【CEATEC JAPAN 2011】
KDDI商用システムでLTEのデモ、EV-DO Advancedなどの展示も


 KDDIは、2012年にLTEサービスを展開する計画だ。今回ブースでは、準備を進めている商用基地局の電波を受ける形でLTEのデモが行われていた。

 今回のデモは、KDDIのLTE商用センター設備からLTE用バックホール回線を通じてデータを送り、CEATEC JAPANの会場に設置された商用基地局を経由して、ブース内のノートパソコンでデータ受信するというものだった。受信用の通信端末はソニー・エリクソン製の試作機となる。下りの通信速度は50Mbps超を平均的に記録していた。

 KDDIでは、サービス開始当初より、ある程度のエリアでLTEが利用できるよう、現在、既存のCDMA基地局にLTEの設備を増設している段階という。CDMAの基地局とはおおむねアンテナを共有化していくという。同社は、音声についてはCDMA 1Xを利用する方針を示しており、待受はLTEで行い、着信があるとLTEから1Xに切り替える方式をとる。

 説明員によると、この方式は、LTEから迅速に1Xに切り替える必要があるため、検証を含めた開発が複雑になるデメリットがある一方で、待受を1本化できる分だけ消費電力の面で貢献するという。米国で展開されているCDMA事業者のLTEサービスは、LTEとCDMAの両方で待受を行っているため、開発検証が早く導入しやすい反面、バッテリーの消費が早くなるとのこと。KDDIはサービス開始当初より、LTEスマートフォンなどを提供する方針で、データ通信端末よりもエリア設計やLTE/CDMAの切替え面などで、よりシビアな要求があるため、「準備をしっかりしていきたい」(説明員)という。



 さらに、KDDIは、既存のEV-DOのインフラも増強していく。同社は、2012年4月より「EV-DO Advanced」を導入し、既存インフラのさらなる効率的な運用を図っていく。「EV-DO Advanced」は、既存基地局のソフトウェアをアップデートすることで対応可能できる。

 現行の基地局は、電波の強さによって通信機器がその基地局に接続する形をとっている。「EV-DO Advanced」を導入すると、基地局の収容人数が増えて通信速度が出ない場合などに、電波の強さとともに基地局の混雑度合いをリアルタイムに監視し、混雑したエリアにある通信端末を隣接する基地局に接続することで混雑緩和を図っていく。

 KDDIでは、通信速度の接続や切替が柔軟になることで、現行の基地局よりも約1.5倍のデータが収容可能になり、さらに、ユーザーのスループットも平均で2倍向上するとしている。無線インフラは当たり前だが目に見えないため、なかなか実感しにくい技術ではあるが、繁華街などの混雑したエリアではその「EV-DO Advanced」の効果が実感できるかもしれない。

 このほかブースでは、auの公衆無線LANサービス「au Wi-fi SPOT」なども紹介されていた。通信が逼迫しつつある状況で、各社が3Gのデータ通信をさまざまな形でオフロードする方策を実施し出しており、KDDIでは、LTEやMVNO提供しているWiMAX、au Wi-fi SPOTなどのオフロード策を打ち出している。LTEの商用サービスが始まった段階で、WiMAXをどのように扱うことになるのか、業界の関心が集まりそうだ。


 




(津田 啓夢)

2011/10/4 20:20