行われた。

スマートフォン市場予測

MCPCの白石氏

 26日午前に行われた、スマートフォン市場の動向レポート「MCPCグローバル・ダイナミズムとスマートフォン・タブレット最新市場予測」の発表会では、スマートフォン推進委員長の白石 美成氏(ソフトバンクモバイル)から説明が行われた。

 詳細は12月上旬にあらためて発表される予定で、今回はレポートの概要が示された。まずスマートフォン認知率は、今年9月時点で93%で、2008年10月に行われた調査の23%と比べ、2年間で大幅に伸長した。

 よく利用する機能・サービスは、メール、地図アプリと続き、音楽再生などが並ぶ。ゲームや動画再生は3割前後といったレベルに留まるものの、3位以下の機能は、以前の調査よりも利用率が向上していることが特徴的だという。

 現在スマートフォンを利用していないユーザーのうち、約51%は「利用しない」と回答し、残りは利用意向を示した。2012年度までにスマートフォンを利用する、という回答は約8%で、今後2年間で1割弱のユーザーが増加することは市場成長を裏付けるデータとされた。同じ質問は、法人対象にも行われたが「わからない」が17%、「検討していない」が55%、「検討したが見送り」が3%と、個人ユーザーに比べ慎重な姿勢が明らかとなっている。この要因として、MCPCでは、費用対効果が明確でないこと、通信費用への懸念がネックになっていると指摘する。

 スマートフォンの出荷数/契約数については、2010年度の出荷数が410万台(個人向け337万台、法人向け73万台)、契約数が810万件(個人634万件、法人176万件)になるとされ、契約率は全体の7%になるとした。これが2015年には、出荷数1974万台(個人向け1846万台、法人向け128万台)、契約数が4712万件(個人4164万件、法人548万件)になると見られている。今後5年間での成長率が、出荷数は37%、計やクスは42%で、2015年には携帯電話契約全体の30~40%を占める(全体が1億2000万~1億5000万件の場合)との予測も示された。

 あわせてタブレット端末の成長予測も示された。2010年度の出荷数は101万台(個人84万台、法人17万台)だが、今後5年間で50%ほどの成長が見込まれ、2015年度には個人630万台、法人108万台になるとされた。

 このほか会場では、NTTドコモやKDDIなどから、それぞれの新機種や法人事例を紹介する講演も行われた。

 

各社のスマートフォン新機種、海外のWindows Phone 7端末も

 展示会場では、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルがそれぞれブースを構え、未発売のものを含む、スマートフォン新機種が展示されていた。

 また、マイクロソフトのコーナーでは、海外で発売されているWindows Phone 7端末がケース内展示されていた。いずれも国内で利用するための試験をクリアしておらず、操作することはできなかったが、担当者によれば、Windows Phone 7端末が既に発売されている海外では、好調な売れ行きを示し、在庫が逼迫しているという。

ドコモのスマートフォンSkype auをIS03で紹介IS06ソフトバンクモバイルのスマートフォン
Windows Phone 7対応のサムスン製OMNIA 7HTC HD 7HTC TrophyHTC 7 Mozart
説明パネルいわゆるスマートフォンとは違うが、カシオの3G通信モジュール内蔵ハンディターミナルの姿もカシオの3G通信モジュール内蔵ハンディターミナルカシオの3G通信モジュール内蔵ハンディターミナル
カシオの3G通信モジュール内蔵ハンディターミナルカシオの3G通信モジュール内蔵ハンディターミナル

 

各社の展示

 ドコモのブースでは、アライドテレシスのゲートウェイ機能搭載のルーターを展示。新たなファームウェアにより、Android端末から社内のイントラネットへ、IPSecでのVPN接続が可能になったという。1台10万円程度とのことで、同様の機能を持つルーターと比べ、価格面で競争力があるという。また、Lotus Notes TravelerとiNote UltralightがAndroid 2.xに対応したことも案内されていた。11.6インチの“タブレット型クラウド端末”の紹介コーナーでは、HSPA通信モジュールを内蔵したWindows 7搭載パソコンを紹介。方正(北京大学設立の企業グループに属すシステムインテグレーター)が提供するビューアーを搭載しており、営業スタッフが手持ちのオフィス文書や各種データをそのまま用いて、顧客へ紹介できるツールと活用できるという。このほか、フォーミュラ・ニッポンのマシンに搭載する機器も展示され、70~80度という温度の中で動作する機器やエンジンの音をノイズキャンセルできるよう調節した通話機能、SIPサーバーによるピット内通信システムなどが紹介されていた。

ルーターとLotusの説明パネルアライドテレシスのルーターとLotusの展示
フォーミュラ・ニッポンのプロジェクト関連機器タブレット型クラウド端末

 

 KDDIのブースでは、26日発売の「IS03」を使った、リモート操作デモを披露していた。Androidでは、2.1まで遠隔でのデータ削除・ロックができない。しかし「IS03」ではそれらの機能を独自にサポート。個人ユーザーでは遠隔ロック機能が利用できるようにし、法人ユーザー向けにはブックマークデータを遠隔で登録・削除できるようにした。今後は取り扱うデータを拡充する方針とのこと。

IS03を制御するデモロックした状態

 

 ソフトバンクモバイルのブースでは、Android端末を利用するソリューションも展示されていた。バイ・アール社のアルコール検知ソリューションは、携帯型のアルコール検知器のケーブルをHTC Desireのイヤホンジャックに接続して、計測したデータをサーバーに送信する。ソフトバンクテレコムのソリューション「スマートフリート」もAndroid対応で、運行管理に利用できる。宅配スタッフが業務ステータスを手軽に報告できたり、訪問先の住所を確認するとGoogle Mapsアプリのナビ機能と連携して、現地へ向う、といった使い方ができるという。フライトシステムコンサルティングのコーナーでは、iPhoneでクレジットカードを読み取れるようにする「ペイメント・マスター」を紹介。iPhone 4対応版もリリースしたとのことで、QRコードを読み取って金額を入力できるなど、具体的な使い方などが紹介されていた。

アルコール検知ソリューションアルコール検知ソリューションの説明
スマートフリートの説明スマートフリートのアプリ
フライトシステムコンサルティングのペイメント・マスターQRコードで決済金額や契約番号などを入力できる
クレジットカードを読み取った後の画面

 

(関口 聖)

2010/11/26 20:00