エンバカデロ、PC&モバイルの統合型ビジュアル開発ツール発売


デビッド・インターシモーネ氏
日本法人代表の藤井等氏

 エンバカデロ・テクノロジーズは、クロスプラットフォームに対応した統合型のビジュアル開発ツール「Embarcadero RAD Studio XE3」を発表するとともに、AndroidやiOS、Windows Phoneなどに対応するWeb、モバイル向け開発ツール「HTML5 Builder」を発表した。説明会では、Delphi/C++の開発環境でARMのモバイル開発をサポートする「Mobile Studio」を開発中であることなども明らかにされた。

Embarcadero RAD Studio XE3

 「Embarcadero RAD Studio XE3」は、WindowsとMac OS向けのソフトウェアを単一コードで開発できるクロスプラットフォーム対応のビジュアル統合開発ツール。Windows向け開発環境「Delphi」(デルファイ)で知られる。

 コードを記述することなく、コンポーネントと呼ばれるソフトウェアのパーツを組み合わせ、視覚的な開発を実現している。「Embarcadero RAD Studio XE3」は、「Delphi XE3」「C++Builder XE3」などで構成され、価格は開発環境の構成によって異なり、1万8000円~51万6000円、バージョンアップ版は1万4000円~33万6000円。

 最新のWindows 8およびMac OS 10.8をサポートしており、Windows 8のスレートPC(タブレット型パソコン)のインターフェイスとアップルのRetinaディスプレイ向けアプリケーションも開発できる。また、データベースサーバーを視覚的に線で結ぶだけでユーザーインターフェイスと連携できる「Visual LiveBinding」といったツールも用意される。



HTML5 Builder

 「HTML5 Builder」は、HTML5やCSS3、JavaScriptによる単一コードでWebアプリなどが開発できる開発ツール。AndroidやiOS、Windows Phone、BlackBerry向けアプリを視覚的に開発できる。

 クライアントサイドはHTML5やCSS3、JavaScriptに対応し、サーバーサイドはPHPをサポートする。このため、スタンドアロン型のアプリのほか、PHPの動的サーバーを活用したWebアプリなども開発できる。端末プラットフォームやディスプレイサイズに幅があるスマートフォンやタブレット端末において、1つのソースで複数プラットフォームに展開しやすい。

 「HTML5 Builder」の価格は3万円、バージョンアップ版が1万6000円となる。また、「Embarcadero RAD Studio XE3」の開発ツールの一部としても提供される。その場合の価格は14万8000円~51万6000円。バージョンアップ版は8万4000円~33万6000円。



Mobile Studio

 このほか、エンバカデロテクノロジーズのチーフ・エヴァンジェリストのデビッド・インターシモーネ氏は、現在開発中の開発環境「Mobile Studio」にも言及した、同製品は今後12カ月~18カ月以内に提供される見込み。

 「Mobile Studio」は、DelphiとC++Builderで、ARMベースのモバイル端末のアプリケーション開発を実現するもの。企業や開発者は、パソコン向けの開発資産をモバイルに導入しやすくなるほか、開発リソース自体の有効活用にも繋がるとしている。

 AndroidとiOSをサポートし、1つのコードから双方のアプリが構築できる。スマートフォンやタブレット端末の加速度センサーやGPS、カメラ、ジャイロなどを認識し、コンポーネントを使った視覚的な開発を実現する。

 また、Embarcadero RAD Studio XE3の製品群は拡張性の高さも特徴で、コンポーネントを独自に開発できるほか、コンポーネントの配布や販売も行える。「Mobile Studio」でも、FeliCaやワンセグといったローカル機能も必要に応じてカバーできるとしている。

 

(津田 啓夢)

2012/9/4 15:29