【CEATEC JAPAN 2012】
シャープはIGZO技術をアピール


シャープのブース
2560×1600ドットの6.1インチディスプレイ

 シャープは、最新のディスプレイ技術「IGZO」を前面にプッシュしていた。モバイル向けの小型サイズのものから、大画面テレビ向けのものまで、IGZO技術を用いたあらゆるサイズの液晶ディスプレイが並べられていた。

 IGZO技術を体感できるコーナーでは、IGZO技術が実現する高精細・低消費電力・高応答性の3点についてアピールするデモを実施。すでに6月に発表済みではあるが、小型・超高精細な6.1インチ(2560×1600ドット、498ppi)ディスプレイが目を引いた。同じく発表済みのモバイル端末向け5インチ(300ppi)ディスプレイと、タブレット端末向け10.8インチ(1366×800ドット、147ppi)ディスプレイも展示しており、同じ映像を流した従来技術のa-Si(アモルファスシリコン)ディスプレイと並べ、それぞれの駆動電力、バックライト電力の消費状況をリアルタイムに表示。IGZO技術採用のディスプレイの方が、圧倒的に低消費電力を達成していることがわかる。

従来製品とスマートフォン向けIGZOディスプレイの消費電力比較従来製品とタブレット向けIGZOディスプレイの消費電力比較
タッチの検出精度をチェックできるデモ

 ディスプレイへのタッチの検出精度をグラフィカルに表示するデモも用意。従来技術のディスプレイでは、常に発生しているノイズがタッチ操作と同じような信号となって検出されるため、ある程度はっきりした操作を行わないとタッチしたかどうか判断できなかったが、IGZOではノイズを低いレベルに抑えることによって、タッチ検出の精度を大幅に改善している。デモでは、それぞれのディスプレイに触れたときのタッチ操作を検出し、3Dグラフがリアルタイムに変化する様を確認できる。

従来製品ではノイズに紛れてタッチを検出しにくかったIGZOディスプレイではノイズが格段に少なく、わずかなタッチでも検出が可能になる

 13.3インチ(2560×1440ドット、221ppi)および10.1インチ(2560×1600ドット、299ppi)の2種類の「IGZOタブレット」と、7インチ(1280×800ドット、217ppi)の「電子ステーショナリー」も参考出品。いずれもほぼモックアップに近いコンセプトモデルとのことで、具体的な製品化のプロジェクトが進んでいるわけではないとしているが、IGZO自体には端末メーカーなどからの引き合いはすでにあるため、近い将来のIGZO採用スマートフォン・タブレット端末の登場が期待される。

13.3インチの「IGZOタブレット」コンセプトモデル10.1インチの「IGZOタブレット」コンセプトモデル
7インチの「電子ステーショナリー」コンセプトモデル

 また、“タッチディスプレイ”コーナーでは、IGZO以外のタッチパネル式ディスプレイ5種を参考出品。モバイル端末での利用を想定した5インチサイズのフルHD(1920×1080ドット、443ppi)CG Silicon液晶ディスプレイや、10点までのマルチタッチに対応した19.5インチ、フルHD(113ppi)ディスプレイ、その他店頭掲示用や対面商談用、デスクトップ上での手書き用など、用途別のタッチディスプレイも並び、実際に触れて動作を確かめることができた。

5インチのフルHD CG Silicon液晶ディスプレイ
10点マルチタッチ対応ディスプレイ
店頭掲示用や対面商談用、手書き用ディスプレイなども参考出展

 その他、10月5日以降に順次発売予定のXi対応スマートフォン「AQUOS PHONE si SH-01E」も展示。テレビと連携して、音声による番組検索やリモコン操作が可能になるスマートフォンアプリ、Twitterのつぶやきを収集してチャンネルごとの視聴者の盛り上がりを見られるといった、テレビ番組の視聴をサポートするアプリなどもデモンストレーション。スマートフォンとAQUOS製品の親和性の高さもしっかりアピールしていた。

10月5日から発売となる「AQUOS PHONE si SH-01E」も
テレビでの番組検索などを音声検索できるスマートフォンアプリ
Twitterのタイムラインを解析して、他のユーザーが視聴しているテレビ番組の盛り上がり具合をチェックできるスマートフォンアプリ。リモコンにもなる

 ディスプレイなどへの映り込みを極限まで低減する「モスアイパネル」も初めて出展。ナノレベルの凹凸を表面に施すことにより、外からの光の反射を抑える仕組みとなっている。美術館などでは、展示物の視認性を高めるために、これまでも同様の技術を用いたシートをガラスに貼り付ける形で活用してきたが、これを量産品で大型ディスプレイパネルに転用可能にしたのはシャープが世界初という。スマートフォンなどのモバイル端末への採用については、「モスアイパネル」の性質上、傷が付きやすいことから、クリアしなければならない課題が多数残されているとの話だった。




(日沼諭史)

2012/10/3 11:00