【英国大使館主催ビジネスフォーラム】

Makielabのローチ氏が語るソーシャルネットのPRと遊び


Makielab代表のジョー・ローチ氏

 駐日英国大使館は、「英国スマートフォン&ソーシャルメディア ビジネスフォーラム ―英国版シリコンバレーへの投資機会―」と題した講演イベントを開催した。

 講演では、Makielab代表のジョー・ローチ氏が「ソーシャルネットワークでつなげる将来のプロダクト、プログラム、そして遊び」というテーマで講演を行った。同氏は放送局のプロデューサーなどを経て独立、英国の放送局「チャンネル4」のWebベースのゲームプロジェクトに取り組んでいるほか、Makielabを設立して、デジタルやリアルを行き来できる新しいおもちゃの開発も進行中。講演ではこれらの取り組みを例に、SNSを活用した展開が解説された。

 「チャンネル4」での取り組みは、同局がプロモーション費用をテレビからWebに移行するという大きな方針転換により、Webを媒体に「いくつかのプロジェクトをまかされた」と振り返り、比較的規模の小さな企業と協力しながら始め、今では多数の企業と取り組むまでの規模に拡大しているという。

 ローチ氏は、「テレビからインターネットに、コンテンツを移行しようとした。若い人のみならず、大人も、空いた時間に利用するなど(インターネットに)移行していた」と語り、若年層などをターゲットにするかたわらで、大人もインターネット通じてメディアコンテンツに接触する機会が増えていたとする。

 英国でも圧倒的なシェアを誇るSNSのFacebookが「非常に大きなプレイヤーになっている」とし、メンタルヘルスなど若年層向けの教育コンテンツにゲームの要素を織り込み、ターゲットとした層にリーチできたというプロモーション活動でも、Facebookを積極的に活用したさまざまな事例を紹介した。ゲーム系コンテンツは若年層向けに難易度に気を配り、また、若年層が憧れるセレブのTwitter投稿などを通じてプロモーションなども行った結果、「すばらしい成果で、多くのティーンエイジャーが導かれた。DNAをテーマにしたゲームは、ユーザーの10%が私たちの教育サイトにアクセスしてくれた」と結果を振り返った。

 ローチ氏によれば、これらのゲームコンテンツはロンドン郊外のベンチャー企業集積地「Tech City」の企業のゲームが大きな役割を果たしたとのことで、「一緒に仕事をするのも楽しい」と魅力を語った。

 ローチ氏はまた、Facebook以外に、Twitterについても「大きな影響力がある」とする。テレビのキャンペーン施策なども、Twitterが登場してからはその手法も変化しており、「広告は新しいツールにより新しい見方ができるようになった」とした。一方、Tech Cityについては「どうやって収益を高めるかというところにきている」と収益性にも言及し、「テレビはリアルタイムの購買力の推進につながっている」と、テレビメディアとSNSを組み合わせた新しい展開の可能性について語った。

3D印刷で造形される人形。開発中のため色などは製品イメージと異なっている

 同氏からはまた、Makielabは「おもちゃとゲームの会社」と説明され、人形を手に、開発中というサービスが紹介された。これは、SNS上などで楽しむアバターのデザインと、人形そのものや衣装を連動させて楽しめるというコンセプトのもの。アバターとして作成した顔は、3D印刷により実際の人形として造形され、ユーザーの元に届けられるとのことで、400を超える種類が用意される予定。何十万種類に拡大する方針も示された。

 同氏は「物理的な、ゲームの象徴が身の回りにあれば、ゲームも変わるのではないか」と語り、コンテンツから(やがて)ユーザーが離れていくのを食い止める狙いもあるとした。「人形の側でやっていることがゲームにも反映されるような、フィードバックのループを考えているチームもある」と、具体的なサービス内容はまだ開発中の様子だが、人形のデザインの仕様、寸法などを公開することで、ソーシャルコミュニティ側で盛り上がることにも期待しており、「人形に内蔵する部品なども開発してくれるかもしれない」とした。一方、3D印刷のコストはまだ高いとのことで、7カ月以内に100体を試験的に製作し、その後にゲームが公開される見込みになっている。

プレゼンテーション

 




(太田 亮三)

2011/10/19 21:37