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楽天スマートペイがICクレジットカードに対応、新型リーダー導入

 楽天は、スマートフォンと連携する決済サービス「楽天スマートペイ」で、店舗向けの新たなカードリーダー「楽天スマートペイIC・磁気対応カードリーダー」の提供を開始した。端末価格は7980円だが、キャンペーンとして、一定の条件を満たせば端末代と同等のキャッシュバックも実施される。

 「楽天スマートペイIC・磁気対応カードリーダー」は、その名の通り、磁気とICでの読み取りに対応した、クレジットカードリーダー。これまでは、スマートフォンのイヤホンジャックに装着する、磁気タイプのクレジットカードリーダーや、据置型のIC対応クレジットカードリーダーは存在したが、IC対応でなおかつスマートフォンと連携できるものは国内初という。まずは日本瓦斯でも導入されることになった。

 海外でも、Squareが手書きのサインで決済できるIC対応リーダーを投入しているとのことだが、クレジットカードの国際規格(EMV)では、Visaでは暗証番号(PIN)への対応を必須としており、今回、そうした仕様に沿った端末として仕上げられた。導入店舗では、磁気よりもセキュアなIC対応のクレジットカードでの決済に対応できるようになる。大きさは97×68×18mm、重さは118g。microUSBで充電する。満充電すれば、1日はフルに利用できるという。

「日本はICクレカ後進国」

 新製品の特徴は、ICチップ搭載のクレジットカードに対応すること。磁気カードとの大きな違いはセキュリティだ。磁気カードはいわゆるスキミングという手口で、記録されているクレジットカード情報を抜き取り、不正に利用されることがある。一方、ICチップに格納されている情報は暗号化され、さらにワンタイムパスワードのような動的認証の仕組みが採り入れられ、利用時にしか使えない決済情報、としてやり取りされている。万が一、漏れても、その後の不正利用には繋がらない仕組みだ。

左から楽天スマートペイ事業長の小林重信氏、楽天代表取締役副社長の穂坂雅之氏、ビザ・ワールドワイド代表取締役の岡本和彦氏、ビザ・ワールドワイドリスクマネージメント担当の井原亮二氏

 このICチップ対応クレジットカードは、日本でも発行済カードの6割強にまで搭載され、消費者の手元には行き渡りつつある。ところが店舗側でIC対応リーダーを導入しているのは、取引件数ベースで見ると17%に留まっている。海外では、欧州、アジアなどでは店舗側でも対応が進んでいるのに対して、IC対応が進まないのは日本と米国に絞られる。そのため、これまでクレジットカードの不正利用は米国に集中してきたが、今年10月に決定した方針により、米国でもIC化が促進されることになった。すると、世界では日本だけがIC化の進まない後進国となり、不正利用のターゲットになることが懸念されているのだという。

 さらに、クレジットカードが不正利用された場合、コストをだれが負担するのかというルールが2015年10月、変更されることになった。これまではカード発行会社(イシュア)が不正利用の肩代わりをしてきたが、2015年10月より、「IC化に対応していれば不正利用を防げる」として、アクワイアラ(加盟店管理・開拓事業者)がコストを負担することになる。そのため、アクワイアラである楽天では、「楽天スマートペイ」加盟店でのIC化を促進するため、端末を企画、国内で初めて提供することになった。Visaにとっても、日本のモバイルクレジットカード決済サービスで、導入の動きをいち早く見せたのが楽天だった。店舗にとっても、不正な手段で作成されたクレジットカードでの決済が使われる可能性が格段に減ることになるのだという。

 現在、同様の端末を提供しようとする競合他社はない、と楽天では見ているものの、仮にキャッチアップされたとしても、銀行業もグループに抱えることの強みとして、スピーディな入金や割安な手数料など、これまでと同じくサービス内容でアピールしていく、という。

関口 聖