【CEATEC JAPAN 2010】
富士通、タッチパネルを2画面搭載したコンセプトモデル


富士通ブース

 富士通は、携帯電話のユーザーインタフェイス(UI)の将来像を表現するコンセプトモデルとして、「大画面ダブルタッチパネルケータイ」を参考出展している。

 通常の折りたたみ型携帯電話のキーパッドにあたる部分もタッチパネルディスプレイになっており、さらに2つのディスプレイを仮想的な1枚の大画面として利用できるのが特徴。

 富士通の携帯電話では画面を90度横向きに回転できる「ヨコモーション」機構を備えたものがあるが、今回のコンセプトモデルでは上下2枚の画面が両方ともヨコモーションするようになっており、長文のメールやソーシャルコミュニケーション系アプリのタイムラインなどは縦画面表示、フルブラウザ使用時などは横画面表示と使い分けることができる。


大画面ダブルタッチパネルケータイ上画面だけでなく下画面も「ヨコモーション」になっており、2つのディスプレイを1枚の広い画面として利用できる
片側だけ横方向にするといった表示には対応していないメール画面ではPCのメーラーのようにメール一覧と本文を別窓で表示できる

 画像の共有、SNSやTwitterといったコミュニケーション用途での使い勝手を高めることを主眼としている。上画面に表示される連絡先のグループにタッチするとグループに属する人の発言や更新履歴などが下画面に表示される、下画面にリスト表示された画像を上画面に向かってドラッグするとグループ内で共有することができる――といった操作を想定したUI設計となっている。


複数のSNSの更新情報を1本のタイムライン上に表示可能下画面で画像にタッチし、上に向かって弾くと画像が上画面に飛ばされる。グループを選択すればグループ内の全員で画像を共有できるというイメージ
フルブラウザ表示時には1枚の仮想的な大画面として利用できる

 ブースには、実際に来場者が手に取って操作できるプロトタイプが用意されている。今回の展示機は同社のiモード端末で利用されているSymbianをプラットフォームとして採用したが、必ずしもiモード機だけを想定しているわけではなく、あくまで今後のUIのコンセプトを説明するための試作機であり、商品化の際には市場の状況に応じてAndroidなどのスマートフォンにも展開できるとしている。

 また、試作段階のソフトウェアとしては比較的スムーズに動作していたが、特別な専用のプロセッサ等は使っておらず、ハードウェアの性能は現在販売されている携帯電話と同等だという。


富士通グループでプロダクトデザインなどを専門に行う富士通デザインによる将来の携帯電話のイメージ。タイトルは「Fluid」で、流れる水のように状況にあわせて携帯電話が自律的にたたずまいを変えていくというテーマ究極の形として、携帯電話のボディ自体が全面ディスプレイになったと仮定。電話機自体は姿を消し、情報だけが浮かび上がるコンセプト
もう少し実現の可能性がありそうなデザインとして、例えばメールが着信するとポストカードのような外観になるというアイデア富士通が考えるタブレット型端末のモックアップも展示された。OSはWindowsを想定しているといい、携帯電話からのアプローチではなく、タブレットPCの延長線上にある製品としている

ランニング診断や体重計・血圧計連携などに対応したヘルスケア携帯

ゴルフ、ウォーキングに続きランニングフォームの診断機能を開発

 昨年11月に発売された「F-01B」以来、富士通ではいくつかの機種でモーションセンサーを利用したゴルフスイングレッスン機能を搭載してきた。腰の動きを3次元でとらえ、理想的なスイングフォームとの差を検出してアドバイスするというものだが、今後登場する機種に搭載される予定の新たな機能として、マラソンランナー高橋尚子さんの監修によるランニングフォーム診断機能「高橋尚子のランニングクリニック」が参考出展された。

 ブースには、実際にこの機能を搭載した携帯電話を装着してランニングフォームの診断を行える体験コーナーを設置した。同コーナーでは、7月に発売された「らくらくホン7」に搭載された「高橋尚子のウォーキングクリニック」も体験することができる。


ゴルフ、ウォーキングに続きランニングフォームの診断機能を開発。理想的なフォームから外れている部分について高橋尚子さん監修のコメントが表示される
ブースには体験コーナーも設置。実際に腰に携帯電話を装着してランニング・ウォーキングのフォームをチェックできる

 また、同じくヘルスケア関連では、健康管理機器同士を接続するための標準規格「CHA規格」に対応した携帯電話を開発。携帯電話やPCと接続してデータの管理が行える体重計などは既に発売されているが、メーカー各社が独自に対応した機器間でしか連携できなかった。

CHA規格に対応した携帯電話と血圧計(血圧計はオムロンが医療関係機関向けに既に発売している製品)

 CHA(Continua Health Alliance)は各種健康機器とデジタル機器の接続に関する標準化団体で、CHA規格に対応した機器であればメーカーや機種を問わず健康管理データのやりとりが可能。CHA規格に準拠した体重計・血圧計は既に医療関係機関向けに発売されており、今後は一般家庭用の製品も登場する見込み。携帯電話では、今回富士通が開発した端末が世界初のCHA規格対応製品だという。

 CHA規格では、健康管理機器(体重計・血圧計など)とデータ管理機器(携帯電話・PCなど)の接続にはBluetoothまたはUSBが利用できるが、今回の携帯電話ではBluetoothを使用する。携帯電話側のBluetoothをオンにした状態で血圧計などのデータ転送ボタンを押すと、自動的健康管理アプリが起動し、データが取り込まれる。

 携帯電話に蓄積されたデータはアプリから参照できるほか、富士通の「深体創工房」など、インターネット上で提供される健康管理サービスに送信して活用することが可能。


血圧計の転送ボタンを押すと、待ち受け状態でも自動的にアプリが起動しデータが取り込まれる。インターネット上の健康管理サービスと連携すれば、PCからも同じデータを参照することが可能

 これらのヘルスケア関連機能を搭載した携帯電話自体は未発表で、ブースでは端末を黒いケースに隠した状態でデモンストレーションを行っているが、製品自体の完成度は高いようで、例年秋に開催されるNTTドコモの新製品発表会で正式発表される可能性が高い。

 



(日高 彰)

2010/10/7/ 18:42