【CEATEC JAPAN 2013】

WPC、「qi」のハイパワー版やボックス型給電システムを紹介

 ワイヤレスパワーコンソーシアム(WPC)のブースでは、おくだけ充電などとして広がりを見せている非接触充電規格「qi」(チー)の対応製品や開発中の製品が展示されている。

 ブースの中では、参考出品としてソニーが10W受電ソリューションを紹介している。これは、現在の「qi」の規格の5W(1A)から電力を倍増させるもので、10Wおよび15Wの仕様をWPC内のワーキンググループで策定中という。充電台が新しく開発されるほか、10Wの仕様を活かすには端末側も受電コイルなどを対応させる必要はあるが、現在の5W規格の端末でも充電自体は可能。ソニーは受電コイルを薄型化させたものも開発しており、スマートフォンの背面に内蔵した試作機で薄さをアピールしていた。

 会場ではまた、エム・シー・エム・ジャパンが、「qi」を利用し5台の端末を同時に充電できる充電台を展示している。この充電台では、どこに置いても、複数の端末を同時に充電できるとのことで、コンビニエントパワーのコイルアレイ技術を採用している。

 ブースではこのほか、「qi」との互換性はなく、WPCでの規格化を意図したものではないとするものの、日立マクセルが“充電空間”を形成するというボックス型給電システムを紹介している。

 現在の「qi」などの非接触充電は、平らな台にスマートフォンなどを置くというスタイルから、自ずとコイル面の向きが揃う形になっている。しかし、日立マクセルが試作した「ボックス型ワイヤレス共鳴給電システム」では、そうした機器の“向き”を気にする必要が無くなるという。

 最大の特徴は、シールドボックス内などの限られた空間内に“充電空間”を形成するという仕組みで、この空間内では端末側の向きを気にせず、自由に置くだけで充電が可能になるとする。試作機には電磁波漏洩対策済みの窓付きのフタがあり、箱が完全に閉まるデザインになっているが、電磁波の方向を調整することで、フタの無い形状も可能とのこと。この仕組を応用すれば、例えば大きなボックスにバッグを入れておくだけで、バッグ内の対応機器が充電される、という使い方もできるという。

太田 亮三